歪んだベクトル

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(こういう陰湿さが、とにかく日本人ぽくて嫌なんだよな)

広大な砂漠地帯で二週間を過ごしてきたわたしは、帰国早々改めてこの国の”湿度の高さ”と”陰湿な人間性”を目の当たりにした。

 

・・まぁたしかに、全部が全部「労働者が悪い!」というわけではないが、それしにても「いかにラクをしてカネを手に入れるか」しか頭にない、いや、そういうゲームを楽しんでいるかのような不健全さが、とにかく気に入らなかった。

 

 

労働基準法第26条によると、

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」

という決まりがある。これは、経営不振や機械の故障、原材料不足、発注減など、経営上の理由により労働者を働かせることができない場合、休業させた日に対して手当を支給しなければならない・・というもの。

賃金を得ることで生計を立てている労働者にとって、会社の都合で「仕事が与えられない」といわれても困るだろう。そこで国は、会社都合による休業に関しては、一定額の手当を支払わなければならないと定めているわけだ。

 

そのため、フルタイム労働者にとっては死活問題といえる”休業手当”なのだが、学生アルバイトにとってはどうなのだろうか。

無論、「学生の本分は学業だ!」などと、昭和なマインドを押し付ける気はない。しかしながら、休業手当の存在を知った途端に「週2回はアルバイトができるという前提で採用されたのだから、休業手当を払ってもらわないと困る」と言われても、キミはその期間、シフトに入らなくてもいいと言っていたじゃないか——。

 

労働条件(雇用契約)として週2回の勤務を約束しており、何らかの都合で営業を停止しなければならない場合は、休業手当の支給が必須となる。

だが事前に本人の合意を得て、ある一定期間についてシフトに入れない=仕事を与えられないことを了承したにもかかわらず、(休業手当を受給した)社員に煽られたことで、「私たちも休業手当をもらいたい!働いてないのにカネがもらえるなんて、ラッキー!」と、ここぞとばかりにむしり取とうとする低俗さには反吐が出る。

そうやって学生アルバイトを焚きつける社員の人間性というのも、歪(いびつ)であり稚拙なのだが、とにかく「ラクをしてカネを引き出せるなら、とことん引っ張ってやろう!」などという性根の腐った考えを、あたかも正義であるかのように主張するのはやめてもらいたい。同じ日本人として、同じニンゲンとして恥ずかしいからだ。

 

なお、シフトが組めないことへの合意はメッセージにて確認できるだけでなく、その期間について「別のバイトに入る旨」の打診まであった。よって、休業手当の対象とはならないのだが、法の意味や趣旨を理解せずに、「会社から巻き上げられるものは、きっちり搾り取ってやろう!」などと発言してしまうあたりが、どうにもいただけないというか、不快と嫌悪で虫唾が走る。

なぜもっと健全な考えになれないのだろうか——。

 

 

労使間のトラブルというものは、今までもこれからも絶えず続くだろう。とはいえ、互いに立場が違えば明日は我が身であることを理解して、協力し合うことへベクトルを向けるべきである。

その昔は使用者(会社側)の立場が上だったかもしれないが、今となっては明らかに労働者の方が立場は上。なぜなら、労働者を守るための法律を逆手に取った労働者たちが、それを武器に使用者を攻撃するようになったからだ。

 

もちろん、労働者だけが悪いわけではない。トラブルというのは必ず双方に原因があり、片方だけの意見や主張ではバランスがとれない。とはいえ、やり方が酷いのは労働者側である場合が多い・・と、あくまで個人的ではあるがそう感じるのである。

なぜもっと、ポジティブな解決方法を考えないのだろうか。なぜそんな、陰湿で歪んだ考え方しかできないのだろうか——。

 

どうせやるなら、誰かのせいにしたりネットの知識を根拠にしたりせず、正々堂々と戦ってもらいたいものだ。

 

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