メンタルをデトックス

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今日の晩飯は、ニンジン3本とグラニースミス(青りんご)2個とデコポンを2個、そして飲むヨーグルトを1リットル飲んだ。全体的に水分ばかりで腹持ちは良くないが、心が乾いている時はこのくらいの水分で潤すのがちょうどいい。

ちなみに、体内に溜まった毒素や老廃物を取り除く目的で"デトックス"を行うことがあるが、フィジカルのみならずメンタルにも有効だ。かといって、メンタルに対して物理的に何かを流し込むことはできないので、なんとなく「そんな気になれる」方法として、食材をそのまま食べることをおススメしたい。

 

菓子やケーキ・パンといった、とてもじゃないが「健康にいい」とはいえないジャンルを好むわたしが、どのツラ下げて健康について偉そうに語るのか・・と叱られそうではあるが、心が乾いていたり乱れていたりするときは、青果物をそのまま貪ることである種のデトックスが可能となる。

その際に、当たり前だがマヨネーズやドレッシングなどを付着させてはならない。食材そのままの味を噛みしめることで、自然の恩恵を感じつつ自身の心を浄化する作用が働くからである。

 

ニンジンなんて「めちゃくちゃ美味い!」とは到底思えない野菜だが、それでもあのシャキッとした歯ごたえとニンジンならではのえぐみ、そして咀嚼を続けるうちにえぐみが甘みへと変化する不思議な感覚は、言わずもがな心も体もデトックスされていく。

なんせ、生のニンジンを調味料なしでそのまま齧る・・だなんて、まるで馬やカピバラといった草食動物の食事じゃないか。それでも、素材の味しかしないからこそ、ヒトは咀嚼と同時に考えるのだ——わたしはなぜ、こんな美味くもないものを齧っているのだろうか、と。

そして知るのだ——あぁ、無味かつ青臭いこのニンジンが食べ物の原点だとしたら、我々ニンゲンは日頃からどれほど豪華で贅沢な食事に現を抜かしていたのか・・と。

 

そして最後に、青りんごとデコポンでお口直しをすれば、自然の恵みで身も心も潤されるのである。

さすがに生のニンジンだけでは、満足感も乏しく笑顔にもなれない。ところが、そこへ糖度の高い果物を投入すればたちまち幸せな気分に包まれるわけで、ニンゲンとは本当に単純な生き物である。

とくに、本日のこのチョイスは大正解だった。言葉は悪いが便宜上ハッキリいうと、えぐみのある不味くて硬いニンジンを齧った後に酸味の強いグラニースミスを頬張り、それらで苦酸っぱくなった口内をデコポンの甘みと爽やかさで潤し洗浄することで、まるで災難が去ったかのようにスッキリとした気持ちになったからだ。

(・・これぞまさにデトックス)

 

あれこれよく分からない栄養素や、健康改善に役立つとされる小難しい物質を混ぜ込んだ飲食物なんかより、何一つ特記事項のない青果物のほうがよっぽど健康的といえる。

殊に、複雑に絡み合った現代人のメンタルにとって、混じり気のない自然の産物こそが妙薬となりうる。だからこそ、旨味を追求するのではなく質素で純粋な食糧を口にすることで、ニンゲンにとって必要不可欠な「食」の存在について、改めて考える機会を与えられるのだ。

そして我々ニンゲンは、言うまでもなく食べ物によって生かされている。フィジカルを作るのは当然ながら、メンタルを作るのだって食べ物なのだ。そういった観点からも、美味いものというより混じり気のない食材を摂取することで、心の健康すらも保てるのである。

 

 

・・と、かなりロジカルに偉そうな講釈を垂れたが、種明かしをすると"閉店間際の近所のスーパーで売られていたのが、ニンジンとグラニースミスとデコポンくらいだった"のだ。実はイチゴも並べてあったが、わたしが手を伸ばした途端に店員がさっさと回収し始めたため、泣く泣く断念したというオマケ付き。

だが後悔はしていない。本日の戦利品はどれもさほど美味くないからこそ、なんとなくデトックスした気になれたのだ。とどのつまりは、なんだかんだ「気の持ちよう」で健康になれるのである。

 

llustrated by おおとりのぞみ

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