東大G判定、MENSA上位のサイモンという男

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サイモンは、仲のいい友人だ。

そしてサイモンほど優秀な人間を、未だかつて見たことがない。

 

IQが高いだけでなく、人間性やらユーモアやら、ヒトが欲しがるいくつもの要素を持ち合わせているから、この世は不公平なものだ。

 

いつかサイモンの闇を暴いてやろうと、わずかな隙を狙い続けるが、10年経っても見つからない。

 

**

 

私は友人に恵まれている。

自分自身に大した能力がないことを察知すると、その「不足分」を優秀な友人らで補い、盤石な布陣を形成するのが、私の強みであり特技だ。

(そして、あたかも自分が”デキる人”であるかのように見せるのだ。私は、虚栄を張らせたら上位2%にランクインするくらい、ずるがしこい人間である。エヘン。)

 

そんな虚栄番長(私)の、友人代表格がサイモンだ。

 

サイモンは賢い。

例えば、先ほどの会話で、

 

(送信されてきた弁護士バッジの画像を見ながら)

私「なんか(汚れが)緑がかって苔が生えてるみたいだ」

サ「純銀だからな」

私「純銀だと苔が生えるのか?」

サ「苔じゃない」

私「あ、カビ?」

サ「錆だろ・・・」

私「サビ?!」

サ「・・・(無視)」

 

このように、サイモンは私が知らないことを、いつも教えてくれる。

私がバカすぎるのでは、という意見は却下。

 

つまり、GoogleSiriなんかに聞くより、Simonに尋ねた方が、より正確に私が必要とする情報を与えてくれるのだ。

(ヘイ、サイモン!)

 

 

サイモンは幼少期をロンドンで過ごした。

その時点で、Mensa UK(メンサのイギリス支部)の上位メンバーになれたほど、IQが高かった。

つまり、イギリスの上位2%の知能を持った生意気なガキだったのだ。

(おっと、口が。)

 

神童は日本へ帰国し、大学受験を迎えた。

事前に模試を受けたサイモンは、その判定を不思議に思った。

 

「(東大)G判定」

 

ちなみに、私は東大F判定だった(模試だから誰でも志望できる)。

そして予備校の先生から、

「F判定のFは不可のFだから、可能性はゼロだ。志望校を変えたほうがいい」

と、必死に説得された。

(本気で志望するわけねーだろ)

 

そんな私の「F」をさらに下回る「G」とはなんだろう?

というか、G判定なんて初めて聞いた。

Gは、つまり「判定不可能」ということだろう。

ありえるとしたら、氏名を書き忘れたとか、なにか記入漏れがあった場合の、形式的な判定だと推測される。

 

サイモンは思った。

「まぁ勉強してないし、こんなもんだろう」

 

(いや違う。オマエは何かを記入し忘れたはずだ。)

 

親御さんはこの神童を、自由にのびのびと育てたと思われる。

そして「真の賢さ」とは、日本の受験教育などでは測れないことも、すでにご存知だったのだろう。

結局、サイモンは勉強をしなかった。

そして東大へは行かず、早稲田大学法学部へトップ合格した。

(余談だが、早稲田大学は確実に「二極化」している。東大滑り止めの早大生と、必死に早稲田の早大生と、この2種類の学生でできている。)

 

 

大学時代、やはりサイモンは勉強をしなかった。

そんなサイモンには、ロックという親友がいた。

ロックは、大学のテストでサイモンに勝てず、司法試験も(本人曰く、1点足りずに)不合格となり、常にサイモンの引き立て役となっていた。

ロックの口からはサイモンへの恨み節しか出てこないのだが、なかでも痛快だったのはこれだ。

 

「俺は、アイツの足を引っ張ってやろうと計画したんや。

数日前からアイツと遊び続けて、テスト勉強させへんかってん。前日も朝まで飲んで、二日酔いで大学行ったんや。

そしたらな、アイツ『彼女を迎えに行かないといけない』って、テスト前の貴重な2時間をオンナのために棒に振ったんや!

『おー、そうか』って適当に返事したけど、めっちゃ腹ん中で笑ったわ。ガッツポーズや!これでもらった、ようやくアイツに勝てる日がきた!ってな。」

 

(なんてちっちゃい男なんだ)

 

「でな、テストギリギリにアイツ戻ってきてん。オレは2時間、びっちり勉強したんやで。もう結果なんて見なくてもわかるやろ。

 

それが、や。

 

俺は『可』やってん。まぁそんなもんか、と思ってアイツの見たら『優』やねん

勉強せずに、同じ内容のレポート書いて、アイツは直前の追い込みもしてへんのに、なんでこの俺より成績ええねん!おかしいやろ!」

 

(それがつまり、能力というか実力というか、アンタがサイモンに勝てない理由はそこにあるというか・・・)

 

 

このことについてサイモンに確認してみた。

 

「んー、あまり覚えてないけど、俺はあいつに

『それはお前の字が汚いからだよ。司法試験の論文もだけど、字が汚すぎて読めないんだよ。だって、同じ内容のレポート出して、評価がそこまで違うなんて、あり得ないでしょ。だから司法試験も落ちたんだよ』

ってアドバイスしてやった気がする」

 

おお、なんという分析力。

こんなんだから、ロックは一生サイモンに勝てないんだ、と率直に思った。

 

 

その後、司法試験にラクラク合格したサイモンは、司法修習の最終試験でも見事な神童ぶりを発揮してくれた。

それがコチラ。

オール「優」

これらの意味するところは、検察からも、裁判所からも、もちろん弁護士会からも「引く手あまた」ということだ。

(産●新聞記者と麻雀打ってリークされる、などというミスは、サイモンならば犯さないので、ぜひとも検事になってほしかった)

 

テストができればそれだけで優秀か、ということではない。

とは言え、IQもEQも高い人間というのは一定数存在するんだな、ということをサイモンを見ていると感じる。

 

**

 

――とある土曜日の夜。

豪華な手土産(食事)を持参し、サイモンがやってきた。

 

「…よろしくお願いします」

 

いつになく低姿勢なサイモン。

 

なぜか。

 

それは、これから「ミット打ち」をするからだ。

もちろん、ミットを持つのはこの私だ。

学生時代、極真空手の経験があるサイモンだが、グローブをはめての打撃は素人だ。

 

ミットは持つ側の技量も必要だ。

いや、むしろ持つ側のリードで、打つ側を引っ張れたり、気分良くさせたりできる。

つまり、私の思うがままにサイモンをコントロールできる瞬間が訪れたのだ。

 

(実際、極真出身の打撃は肘にくる。

そのせいで肘を痛めたことは言わないでおこう)

 

 

結局、私がサイモンに勝てる要素は今のところナイ。

しかし、この豊満なフィジカル(筋肉)が、唯一誇れる武器だ。

日頃からサイモンには、頭脳面でお世話になっている。

よって、もしも武力行使が必要なときがきたら、その時こそ日頃の恩返しをしよう。

(その後の仮釈放とか弁護については、再びサイモンに任せる)

 

「力こそパワー」

 

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