“Enjoy your comfortable unemployment life!!”~快適な失業状態をお過ごしください~

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長年勤めあげた会社を辞めて、失業手当(正式名称は「基本手当」という)をフルにもらいつつ、次の就職先でも探そうかな・・と考える、失業者や退職希望者は多いだろう。なんせ、会社勤めの労働者というのは、自己都合で辞めようが解雇されようが、ハローワークで職探しをすれば生活保障として給付を受給できるので、ある意味”安心して離職できる”わけだ。

それに比べてわれわれ自営業者は、そもそも雇用保険に加入できないため、失業状態になっても国は助けてくれない。それゆえ、仕事があるうちにちょっとずつ共済組合へ掛金を納めることで、わずかではあるが将来の退職金を積み立てているのである。

 

このように、自営業者からすると垂涎モノの元・サラリーマンである友人から、

「アルバイトで友人の仕事を手伝いながら、失業手当をもらいつつ求職活動をしたい。なにか注意する点があればアドバイスをもらいたい」

という相談を受けた。

 

まず、雇用保険に加入していたサラリーマンが退職した場合、退職理由と雇用保険に加入していた期間によって、失業手当をもらえる期間が大きく異なる。

たとえば自己都合退職や定年退職の場合、雇用保険の加入が10年未満の場合は90日、20年未満の場合は120日、そして20年以上の場合は150日が上限となる。つまり、3か月から5カ月を限度として給付を受給できるわけだが、それまでに再就職先が決まらなければ生活費も途絶えるため、のんびり旅行でも・・などと悠長なことは言っていられない。

 

これに比べて、倒産や解雇といった「会社から突きつけられた退職」や、勤務地が遠くなったり体調不良で就労継続が困難になったり、あるいは有期雇用契約の更新がなかったりといった、「正当な理由のある自己都合退職」の場合は、最大で330日(ただし、45歳から59歳かつ雇用保険に20年以上加入していた者)もの長期にわたって失業手当がもらえるので、およそ一年間は所得補償を受けられる。

このように、同じくらいの雇用保険加入期間だとしても、退職理由によって大きな差が出る・・ということは、念のため覚えておくといいだろう。

 

ちなみに、求職の申し込みをしたからといって、家でネットフリックスを見ながらゴロゴロ・・というわけにはいかない。失業手当をもらうには、4週間に一度の「失業認定日」にハローワークへ出向き、その期間で2回以上の求職活動の事実を認めてもらわなければならないからだ。

この「求職活動」というのは、実際に企業へ応募をしていることが条件となるので、サイトや雑誌で求人情報を見ただけではNG。とはいえ、ハローワーク主催の就職セミナーや、職業訓練への参加も求職活動として認められるので、実際の就活以外にもこれらで回数を稼ぐことは可能ではある。

いずれにせよ、ちゃんとした活動実績が必要なため、のんびり海外旅行へ行く暇(?)などはないのである。

 

これらの条件をクリアすると失業手当が振り込まれるわけだが、元サラリーマンの友人は「アルバイトをしたい」ということなので、失業手当をもらいながらアルバイトをする際の注意点をいくつか挙げておこう。

 

まずは、”雇用保険に加入できるほど働いてしまうと、もはや失業状態とはいえないので失業手当はもらえなくなる”ということだ。具体的には週20時間のアルバイトを一か月続けた時点で、雇用保険加入が義務=再就職したと判断され、晴れて失業者ではなくなる。

加えて、”一日4時間以上のアルバイトは、失業手当をもらうタイミングが先送りされる”という点にも注意が必要。これは、一日4時間以上=ちゃんと働いたと判断されることから、失業状態と認められないため、その日の手当は本来受給できる日数が経過してからしかもらえない。

さらに、”一日4時間未満のアルバイトでも、一定額以上のバイト代をもらってしまうと、失業手当が減額あるいは不支給となる”ことも知っておかなければならない。では、いくらまでのバイト代ならば減額または不支給とならないのか・・という話になるが、これはヒトによって異なるので一概には言えない。よって、ハローワークで詳しく条件を確認しておくことが重要なのだ。

 

——要するに、社労士であるわたしから元サラリーマンの友人へ送る最適な助言は、「事前にハローワークで相談してくれ」なのであった。

冷たいようだが、これ以外に確実な方法は存在しない。しかも、悪いことをするわけではないのだから、堂々と相談すればいいわけで。

 

“Enjoy your comfortable unemployment life!!”

(快適な失業状態をお過ごしください)

 

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