※BGMはCateenのピアノによる「炎/LiSA」でお楽しみください
死に方を選べるのならば、夢を見ながら死にたい。
叶わなかった夢に包まれて幸せに死ねたならーー
そう願う人は多いだろう。
だが私は、もう生きていたいとは思えないほど、最悪の夢を見ながら死にたい。
*
夢は幸せだったり悪夢だったり、見たいジャンルを選べるものでもない。
見ている夢に意味があるかどうかも不明。
しかし現実として「夢のなかで生きている」場合、そこから覚醒させてあげることが本当の幸せなのだろうか。
先日、著名人の洗脳について友人らが盛り上がっていた。
「あれは騙されてるよ、顔がヤバいもん」
行動や言動がおかしく、誰が見ても洗脳されている状態らしい。
洗脳ではなく薬物の影響で奇行に及ぶ場合もあるが、いずれにしても本人の脳内は「幸せ」な状況だと思われる。
鬼滅の刃・無限列車編を鑑賞した私は、眠らされた人々が夢のなかでは幸せだったことを思い出した。
正確には、鬼が作り上げた仮想現実を見るために、人を殺してまでも幸せな夢を求めていた。
「本人がそれでいいならほっとけば?」
水を差すようで悪いが、なんら関わりのない著名人の奇行などほっとけばいい。
むしろ洗脳されているのが友人であっても、本人が幸せならばそれでいい。
なぜ幸せな夢から叩き起こすようなマネをするのか。
「だって仕事で迷惑かかってるし」
「ヤバい状況だからほっとけないじゃん」
友人らは人情味あふれる優しい心の持ち主だ。
私には到底理解できない。
洗脳によるコントロールで仕事をドタキャンする。
そのせいで多くの人が迷惑を被り、本人は会社をクビになる。
そんなこと、洗脳や薬物の影響がなくてもよくある話だ。
非常識と呼ぶか無責任と呼ぶか、一般的にはそんな感じで受け止められている。
この日は避けたほうがいい。
この方向は行かないほうがいい。
この仕事は断ったほうがいい。
誰かにそう言われたから仕事をキャンセルするのは、まだ分からなくもない。
しかしドタキャンの大部分は洗脳などされておらず、自主的に都合よく行われている。
最近は「コロナ」という不可抗力の理由を使い回すことで、面接拒否、シフト拒否、遅刻早退なんでもありという「ウソだらけの雇用環境」が生まれつつある。
結果がすべてであり、洗脳でも薬物でも病気でもパーソナリティでも、そんなものは大した問題ではない。
そういう相手を選んだ自分にも責任がある、と言い聞かせるしかない。
*
かく言う私も、仕事で友人を失った。
友情からくる「分かってもらえること」と、職責からくる「分かってあげられないこと」の境界線があいまいになった結果だ。
友人は精神を病み、連絡すら取れなくなった。
多分、次に会うのは法廷だろう。
仕事をする、ということは何らかの契約を締結することを指す。
労働契約、雇用契約、業務委託契約、請負契約。
いずれも報酬と責任が発生する。
仕事でミスがあり責任を追及しなければならない場合、契約に則って形式的に進めればいい。
しかし「精神を病んでいる」となると、現実的には非常に難しい状況となる。
さらに、
友人としてどこまで擁護すべきか?
こうなる前に助けることはできなかったか?
どうしても割り切れない感情が渦巻く。
こうなると、もはや現実より夢を生きた方が幸せではないだろうか。
*
「期待しなければいいんじゃない?」
私は友人らに言った。
著名人が洗脳されてかわいそうだとか、もう一度活躍してほしいだとか、そういう期待をしなければいい。
理由はどうあれ、その人生を選んだのは紛れもなく本人なのだから。
おいしそうな匂いが漂ってくれば足は自然とそちらへ向く。
おのれの琴線に触れる本を読めばそれがバイブルとなる。
きっかけなど何でもいいし、何でもきっかけになり得る世の中だからこそ、夢の中で幸せに生きている人のことはそっとしておけばいい。
それが良いとか悪いとか、そういうレベルの話ではないのだから。
現実を生きる私は、死ぬときくらい夢を見ながら死にたい。
できれば壮絶で凄惨な、おどろおどろしい状況に追い込まれてみたい。
「生きたい」などと思えないほどの悪夢を見ながら、幸せに死にたい。
Illustrated by オリカ
自分も観ましたw
映画館で気付いたことは号泣は親や大人ばかりw
自分も涙腺崩壊でしたw
「煉獄さーん💦」
師匠イラストうますぎですw
ホーリー、あのイラストは同じ名前だけど、美大卒のリカちゃんが描いたんだよ。
しかもパパッとカフェのランチョンマット(紙)にね。
すごいよね、このクオリティ。