エレベーターが開くとき何を思う?

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ウチの道場(トライフォース赤坂)は、エレベーターが開くと、目の前がすぐにマットスペースだ。

 

昨日、エレベーターのドアが開いた瞬間、その場にいた15人くらいが、一斉に下を向いた。

 

エレベーターから降りてきたのは、そう、私だ。

 

申し合わせたように、全員一斉にサッと下を向く光景は、なんというか圧巻だった。

 

トライフォース赤坂は弁護士事務所も併設されているため、入館の際にセキュリティカードをかざす必要がある。

そのカードをジムに置き忘れたため、練習前にマットスペース兼事務所へ取りに行ったときの光景だった。

 

「あのさー、誰かアタシにカード貸してくれてもいいんだけど」

 

私は、確実にこちらを見ないようにうつむく会員たちに向かい、言葉を発した。

 

シーーーーーーン

 

――全員無視

 

すると、アメリカ人のトムが恐る恐る顔を上げ、僕は日本語が分からないよ、というフリをした。

 

次に、白帯の男子が、顔面タテ線(ちびまる子のガーンていう顔の表情)でおずおずと、

 

「僕のでよろしければ・・・」

 

と、震える右手を差し出してきた。

 

そこへ、青帯男子が毅然とした態度で、

 

「いや、僕のを使ってください」

 

と割って入ってきた。

 

まるで白帯男子をかばうかのように、その子の前へ一歩踏み出し、唇をかみしめながら自分のカードを差し出してきた。

 

――その間、他は全員、うつむいたまま微動だにしなかった

 

 

(もしかして、私、嫌われてる?)

 

 

 

 

エレベーターといえば、私はある覚悟を決めてエレベーターに乗るようにしている。

 

それは、

 

「もしドアが開いた瞬間、誰かが首つり自殺を図っていても、決して驚かない」

 

ということ。

 

エレベーターをぼけっと待っていて、ドアが開いた先に首を吊っている人間がぶら下がっていたら、どう思うか。

 

ほとんどの人は驚き狼狽するだろう。

 

しかし、私はそうはならない。

なぜなら、どこのどんなエレベーターであってもドアが開いた瞬間、その光景が現れる可能性を常に覚悟しながら立っているからだ。

 

むしろいつか、そういう場面に遭遇したいと願うくらい、かなり長い期間、イメトレは積んできた。

 

また、ドアが開いた瞬間、殺人犯やテロリストに銃や凶器を突き付けられた場合の覚悟というか対処も万全だ。

 

(開口一番撃たれたら元も子もないが)

 

あと、エレベーター内では常に、周囲に注意を払うようにしている。

少しでも反射するものがあれば、それを使い背後を写し警戒する。

 

エレベーターのドアガラス越しに、背後の男性と目が合ったことがある。

 

――怪しい

 

そう感じた私は、その男性をガラス越しに鋭く睨んだ。

いつ襲われてもいいように、全身の神経を集中させ、その時に備えた。

 

だがそれはたまたまだったらしく、男性は視線を反らしうつむいてしまった。

 

(男性よ、すまなかった)

 

 

 

 

ちょっと微妙な空気が流れたときもある。

 

私は、指で直接ボタンを押したくないので、別の部位で押す。

とくに潔癖症というわけではないが、電車のつり革や棒、エスカレーターの手すりなど絶対に触らない。

 

押すときによく使う体の部位は、拳や肘。

携帯電話の角やペットボトルなど、手に何か持っている場合はそれを使って押す。

 

しかし、そのときはたまたま、両手に荷物かつ高い位置のボタンを押さなければならなかった。

 

ついでに、他の乗客の行き先も押してやろう、という親切心も沸き起こった。

 

「何階?」

 

「あ、12階です」

 

「7階です」

 

そして私は、おもむろに額(おでこ)でボタンを押した。

 

言い方を変えると、私はボタンに向かって頭突きをした。

 

ちなみに、命中しなかった時がめんどくさい。

間違った階を押すと、連打しない限りその点灯が消えないので、私はすばやく2回頭突きをして、誤って押した階を消した。

 

ゴンゴン(頭突きの音)

 

 

――エレベーター内は静寂に包まれた

 

 

 

 

カップルの会話が止まったこともある。

 

エレベーターのドアがなかなか閉まらないので、「閉ボタン」を押そうとしたときのこと。

 

(肘で押すには低すぎる。しかも両手にコーヒー抱えているから、動かせる部位は足しかない。)

 

丈の短いスカートを履いていた私だが、いたしかたなく「閉ボタン」めがけて膝蹴りをくらわした。

 

ガンッ

 

(チッ、角度が悪かった)

 

斜め下から膝が入ったため、ボタンを正確に押せなかった。

と同時に、楽しそうにおしゃべりをしていたカップルは黙った。

 

今度は一歩うしろに下がり、踏み込みながら膝蹴り、というか飛び膝蹴りをくらわした。

 

ガンッ

 

ちゃんとボタンが押せたようで、ドアがスーッと閉じた。

 

 

――またもやエレベーターに静寂が訪れた

 

 

 

 

もう一つ、必ず実践している自己防衛がある。

それは「呼吸を止めること」だ。

 

もし、エレベーター内に毒ガスが撒かれた場合、しかも一酸化炭素のように無色無臭だった場合、乗客は死ぬ。

 

そんなみじめな死に方はしたくない。

 

そこで、エレベーターに乗る際は、外の空気をめいっぱい吸い込んでから乗るようにしている。

 

「オマエらが全員死んでも、私だけは生き残る」

 

そう強く誓い、呼吸を止めている。

 

だから、エレベーター内では話しかけないでもらいたい。

死にたくないから。

 

 

 

 

人生サバイバルだ。

いつどこでどんなリスクが転がっているか分からない。

身を守るのは自分しかない。

とくに、密室となるエレベーターは恐怖の小部屋と化す。

 

それでも楽をしたい(階段ではなくエレベーターを使う)のならば、それなりの覚悟を持って乗り込まなければならない。

 

――私には、その覚悟ができている

 

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2件のコメント

エレベーターのドアが開き、足を一歩踏み入れた瞬間………ギャぁぁぁ~

床(箱)がなかった時のシミュレーションは?

可能性としては一番高い気がする(中国ではたまにあるらしい)。

・・・箱がなければ雰囲気(違和感)で立ち止まる。
音楽聞きながら携帯とかいじってると危険だよね

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