私は究極のめんどくさがり屋である。言い換えれば、とにかくズボラである。
なぜこのような性格になってしまったのかは分からないが、この世のすべての出来事が煩わしいし、何かアクションを起こすことが鬱陶しいのだ。
そのため、電話がかかってきたって出るはずもない。そもそも、私の携帯電話に架電するなど愚の骨頂。
仕事でもなんでも「電話をかけてくるな」と宣言している私に向かって、常識ある人間ならば電話などするはずもない。
それでもたまに電話がブルブル震えるわけで、相手は二択。一つは役所からの電話で、もう一つは営業の電話だ。
役所からの電話に関しては、そのほとんどの番号を登録しているため、渋々出ることにしている。
「いやいや。仕事の大事な電話なんだから、率先して出ろよ!」
あぁ、分かっている。しかし電話に出ることが重要なわけで、そこへの意気込みなど必要ないだろう。とにかく出ればいいのだから。
そしてもう一つの営業電話について。これらの電話はほぼすべて、050から始まるIP電話か、070から始まる携帯電話からかかってくる。よって、すべて無視している。
だが、たまに時間がある時に、冷やかし半分で通話ボタンを押すこともある。
「URABE社労士事務所さまの電話でよろしいでしょうか?」
「番号間違えてないなら、それ以外にはつながらないよね?」
(シーン)
「へ、弊社は中小企業をサポートする会社でして、先生は中小企業相手にお仕事をされているでしょうか?」
「逆に聞くけど、日本における中小企業の割合って知ってる?99.7%が中小企業なんだけど。まさかこの私が、残り0.3%の大企業相手にしか仕事をしないと、本気で思ったりするの?」
(シーーン)
「ろ、ろ、労務管理にお困りの中小企業がありましたら、先生をご紹介してもよろしいでしょうか?」
「あのさ、この電話の本題はなに?」
「へ、弊社は、企業と社労士さんのマッチングをしておりまして・・・」
「なぜそれを先に言わなかった?」
(シーーーーン)
「も、申し訳ございません・・・」
「いわゆる男女のマッチングサイトだってさ、最初っからちゃんと『素敵な出会いを』とか言ってるよね?うっかり勘違いして、就職活動のサイトかと思われたら大変だからね」
「・・・は、はい」
「日本人の悪いクセで、本題や結論を先延ばしするんだけど、それって相手にとったら時間の無駄なのね。しかも後から本題を聞いて、そこまでの流れから『じゃあ、お願いしようかな』なんて、なるはずないのが分からないかな?」
「・・・」
「こっちにしたらさ、ある種の詐欺にあったようなもんだよ。あたかも立派な話をすると見せかけて、実は社労士のマッチングサイトでした~、テヘ!なんてさ。一言目でそれを言ってくれたら、2秒で終わったんだよ?」
「大変申し訳ございませんでした、以後、気をつけます」
「マッチングサイトだと最初に言うな、って、マニュアルに書いてあるの?」
「・・・はい」
「なら仕方ないね。それであなたは、そのマニュアルに疑問を抱かなかったの?」
「・・・ちょっとおかしいな、と思いました」
「なるほどね。そしたら今すぐ、その会社辞めな。あなたが輝ける場所じゃないから」
「・・・ですね、分かりました。ありがとうございました!」
こうして、無意味か有意義かは相手次第だが、なんとなく若いおねえちゃんをからかって5分を費やすこともある。
おっと、前置きが長すぎた。実はいま私が抱えている「めんどくさい」問題は、電話に関することではない。銀行に関することだ。
ジャンケンに負けた私は、とある会社の代表取締役を務めている。そのため、弊社の雑務をこなす義務があるらしい。そして今、社会保険料の口座振替金融機関を変更する、という重大な任務を任されているのだ。
この届出が電子申請できたら、どれほどラクであろうか。電子申請がダメでも、郵送で手続きが済めばどれほどラクであろうか。
ところが旧態依然とした日本の金融機関(銀行)は、午前9時から午後3時までしか窓口業務を行わない。しかも恐ろしいことに、これは法律で定められているのだ。
銀行法施行規則第16条には「営業時間」について定められており、
「銀行の営業時間は、午前九時から午後三時までとする。」
と明記されている。昭和の時代の産物は、令和の今も健在である。
なーんで午前9時から午後3時の間でしか、窓口業務をやらないんだ?というか、口座振替の申し込みなんぞ郵送でいいじゃないか。むしろ口座から勝手に引き落としていいと言っているのだから、ありがたく受け取ればいいだけなのに!
ということで、かれこれ一週間以上、銀行へ行けていないズボラな私なのである。
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