そろそろ寝ようと思った午前6時の変

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そろそろ寝よう・・と思った午前6時すぎ、一件のLINEが届いた。

「名前のフリガナが間違っているんですが・・」

顧問先からの連絡だったが、これは一大事である。氏名のフリガナは、健康保険証(正しくは、資格確認書)に記載されるため、ここが間違っていると宜しくないのだ。

過去には”山﨑”や”渡邉”といった、日頃は簡易的に略されがちな漢字の誤りで訂正を行ったことがあるが、今回は名前の読み方のため絶対にスルーできない。

 

そういえば、公的な書類等でフリガナが記載されているのは、現状では健康保険証くらいか。戸籍や住民票(地域によって異なる)はおろか、天下のマイナンバーカードでさえ氏名のフリガナは記載されていないため、小難しい漢字で綴られた氏名を正確に読むのはなかなかのハードルといえる。

とはいえ、「クレジットカードならば、ローマ字で氏名が記載されているではないか!」という声が聞こえてきそうだが、たしかにその通りだ。ところが今回、名前のフリガナを間違えたのは日本人ではなく外国人——つまり、ローマ字で書かれた名前の「日本語での読み方」を間違えたのである。

(この読み方の誤りを確認できる書類なんて、あるはずがない・・)

 

ちなみに、2025年5月26日から”戸籍の氏名にフリガナが追加”される。これは、令和5年6月2日に、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号)が成立し、同月9日に公布されたことによるもので、今後は戸籍や住民票で氏名のフリガナを確認できるようになるわけだ。

行政手続きの流れとしては、今年の5月26日以降に本籍地の市区町村からフリガナの通知(ハガキ)が届くので、そこに記載された読み方が正しければ特段手続きは必要ない。もしも通知に記載されたフリガナが誤っていたら、届出をすることで修正されるため、フリガナの通知が届いたら必ず目を通しておこう。

 

そんなわけで、行政サービスがどんどん便利になる一方で個人情報もどんどん浮き上がってくる・・という、デジタル社会の過渡期にいるわたしは、冒頭で触れた「(健康保険の)名前のフリガナを訂正する手続き」を行うことにした。

しかしながら、一度申請した内容を訂正するには紙の様式で訂正願を作成するしかないのだ——え?行政手続簡素化の3原則とやらで、デジタルファーストとか掲げてなかったっけ・・・。

まぁとにかく、申請内容を訂正するということは”物理的な手間を強制されることへのストレスとの戦い”なのである。無論、そもそも間違わなければ済む話なのだが、エラーこそがニンゲンらしさであり、切っても切れない関係性といえる。だからこそ、訂正についてもデジタルで対応できると助かるのだが——。

 

なお、こういった「行政手続きの訂正」の場合、訂正事項が正しいことの証明・・言い換えると”申請内容が間違っていたことの証明”が必要となる。そりゃそうだ、本来ならば正しい内容で申請しているはずなので、それが「間違っていました」となれば、「ならば間違いであることの証明をしてください」と返すのは当然のこと。

だが今回、外国人の氏名のフリガナということで、本人の申し出以外でこんなものを証明する書類などあるはずがない。そもそも、外国語の発音を日本語に落とし込もう・・という考え自体が図々しいではないか。本来ないはずのものを既存の枠組みに無理やり押し込もうとしているわけで、それこそ不自然であり強引。であれば、日本語の読み方ではなくパスポート同様にローマ字表記でいいのでは——。

 

(・・うん、これは遠い未来に期待するとしよう)

 

ミスはミスとして訂正するしかない・・という現実を真摯に受け止めて、ペンを握り粛々と正しいフリガナを綴る早朝なのであった。

 

サムネイル by 希鳳

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