スーパーイーツ

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ウーバーイーツ破産しかけた私は、理性を奮い起こして節約に努めた。食事の配達に28万円を費やすくらいなら、新しいパソコンを買った方がよっぽどマシ。そんなまともな考えが持てる私は、まだ捨てたもんじゃない。

 

あれから数か月が経過した。つい先日、ふと久々にウーバーイーツを注文してみたわけだが、店頭で買えば700円程度の弁当が手元に届く頃には倍の値段になるマジックは、清貧の私には納得がいかない。やはり私には、ウーバーイーツはまだ早いのだ。

そう思ったのは紛れもない事実だが、それと同時に「500円引き」の割引券を手に入れたことも事実。アレを使わずしてウーバーイーツの幕を閉じるのは惜しい。だが無駄にカネを使うことは極力避けたい。ということは、ローソンストア100しかない――。

多くの商品が100円(税別)で販売されている、いわゆる百均ローソン。とはいえ最近は百均というよりミニスーパーの印象が強い。ローソングループのオリジナルブランドである「バリューライン」についてはオール100円だが、その他の生鮮食品などは一般的なスーパー価格に近い。もちろん、100円の商品は内容量が少ないので、量が増えた分値段も高くなったという解釈もできるのだが。

 

とりあえず、ウーバーイーツで選択できるローソンストア100で食材を購入し、料理をしようと考えた。もちろんレンジを駆使して。

 

商品検索のページを開くと、なんとご親切に「あなたへのおすすめ」と題して肉や野菜がズラズラと出てきた。他にも、生きりもち(1kg)やルーさんの甘辛キムチなどを勧められるが、せっかく料理をするならば素材重視の一品にしたい。

そもそも、出来上がった料理を望むなら店へ注文すればいい。あえて自分で作るからには、素材を生かした形で調理するのが贅沢というものだ。

 

そこで私は、食べたい具材をポンポンとタップしていった。そのうち金額について「なるほど」という法則を発見した。ウーバーイーツでローソンストア100の商品を買うと、店頭で100円の物が150円で売られている。ということは、350円の「真空皮むき玉ねぎ」は店頭ならば300円程度ということか――。

国産豚肉細切れ、キャンディーチーズ、ざく切りキャベツ、ミックスもやし、素焼きナッツをクリック。見るからにタンパク質と野菜、そして脂質も交えた完璧な栄養バランスといえる。

 

ちなみに今回カギとなるのは「1,500円以上」という金額。ウーバーイーツのコンビニやスーパーで1,500円以上注文した場合に限り、500円の割引券が使えるという縛りがあるからだ。

(合計1,600円になったし、豚肉と生野菜をレンチンすれば立派な温野菜になるだろう)

料理は感覚だ。熱を通せばなんだって美味くなるに違いない。

 

 

ピンポーン

ウーバーイーツ配達員だ。こんな深夜にわざわざ届けてくれるんだから、ちゃんとチップを払わねば。

 

ローソンのレジ袋を受け取ると、私はさっそく料理を開始した。事前に友人へ食材を伝え、それらを使って簡単にできるレンジ料理の動画まで送ってもらったわけで、準備は完璧だ。

今回の食材の特筆すべき点は、包丁を使うことなく調理ができること。玉ねぎは、丸ごとではあるが皮は剥いてある。もやしもキャベツも細かくちぎってあるので、豚肉を丸めてしまえば具材をカットすることなく完成するのだ。

 

脳内では、かつて味の素のCMで小栗旬が作っていた「豚バラと白菜の重ね鍋」が踊っている。さすがに今回は鍋ではないが、具材は似たようなものなので期待はできる。

 

とその時、我が家には調味料が存在しないことに気がつく。正確には、わさびとオリーブオイルがあるだけだ。味の素どころか塩コショウすらないじゃないか!――あぁ、なぜさっき調味料も一緒に買わなかったのだろうか。こういう時、普段から料理をしておけばよかったと後悔するものだ。

 

だが結果として、このことは何一つ料理に影響を及ぼさなかった。

なぜなら豚肉が入っていなかったからだ。袋を何度ひっくり返しても豚肉は出てこない。すぐさまアプリを開いて注文した商品を確認すると、一番最後にこんな一言が書かれていた。

「売り切れ」

 

そうだろう、そうだろう。こんな夜中に豚肉を買う奴など私くらいだろう。調味料もないことだし、ちょうどよかったのだ。

生気を失った私は、丸ごと玉ねぎとカットキャベツをレンジへ入れて10分待つと、てんこ盛りのしんなり野菜を味付けもせずにシャクシャクと食べた。

 

(こんな大量の玉ねぎとキャベツが食べたくて、ウーバーイーツを頼んだわけじゃない・・・)

 

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