尖った後頭部の私と、ハイポニーテールの女性との共通認識

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わたしには、密かに気に入っているチャームポイントがある。それは「後頭部が飛び出ていること」だ。

”平たい顔族”であるわれわれ日本人は、顔面がフラットで凹凸が少ない。そのため、実年齢よりも若く見られる嬉しさ反面、欧米人のような彫りが深くて印象的な顔立ちに憧れ、過度なメイクに挑む哀れ・・いや、健気な人種といえる。

そんな平たい顔族のわたしにとって、後頭部が飛び出ていることはある種の誇りであり、チャームポイントでもあると自負しているのだ。

 

このような事情からも、いわゆる「エイリアン」のイラストや画像を見ると、どことなくシンパシーを感じるときがある。彼ら彼女らの後頭部は異様に突出しているので、あんな人間がいたらさすがにアンバランスだろうが、それでもわたしは「あの半分くらい、後頭部があったらカッコいいな」と、憧れを抱くのであった。

とはいえ、イチ地球人として後頭部がそこそこ飛び出ているわたしは、就寝中の頭部が不安定となり上を向いて寝るのが苦手。正確には、仰向けでじっとしていると腰が痛くなるので、定期的に横を向く・・という理由があるのだが、時には顔だけを左右に向けることもあり、やはり後頭部の尖りが理由の一つとして挙げられるのだ。

 

ちなみに、ビーズのような細かい素材でできた枕を使うと、わたしの後頭部がそこへ埋まるため、あまり横を向かなくなる・・という事実を発見した。イメージとしては、底が尖った壺を砂へ突き刺す感じか。

最初のうちは、頭部全体が包み込まれるような安心感と包容力で、なんとなくいい気分に浸っていたが、気がつくとずっと後頭部が刺さった状態を保っているので、横を向こうとすると“砂が壺を支えていて倒れない“かのように、わたしの頭も倒れないのであった。

 

このように、後頭部が尖っているせいか否かは不明だが、頭の形によっては「寝にくいポジション」というのも存在するのだな——などと納得していたところ、まったく別の角度から“後頭部問題“について、新たな回答を得る機会に遭遇した。

 

勝手なイメージかもしれないが、南米のロングヘアの女性はほぼ百パーセント、頭の高い位置にて髪の毛を縛る“ハイポニーテール“を実践している。殊に、スポーツをしている女性にありがちな傾向だが、一般的なポニーテールよりもさらに高い位置・・もはや頭頂部といっても過言ではないほど頭のてっぺんで、ギュッと結んでは左右に頭を振ってなびかせているのである。

ちなみに、あの髪型を試合会場で見ると、それだけで強そうに見えてしまうので、ある種の“戦闘力の一端“を担っている気がする。とはいえ、逆パターンではあるがわたしにも「頭頂部周辺で髪の毛を縛る」という習慣がある。こちらはショートヘアなのでさすがにポニーテールは無理だが、前髪が目にかぶる長さになると、ユニコーンの角のようにおでこの上でピーンと縛ることにしているのだ。

いかんせん、それ以外に前髪の処理方法が見つからないので、やむを得ず「角」という武器を携えて試合に挑むのであった。

 

というわけで、ハイポニーテールは戦闘力を増幅させるための装備なのではないか・・と疑い続けてきたわたしは、日系ブラジル人の友人に真相を訪ねてみた。すると、意外というかなんというか、まさかの答えに拍子抜けしたのである。

 

「うーん、高い位置で縛ってないと、寝るとき邪魔でしょ」

 

たしかに、通常のポニーテールは後頭部で縛るため、そのまま寝るには無理がある。だが、頭頂部で縛っていれば後頭部への影響を回避できるため、就寝に影響が出ない。さらに、起床してすぐに(髪型を整えることなく)行動できる・・という、時短ヘアスタイルであることも否定できない。

(ってことは、ブラジル人女性はいつでも寝落ちできるように、ハイポニーテールで闊歩しているというのか・・?)

 

オシャレであか抜けたイメージをもたらすハイポニーテールが、情熱的かつ開放的な熱帯地域で好まれるのは理解できる。加えて、首元の風通しを良くするためにも、高い位置でまとめるというのは合理的だろう。

しかしながら、それだけではなく「寝るとき邪魔にならない」という機能性まで兼ね備えていたとは、驚きとともに得心が行く。なんせ、後頭部に角が生えていたのでは頭部が安定しないため寝にくい。つまり後頭部というのは、睡眠の観点からすると“ある程度の滑らかさ“が必要なのだから——。

 

(でもわたしは、この尖った後頭部がお気に入りなんだ)

 

わたしの後頭部も、ハイポニーテールのように頭上へずらせたら便利なのだが——。

 

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