浮腫杉(むくみすぎ)、南フランス出身、コンクリート樽部屋

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(久しぶりにむくんでるな)

 

運動不足か塩分とりすぎか、はたまた生理のせいか浮腫(むく)みがひどい。手をグーにするとドラえもんのようだ。

 

もっとも浮腫みを感じるのは、足の指をグーにした時だ。

グーにしなくても見ればわかるが、足首からつま先までがツルンと滑らかな丸みを帯びている。針を刺したらピュッと何かが飛び出そうな膨らみだ。

 

浮腫みは単に「水分をまとっている」状態ゆえ、「太った」という表現はふさわしくない。

溜めこんだ水分を吐き出せば体重は戻るわけで、そう怖がるものでもない。

 

だがやはり数字こそ事実。体重計が指す「大台突破」には目をそむけたくなる。

 

さらにカフェで「仕事の出来るオンナ風」に足を組もうとするが、浮腫みのせいで足が重ならない。

慌てて、両手で太ももを掴んで持ち上げ、逆の太ももの上にドテンと乗せてやる。

ーーこれじゃデキルオンナが台無しだ。

 

ということで、わたしが実践する効果的な「水抜き」を紹介しよう。

 

まずはカフェに行き、コーヒーを注文する。

「トールドリップ、トールアメリカーノ、トールカプチーノ、グランデコールドブリュー」

とりあえずはこんな感じのラインナップ。

 

カフェインには血管を拡張させ、血液量を増加させる効果がある。それに伴い尿の生成量が増え、排尿の回数や量が増加する。よって、体内の老廃物が排出されやすくなるのだ。

 

このように、まずは手っ取り早くカフェインの力を借りる。

ちなみにわたしは、一日2リットルのコーヒーを摂取することで効果を実感している。

 

つぎに食べ物だ。

体内を軽くしたいからといって「食べない」というのは大間違い。

腹が減ったらしっかり食べて、代謝を上げなければならない。

 

では何を食べればいいのか。

 

ズバリ、トウモロコシとサツマイモだ。

 

野菜はそのほとんどが水分でできている。さらにトウモロコシはカリウムや鉄分、マグネシウムなどのミネラル類を含むため、浮腫みにはもってこいの穀物。

サツマイモも同様に、カリウムや不溶性食物繊維を多く含み、老廃物の排出に働きかけてくれる。

 

そしてこの2つは満腹感を得やすく、

「あー食った!」

となるため、減量時にはお世辞抜きでありがたい食物なのだ。

 

最後の仕上げは風呂。

水分や老廃物を尿でガンガン排出した後は、湯船に浸かることで発汗を促し最終調整する。

半身浴で2時間、スマホをいじりながら適当に過ごしていればあら不思議。あっという間にマイナス2キロの出来上がり。

 

プロ格闘家の水抜きとは違い、大した苦痛も伴わず、むしろ快適に水分を押し出すことができる。

風呂から上がり、手をグーにすればドラえもんからヒトの手に戻っている。

足の指もしっかりグーができ、筋や血管がクッキリと浮き出ている。

 

こうしてわたしは「むくんだら強制的に排出させる」ことで、腎臓の機能を確認しつつ、減量を楽しんでいる。

 

 

しかし浮腫みは恐ろしい。

ガラス張りのビルに映る自分を見て驚いた。

 

わたしは今日、ヒョウ柄の風呂敷のような形状のワンピースを着ている。

イメージでは、

「南フランスのプライベートビーチを散歩する、ハリウッド女優」

になりきっている。

 

そしてビルケンシュトックのサンダルを引っかけて、軽やかにカフェへと向かっていた。

 

だが正面のガラスに映る女は、失礼を承知で言えば力士だ。

 

太くて立派な脚を外側に蹴り出しながら、地面をノシノシと踏みつけて向かってくる。

すれ違う人々が道を開ける有り様。

 

(ウソだ・・)

 

そんなはずはない。南仏の美女はどこへ行った。

それどころか、ヒョウ柄の風呂敷に身を包む太った力士がズンズン向かってくるじゃないか。

 

ーーそうか、むくんでるせいだ!

 

浮腫みとは恐ろしいものだ。

体重云々よりも、下半身に溜まった水分のせいで太もも周りの太さが倍増し、股ずれを起こす。ぶつかり合う内もも同士が反発し、脚は外側へ蹴り出される。

その歩き方がどうしても「力士」を彷彿とさせるのだ。

 

カフェのベンチに腰掛け、脚を組もうにも持ち上がらない。

床に落ちたレシートを拾おうと屈(かが)むも、腹と太ももがぶつかって跳ね返る。

挙句の果てにはふくらはぎを蚊に刺された。

 

・・さっさと部屋に戻って水抜きしよう。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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