漫画から学ぶ、差別があるからこそ平等

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漫画やアニメのジャンルで「悪女・悪役令嬢への転生モノ」が好みのわたしは、ヒロインたる聖女や姫よりも、敵あるいはライバルとなる悪女側に肩入れする傾向にある。まぁ「悪役」といっても結局は主人公なわけで、根っからの性悪オンナというわけではない・・というのも理由の一つだが、平和や信頼ばかりを口にする”脳みそお花畑のヒロイン”に反吐が出る・・というのが正直なところ。

などと二次元作品にムキになるのもどうかと思うが、現実社会においても「聞こえのいい理想論」ばかりを掲げるヒトや組織を信用しないわたしは、場合によってはアニメのほうがまともなんじゃないか・・と思うことがある。なぜなら、「誰もが平等な世界」というのは実際のところ存在しないからだ。

 

「いやいや、アニメでは平和で平等な世界が描かれているじゃないか!」と思われがちだが、転生モノの多くはその舞台が異世界だったり二次元の世界(過去に自分が描いた漫画の世界など)だったりするため、ほとんどの作品で国王や魔王といったピラミッドの頂点に君臨するキャラクターが登場する。

さらに、わたしが好む転生悪女モノにおいては、聖女に対抗しうる魔力を持っていたり、貴族のみが魔術を使えたりする内容が多いため、身分や階級に加えて「魔力や魔術」という特殊能力を兼ね備えたキャラ設定となっている。

要するに、そもそも登場人物の身分や能力に差がある=不平等な前提でストーリーが作られているのだ。

 

その国を治める王の息子や娘に対して従者や護衛がつくのは当然のことだし、そんな若造相手にいい年した大人が跪(ひざまづ)き平伏すのも当たり前。さらに、代々貴族のみが魔力を持つ設定だったりすると、その世に生まれた時点で特殊能力持ちということになり、良くも悪くも特別な存在となる。

ちなみに、魔力の大きさというのは生まれ持って与えられるものなので、どんなに頑張っても後から爆上がりすることはない(という設定の話が多い)。これは、どれほど筋トレをしてもゴリマッチョにならない・・というのと同じかもしれないが、二次元の世界においては魔力の大小で重要人物からの寵愛が受けられたり、身分やパーティーのランクが変わったりするため、魔力量が多い者は必然的にメインキャラに押し上げられるのだ

 

じゃあなんの能力も持たない平民や凡人らは不幸なのか・・といえば、そんなことはない。身分の高い者や貴族、あるいは魔力を持つ者らが平民を守っているからこそ、平和な世界が保たれている。言い換えれば、「適材適所」や「Noblesse oblige(ノブレスオブリージュ)」が徹底されているからこそ、視線の先が他人ではなく「自分」になるのだ。

多くの場合、不平不満というのは他人と自分が同等である(と思う)前提で発生する。これがもしも、敵対する相手が魔術を使えるとなれば、おそらく真っ向勝負を挑むことはないだろう。とはいえ、見方を変えれば武力行使でもあるため、無秩序に魔力を使われたのでは国の統治はできないが、その辺りも踏まえてきれいに収まるところが、二次元作品のいいところである。

 

現実社会に話を戻すと、我が国日本において同一労働同一賃金に関する判例が続々と出揃ってきているが、個人的には「過度な平等は逆に不平等を招く」と考えている。

たしかに、同じ仕事をしているのに「非正規雇用だから」という理由で賃金が異なるのは不平等といえる。だが、企業への貢献度や企業側が抱く期待や信頼など、ヒトに由来する部分にまで法律が介入することが、果たして正しいのだろうか。

もっと踏み込むと、限られた予算の中でこれらのルールを守らなければならないとなると、正規雇用の労働者らは非正規雇用の労働者と同じ待遇に「下げられる」可能性もある。そりゃそうだ、みんなが平等でなければならないということは、下に合わせることを意味するのだから。

 

 

寝言は寝て言え・・というわけで、二次元の世界へ戻るとしよう。

 

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