事務方ビジネスパーソンの必需品といえば、やはりレターパックだろう。
一時、「レターパックで現金は送れません!」という、特殊詐欺の注意喚起が流行った時期もあったので、名前くらいは知っている人も多いはず。
そんなレターパック、通称「レタパ」は、A4サイズで重さ4㎏までの品物を、全国一律料金で送ることのできる、非常に便利な郵便サービスである。
とくに優れている点は、追跡サービスにより郵便物の配達状況が確認できることだろう。
さらに、ゆうパックのように郵便窓口への持参や集荷依頼をしなくても、街中のポストへ投函することで完了するため、24時間365日いつでも利用できるという利便性もありがたい。
ちなみにレタパは、対面で配達してもらう「レターパックプラス」と、郵便受けに配達される「レターパックライト」の二種類が用意されている。
全国一律520円で利用可能な「プラス」は、赤く縁取りされた厚紙の封筒のため、「レタパの赤」などと略されることが多い。
そして「ライト(一律370円)」のほうは、青く縁取りされているため「レタパの青」と呼ばれている。
社労士であるわたしがレタパを使う場面といえば、やはり助成金の申請だろう。今でこそ電子申請できる助成金も増えてきたが、未だに紙ベースでなければ申請できないもの多いため、レタパの利用頻度はそれなりに高いといえる。
なかでも「レタパ青」を好んで使っているのだが、わたしが好んで使うということは、社労士に限らず事務方にとって使い勝手のいいサービスであることは間違いない。
よって、社内に10セットは常備しておきたい必需品なのである。
そんなレタパ青の在庫を切らせてしまったわたしは、仕方なく補充に出かけた。しかし運悪く、郵便局の営業時間が終わっていた。
こちらも日中、書類作成に時間を費やすわけで、いざ投函しよう!という頃にはすでに日も暮れている。つまり、わたしと郵便局とで、お互いの勤務時間帯が同じというわけだ。
だが案ずるなかれ。レタパのみならず切手の販売や、ポストまで設置されているコンビニが存在するのだ。そう、それはローソン。
ローソンがあればポストを探す手間も省けるし、切手なりレタパなりを購入して、その場で投函することが可能。
そこで早速、近所のナチュラルローソンへと向かった。
「申し訳ありません!ついさっきまでたくさんあったんですが、あるお客様がすべて買い占めてしまい・・・」
またこれか。そういえばいつも、たまたま在庫切れでここへ来ると、毎回「申し訳ありません」と謝られている。
そして毎回、決まった客がすべてかっさらった結果、ナチュラルローソンの在庫がゼロになっているのだ。
(定期的に大量購入するなら、郵便局のネットショップで買えよな・・)
もしも目の前にその客がいたならば、優しく微笑んでそう教えてやるのに。
心の中で舌打ちしながら、わたしはナチュラルローソンを出た。そして反対方向にある普通のローソンへと向かった。
「申し訳ございません、レタパの青は在庫切れなんです・・」
なんだと!?まさかの門前払いとは。
とはいえまぁ想像はつく。あのナチュラルローソンでレタパ青を買おうとした客が、徒歩5分の距離にあるこのローソンまで足を運んだ可能性は高い。
なぜなら正にわたしが、それを狙ってここへ来ているのだから。
(ならば仕方ない。目的地の途中にあるローソンで購入しよう)
じつは地下鉄メトロの駅、とくに都心の駅構内には、ローソンが設置されている確率が高い。
今から7年前、地下鉄駅構内の売店を展開する株式会社メトロコマースとローソンが業務提携したため、かつてのメトロスがローソンへと切り替わっているのだ。
さらに銀座線・溜池山王駅には、改札の手前に立派なローソンが構えており、なんとポストまで設置されている。
そのため、郵便物を投函したいときや切手やレタパを購入したいときなど、雨に濡れることなく駅ナカですべてを済ませることができるとあり、溜池山王駅がいかに優れた駅であるかが証明できる。
迷うことなく溜池山王駅へ直行したわたし。そんなわたしに店員が放ったひとことは、
「申し訳ありません」
だった。ここでもやはり、同じセリフを吐かれて終わったのである。
だがこんなことではめげないわたしは、さっそく、隣りの駅である赤坂見附へと向かった。
ネット検索したところ、赤坂見附駅構内にもローソンがあるとのこと。ならば突撃するしかない。
「申し訳ありません、うちでは取り扱っておりません」
・・・。
そうだよな、こんな小さな店舗では、ポストはおろか切手すら販売している気配はない。考えればわかることだった、いやむしろわたしが悪かった。
その後、予定をこなして疲弊したわたしは、ふと考えた。
(今日は、レタパ購入をあきらめたほうがいいのだろうか)
いや、そんなわけにはいかない。なにがなんでも今日中に投函しなければならないのだ!
こうしてわたしは、そこから徒歩10分ほどの距離にある、永田町のローソンへと向かった。
時間は23時半、いったい何をしているんだわたしは・・。
「レターパックありますよ」
アルバイト店員と思しき外国人のお姉ちゃんが、笑顔で引き出しを漁る。
(あぁよかった!さすがに神は見捨ててはいなかったのだ)
ホッと一息つきながら、レタパに同封する資料を見返していたところ、お姉ちゃんが戻ってきてこう言った。
「ごめんなさい、青は売り切れです」
*
全国のローソンの店長さんよ。見ての通り、レタパ青は大人気なのだ。
どうか仕入れの際に、レタパ赤の倍の枚数を注文してはもらえないだろうか。
なぜ深夜に及ぶまでローソンを徘徊し、あげくの果てにレタパ青を手に入れることができないなどという、屈辱的な仕打ちを受けなければならないのか。
たしかに、在庫を切らせたわたしが悪い。だがたまにはそういう日もあるだろう。
そしてそういう時に限って、急ぎでレタパが必要となる事態に迫られるわけで、頼みの綱、いや、もはや天国ともいえる場所こそがローソンなのだ。
ローソンの店長よ、どうか郵便局からレタパ青を買い占めてくれ。
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