羽田空港スタンプラリー

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今日は久しぶりにテーマパークへやって来た。

テーマパークといえばディズニーランド。ミッキーやミニーをメインキャラクターとした、たくさんの仲間たちが出迎えてくれる、大人も子どもも楽しめる夢の国である。

 

今回のテーマパークはアトラクションなどはなく、キャストのお兄さんお姉さんたちが順路を案内してくれる「スタンプラリー」のようだ。

ミッキーのようなメインキャラクターは見られないが、メインテーマはいたるところに貼られている。

 

「COVID-19」

 

そう、ここは日本の空の玄関、羽田空港国際線ターミナルである。

 

 

コロナ禍で失業者が増えたと聞くが、ここは違う。逆に新たな雇用の創出に成功しているパターンだ。

入国の際のPCR検査と誓約書等の書類チェック、そして入国者健康居所確認アプリ(MySOS)の使い方やスマホの通信設定等を徹底するために、何百人ものキャストが朝の5時半から笑顔で待ち構えているのだ。

 

早朝便で帰国した乗員らがツラツラと、眠い目をこすりながら矢印に沿って進まされる。各チェックポイントでは、キャストからスタンプラリーに必要な用紙を手渡され、スタンプをもらうと次のポイントへと進まされる。順路の途中でもキャストが待ち構えており、笑顔で行き先方向へ手を伸ばしている。

 

わざわざ一カ所で色々なグッズを渡さないところも、スタンプラリーのにくいアイデアだ。

一人でトボトボ歩かされては疲弊してしまうが、途中途中でちょっとしたグッズをもらったりすると、死んでいた目は輝きを戻し、まだ歩ける!という自信とやる気が湧いてくる。人間の心理を突いた、実に巧妙な作戦といえる。

 

何カ所かのチェックポイントをクリアしたところで、ちょっとしたグッズを手渡された。

「この先で使いますので、これを持ってお進みください」

小型の漏斗(ろうと)と、小指ほどの大きさの液体採取チューブだ。そのままズンズン進むと新たなキャストが現れる。

「ではこちらのブースで唾液を採取してください。終わりましたら量のチェックをさせてください」

簡易パーテーションで仕切られた男子トイレのような微妙な空間に入り、壁に書かれた唾液採取の注意を読みながら口の中にツバを溜める。ふと、左に何かの写真が貼ってあることに気づく。

(・・でっかりレモンだ)

そう、親切なことに「レモンの画像」が貼り付けてあるのだ。せっかくだからそれを見ながら、ダクダクとあふれ出るツバを蓄える。

そろそろかな?というところで、採取チューブのキャップを開けて漏斗を突っ込むと、大量のツバを垂らした。

(よし!一発クリア)

規定量をきっちり超える唾液を確認するとキャップを閉める。キャストのお姉さんも満足げに頷く。しかし唾液を受け取るキャストは別の場所にいるため、そのままスタンプラリーを続行させられた。

 

 

「オカエリナサイ。デハコレカラ、アプリノセツメイヲ シマスネ」

 

「唾液採取ゾーン」が終わると、次は「アプリゾーン」に入る。驚くことに、ここのキャストは全員が外国人の模様。そして日本人のわたしは、外国人のキャストから、日本語でアプリの説明を受けるのだ。

――これは一体どういう仕組みなんだ?どこかの人材派遣会社から送り込まれているのか?それともてんでバラバラな在日外国人が、アルバイトでここへ集まっているのか?

 

なんとも巨大なバックボーンを感じずにはいられない。わたしは思わずキャストの男性に尋ねた。

「(会社は)どこから来ているんですか?」

「アルゼンチンデス」

・・・質問の仕方がわるかった。出身地を答えるのは、当たり前だ。

そしてどうやら彼は、立候補してこの仕事に就いているらしい。よって、彼の勤務先で立候補した従業員らがここへ来ているのかもしれないし、ネット等で在日外国人向けのアルバイトとしてここがあるのかもしれないし、実情はよく分からない。

 

だがわたしの両隣りでも、外国人キャストが帰国した日本人に向けて、わりと流暢な日本語で説明をしている。

――なんとも不思議な光景であり、むずがゆい感覚であった。

 

 

10カ所ほどのチェックポイントを通過しながらスタンプをもらい、多くのキャストに笑顔で見送られながら進んできたこのラリーも、いよいよ終わりを迎えようとしている。

ゴール地点には、大きなモニターとともにたくさんの椅子が並べられており、自分の番号が表示されたら最後のチェックポイントで書類を受け取り、それを持って入国審査へと向かうのだ。

 

そう、このスタンプラリーは、入国前のアトラクションみたいなものなのだったのだ!

 

 

羽田空港でスタンプラリーを楽しめるのは、もしかしたら今だけかもしれない。この機会にぜひ、羽田空港スタンプラリーをエンジョイしてみてはどうだろうか。

 

 

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