カピバラウォッチャーで有名なわたしは、毎日、暇さえあれば世界中のカピバラを観察している。
最近では、カピバラの画像を見ただけで「どこどこの誰々だ」と、個体を識別できるほどに目が肥えてきた。
そんなわたしが思う、カピバラの面白いところを紹介しよう。
しかし、ただ単に面白いといっても主観的な話になるので、今回はカピバラvs他の動物という組み合わせで考えてみたい。
まず、動物園にいるカピバラは、カピバラ単体で飼育されている場合もあれば、他の動物と一緒の場合もある。
相性がいいのは、同じ齧歯類で天竺鼠(テンジクネズミ)科のマーラだろう。
マーラは中型犬ほどの大きさで、スリムなボディと細長い手足を持つ。カピバラとは違い、誰がどう見てもキュートで愛らしいマーラ。まるでバンビを彷彿とさせるつぶらな瞳を潤ませるなど、ある意味、確信犯的な可愛さを持っている。
そんなマーラとカピバラは同じような毛色をしているので、一緒に昼寝をしていると、デコボコの巨大なジャガイモが転がっているようにしか見えない。
さらに砂場や枯れ葉にまみれていると、遠目にはどれがカピバラでどれがマーラか分からないくらい、環境と同化していることもある。
・・おっと、こんなどうでもいい話は置いておいて、本題に入ろう。
同族のマーラはまだしも、なぜか「カメ」と一緒に過ごすカピバラが多いのには驚く。
お互い干渉せず、無駄な喧嘩も起きない間柄のため、人畜無害という点において相性はいいだろう。
そしてカメの中でも「ゾウガメ」と一緒の場合が多く、エサの種類が同じという共通点がある。
主に野菜や果物を食べるカピバラと、そのおこぼれを盗むゾウガメという、シュールな映像は何度見ても面白い。
そんなある日のこと。カピバラに食事を与えるために、飼育員が大量の野菜を運んできた。
待望のご馳走を目の前に、ワンワン吠えながら感情を爆発させるカピバラ。そんなカピバラの足元で、カメもおこぼれのチャンスを狙っていた。
完全に野菜に気を取られたカピバラは、喜びのあまりグルグルその場を小躍りしていたところ、足元のカメを踏んづけて蹴とばしてしまったのだ。
昔懐かしい「スーパーマリオブラザーズ」に登場する、カメのキャラクター「ノコノコ」が、踏んづけられて遠くへピューッと飛ばされるかのごとく、カピバラによってカメは遠くへ弾き飛ばされてしまったのだ。
カピバラとの共同生活において、不運続きのカメ。
ある時、カメが池から這い上がってきたところ、ちょうど池に入ろうとするカピバラと遭遇。
案の定、カメのことなど気にしていないカピバラが、躊躇なくカメを蹴ったため、再び池の中に突き落とされるというシーンを見た。
また、食べる速度が非常に遅いカメの口から、食べかけのニンジンをカピバラがもぎとる光景なども日常茶飯事。
そんな哀れな姿を見るたびに、
「よくぞこんな関係性で、仲良くやっていけるものだ」
と疑問に思うのだが、なぜか両者ともそこそこ仲良くやっているから不思議である。
カメの次はペリカンだ。
なんなら「カピバラ ペリカン」と検索してもらったほうが早いかもしれない。
なんとペリカンは、カピバラを食べ物だと思っているのだ。
とくに子どものカピバラがいると、隙を狙ってパクパクと仔カピを挟むわけで、ややもするとそのまま食べてしまうのではないか?という勢い。
ペリカンは顔を横に傾けて、小さなカピバラの胴体をパクパクと挟む。対する仔カピは、なぜかさほど嫌そうではない。
さらに何度かパクパクしてから、首をかしげるペリカン。
(ふぅむ。これは食べられるのか否か、判断が難しいぞ)
そして再びパクパク挟んでいると、横からじろりとにらみつけるカピバラが。そう、仔カピの母親だ。
その冷たい視線に気づいたペリカンは、しれっとくちばしを外して、首をかしげながらどこかへ消えていった。
・・・シュールだ。なんともシュールである。
このように、カメもペリカンも単体ではさほど面白くないが、ひとたびカピバラと絡むと、一気に笑いのネタとなるのだ。
相手のキャラを生かすも殺すもカピバラ次第。
あぁ、なんと奥が深くて底知れぬ魅力を持つ生き物なのだろうか。
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