パーフェクト・ヒューマンエラー

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社労士の仕事では「電子申請」を利用することが多い。そもそも紙で申請することなどほとんどないので、毎日PCとにらめっこするのが社労士の仕事なのかもしれない。

 

ちなみに私が社労士になりたての頃、社労士の知り合いも先輩もいなかったため、日々、Google先生の指導を受けながら過ごしていた。そして電子申請については「e-Gov(イーガブ)」へ直接問い合わせをしていた。

当時はまだ電子申請というものが浸透しておらず、ほとんどの社労士が紙で届け出を行っていた様子。だが「ほとんどの社労士」を誰一人として知らないため、ほかの社労士がどのように手続きを行っているのか、知る由もない。

こうして、Googleとe-Govに育てられた「二次元社労士」が誕生したのだ。

 

しかし当時も今も不思議に思うことがある。それは、電子申請の内容に誤りがあった場合、訂正は「紙」で行わなければならないということだ。たしかに訂正用のフォーマットが存在しないため、届け出のしようがないのだが、だったら訂正用のフォーマットを作ればいいのでは?

 

「算定基礎届」という、年に一度社会保険料の等級を決定する手続きがあり、今回その訂正が必要となり「訂正願」を郵送した。投函したのは一か月前、返信用封筒も同封しているのになぜか返信がない。

(何か不備でもあったのだろうか)

さすがに9月からの社会保険料の等級なので、管轄する事務センターへ進捗確認の電話をする。

 

「えーっとですね、まだ処理はされていませんね」

なんと、一か月前に届け出た手続きが未だに処理されず寝かされていたのだ。しかしこれには理由がある。

「算定の処理がまだ落ち着かなくて、順番に処理していますのでもうしばらくお待ちください」

7月前半、全国一斉に届け出がされる算定基礎届の処理が終わらないため、そちら優先で作業を進めているからだ。

 

これは本当にかわいそうだと思う。電子申請という名の元、申請者はネット環境さえ整えば24時間いつでも申請が可能となった。しかしその処理の仕方は昔と変わりなく、マンパワーで回しているのだ。

電卓の裏側で、人間がそろばんをはじいているイメージ。

電卓が計算処理をしているわけじゃない。人間が手作業で計算しながら、その答えを表示しているだけなのだ。

これではデジタル化だのDXだのが泣くだろう。ヒューマンエラーを減らす目的が、逆に担当者の負担が増えているともとれる。

 

そして私が届け出をした「訂正願」も順番待ち状態。その処理方法は、紙に記載されている正誤を見ながら、人間がデータ上の数字を書き換えていくというもの。

 

まぁこの方法が予(かね)てから行われていた「紙での申請」というやつだが、どうしてこの方法をそのまま残したのか理解できない。

たとえば、添付資料との突合せが必要だったり、年金機構側の審査が必要であったりするならば別。だが、添付資料不要の単なる数字の入れ替え作業ならば、わざわざ人の手を介さずともできるだろう

なんというか、人間の能力をもっと有効なところで使わせてあげたらどうかと。

 

これとは別に、

「何のためのマイナンバー入力なんだろう」

と感じることもある。昨今、雇用保険や社会保険の得喪を電子申請する際、マイナンバーの入力が必須となっている。そして審査過程で、マイナンバー情報と申請された個人情報が合致しているかチェックされるのだ。

 

ある日、こんな返戻通知が届いた。

「名前の読み方が違うので、ご確認ください」

内容は、東さんの読み方が「ひがし」ではなく「あずま」が正しいので訂正しろというもの。

私は顧問先から共有された情報に沿って申請したのだが、どうやら名字の読み方を間違えて入力してしまった様子。しかし人間たるもの過ちはつきもの。そこは仕方のないことだし一定量のミスは必ず発生するわけで。

 

そこで、だ。

「じゃあ、なんのためにマイナンバーを入力しているのですか?」

と問いたい。マイナンバーの情報が優先されるのなら、そちらで訂正して処理を進めればいいのではないか?手元に正しい情報があるにもかかわらず、あえて間違いを追及するようなやり取りが必要なのだろうか?

処理する側もされる側も、迅速かつ簡潔な方法を望むことに異論はないはず。そしてマイナンバーとは、ヒューマンエラーを減らす目的もあったはず。

 

仮にマイナンバーに沿って処理を進めた結果、その内容が間違っていたのならば、該当者本人がマイナンバー情報(戸籍や住民情報)を訂正するまでのこと。

いずれはマイナンバーを記入することで、本人情報の入力を省略できるようになるはず。そうなったら申請者の誤記など関係なくなるのだから。

 

 

デジタル過渡期の現在、マンパワーとデジタル化の板挟みで試行錯誤を強いられるのは、国や行政で働く人々だ。決して彼らが悪いわけではない。ドラスティックに改革を進められない、国や指導者が残念すぎるだけで。

 

だがもしかすると、ヒューマンエラーというものを堪能できるのは今のうちかもしれない。

ならば目くじら立てずにミスすらも楽しんでやろう、と仏のような殊勝な考えに改めようかと思わなくもない、今日この頃である。

 

 

サムネイル by 希鳳

 

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4件のコメント

同感ですーーーー
訂正はすべて紙…早く訂正フォーマットつくってほしい😭
マイナンバーも、どうせ住民票登録とあわせるならそっちで処理進めてほしい
この間、外国人の読み方違うって電話きて、じゃあ住民票どおり処理してくださいっていったら
「備考にそのむねかいて再提出してください」
ってなんなのそれって感じです…

あれ?住民票に読み方って登録したっけ?

アタシが区役所にいた当時、年金登録のために外国人の名前をカタカナで聞いて、カタカナじゃ表せない名前(フランスやアフリカ地方の独特な発音)が多くて、「ワタシハ、ソンナナマエジャ、アリマセン!」って怒ってたのを思い出した笑。

登録自体は必須ではないんでしょうねー
役所で、情報見ててもカナ出てくる人と、英語だけの人いますし💦
手続きのとき、お客さんから住民票添付してもらったんですけどそれ自体には載ってないんですよね…
で、読み仮名聞いたんですよー
その読み仮名で申請したら、違うって言われて💦
登録あっても住民票には載ってこないんだなーと

戸籍法上、読み仮名の登録ってないから普通はないはずなんだよね。住民票は行政によって、あったりなかったりだと思う。港区はないはず笑。

あの日本語でどうにかしようとするやり方、やめた方がいいと思ってる。ローマ字でいいじゃん。発音できないカタカナや、ンから始まる名前とか、そもそも日本語ありきの枠内に収めようとする考えが間違ってるし、時代遅れだと思うから。

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