深夜に突然だが、チョコレートやスイーツといった菓子全般に物申す。
わたしにとってのコンビニでの楽しみといえば、大好きな抹茶の菓子を漁ることだが、ここ数年、紛らわしい偽物が現れたのだ。そう、ピスタチオだ。
(お、新しい抹茶のチョコが出た!)
遠くからでもよく分かる、チョコレートの黒と抹茶の緑のコントラストに引き寄せられるように、わたしはチョコレート売り場の前までやってきた。外国製のチョコなので、濃厚で激甘なこと間違いなし。
――よし、これと熱いコーヒーでブレイクタイムとしよう。
コンビニのすぐ近くにスタバがある。モバイルオーダーで注文しておけば、時間のロスを防げるので先にやっておこう。
そう思ったわたしだが、チョコレートのパッケージになにやら違和感を超える「殺気」を覚えた。
(な、なんなんだ!これは抹茶じゃないじゃないか!)
てっきり抹茶だとばかり思っていたそのチョコは、なんとピスタチオだったのだ。まったく、紛らわしいにもほどがある。一見、完全に抹茶にしか見えない色合いで描かれたパッケージは、よく見るとピスタチオなのだ。
この罠には何度も引っ掛かったことがある。ここ数年、ピスタチオブームなのか?やけにピスタチオ風味の菓子が増えているのだ。あのハーゲンダッツまで、ピスタチオ味のアイスを販売するのだから、正気の沙汰とは思えない。
とくにチョコレートとの相性がいいのか、ピスタチオが入った甘い菓子をよく見かける。元来、あのポジションに座るべきは抹茶なのに・・・。
抹茶は昔から、上品な香りとほんのり感じる苦味がウリのお茶である。そしていつしか、チョコレートという最強の相棒を引き連れて、日本中を、いや、世界中を席巻したのである。
その証拠に、抹茶を英語でGreen teaと言うが、もはやMatchaでも通じるまでに知名度を上げているのだから。厳密には、緑茶のような一般的な日本茶をGreen teaと呼ぶのに対し、濃い緑色で独特の甘い香りのする抹茶をMatcaと呼ぶのだろう。
欧米のカフェのメニューには、ほとんどの店で「Matca latte」の文字が光る。ここ最近のピスタチオブームに乗って、ピスタチオ・ラテなるものも商品化されてはいるが、当然ながらデフォルトのメニューに載ることはなく、あくまで季節的な、あるいは流動的な立ち位置である。例外なのはカルディくらいだろう。
そんなピスタチオに、我らが抹茶はポジションを奪われつつあるのだ。日本の菓子メーカは、こぞってピスタチオ味のチョコレートやスイーツを販売しているし、アイス売り場でも緑といえばピスタチオ味に手を伸ばしそうになる。
(いままではずっと、ここは抹茶のポジションだったのに・・・)
悔しいやら悲しいやら、菓子売り場をくまなく漁っても、そこにあるのはピスタチオの菓子ばかり。わたしの愛する抹茶は、いったいどこへ行ってしまったのだ。
そんな中、さすがはグリコ。期間限定で「濃い深み抹茶ポッキー」の販売を開始した。これは2017年から続く人気商品であり、春季限定ということで今のうちに食べておかなければ後悔すること間違いなし。
というわけで、この時期の我が家には「濃い深み抹茶ポッキー」が常備されている。表面をコーティングする抹茶味のチョコレートには、薫りと旨味が強い石臼挽きの抹茶を使用。さらにプレッツェル部分にも宇治抹茶が練り込まれており、全体的に緑がかったポッキーにグリコのプライドを感じる。
そんな二重の抹茶が織りなす深い味わいを堪能しながら、わたしの夜は更けていくのである。
抹茶チョコは人を幸せにする。
濃い深緑色が視覚から心を落ち着かせてくれるし、ほのかに漂う上品な香りもリラックス効果がある。そしてほろ苦い抹茶の旨味と、チョコレートの軽やかな甘みとが見事にマッチした結果、人々の心を虜にするのだ。
ピスタチオには成しえない境地に、抹茶は君臨する。ただそのことを伝えたい一心で、わたしはこうして抹茶チョコを貪るのである。しかも深夜に。
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