わたしは基本的に、なんでも「皮ごと食べる」習性がある。桃でも梨でも柿でもリンゴでも、当たり前だが皮ごと食べている。だがこれは、一般的に許容できる果物の範囲であり、リンゴなど皮ごと齧りつく描写をよく見かけるわけで、驚きも感動もないだろう。
そして、柿の皮はたしかに硬いが、皮ごと食べたほうが美味いので気にせず齧りついているし、桃も梨も皮ごとのほうが圧倒的に美味いので、躊躇することなくそのまま食べている。まぁ、皮を剥くための刃物がない・・という理由もなきにしもあらずだが、それらがあろうがなかろうが、わたしの食べ方は変わらないので特筆すべき事項ではない。
ちなみに、ほぼ間違いなく驚かれるのが"キウイ"だ。キウイフルーツといえば、全身を短い毛で覆った小さなジャガイモのような見た目をしており、あのチクチクした毛を食べる・・という行為が、どうやら信じられない様子。
だが実際のところ、あの程度の毛では舌も口内も荒れることはない。
「そんなはずはない!毛ごと食べたら、絶対に口の中が痛くなるはず」
・・という雑な意見を耳にするが、実際にトライしたことのない臆病者の浅はかな発想であり、一度でいいから丸ごと食べてみればわかるだろう。
そもそもキウイには"キウイアレルギー"と呼ばれる、口腔アレルギー症候群の原因となるアレルギー物質が含まれている。これは、生で食べた場合のみに症状が現れるので加熱すれば問題解決となるが、あまりに弱いアレルギー反応だからこそ口の中や周辺にしか症状は出ない。
要するに、毛がチクチクして口の中が痛くなる・・などという非科学的な現象を懸念する必要はないので、安心して皮ごとキウイに齧りついてもらいたいのである。
さらに、丸ごとキウイと同じくらい驚かれるのが"丸ごとみかん"だ。みかんの皮といっても、果実を包む薄皮のことではない。丸ごと一個を包み込む、あの黄(オレンジ)色の分厚い皮のほうを、わたしは食べてしまうのだ。
とはいえ、通常時のみかんならば外皮を剥いて食べている。しかし冷凍したみかんの場合は、皮を剥こうにもカチコチに凍り付いているため、むりやり指を突っ込めば指のほうがどうにかなってしまうことから、丸ごと齧りつく以外に方法がないのだ。
「30分くらい放置すれば溶けるのに・・」
・・それはそうかもしれない。だが、「ならば貴様は、シャーベットを半分溶かした状態で食べるのか?」と、激しく問いただしたい。みかんを凍らせるということは、天然果実のシャーベットを作ったことと同義であり、それを溶かして食べるなど言語道断。
硬くて冷たいみかんの塊めがけて、大きく口を開けてガブリと齧りつく——あまりの冷たさに前歯がキーンとなるも、なんとか一口削り取ったらシャクシャクと咀嚼することで、あっというまにジューシーでクールなみかんが口中に広がる。
そんな"特別なみかん"こそが、冷凍みかんなのだ。
念のため屁理屈抜きで解説すると、冷凍みかんを皮ごと食べると、柑橘類特有の濃厚な甘酸っぱさを存分に堪能できる・・というメリットがある。そもそも、みかんの皮でマーマレードジャムを作ったり、パンケーキや紅茶に混ぜたりと、皮自体を使った料理はもうすでに存在しており、特段おかしな食べ方ではない。
——ということで、改めて断言しよう。
常温で食べるみかんの皮は微妙だが、冷凍みかんの皮は美味い。
これは一度、騙されたと思って試してもらいたいが、みかんの果肉だけを味わうよりも、明らかに濃厚でフルーティーな酸味が皮からにじみ出るため、安物のみかんが急に高級っぽい味わいになるから不思議。そのくらい、皮ごと食べるか否かでみかんの価値が大きく変わるわけで、だったら他人から何を言われようがどう見られようが、美味さを優先するべき。
なお、「表面についた農薬や汚れが心配」などとほざく意識高い系は無視して構わない。みかんを水洗いしても落ちないほどの農薬や汚れならば、その他の青果物や食材だって同じだからだ。しかも、日本における農作物への農薬や添加物の規制は、異常と呼べるほど厳しいものであり、そんなところを気にするくらいならば、まずは最高に美味い冷凍みかんを頬張ろうじゃないか。
——みかん農家やJAからカネをもらっているわけではないが、とにかく「冷凍みかんの皮はめちゃくちゃ美味い」ということだけは、声を大にして伝えたいのである。
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