足の指の第一関節の裏側が定期的に裂ける件

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(・・ッ、また切れたのか)

わたしには「定期的に皮膚が切れる(裂ける)」という迷惑な習慣がある。どこが裂けるのかと言うと、足の指の第一関節の裏側あたりだ。たしかに、足の裏・・というか指の裏の皮膚は柔らかいので、踵(かかと)に比べると切れやすいのは言うまでもない。だが、よりによって定期的に裂傷を引き起こす必要もないだろう。

具体的には中指と薬指そして人差し指の裏側が、パックリ切れるというか裂けるのだ。しかも決まって"第一関節の線の部分"なので、ぱっと見では気づかないが、踏み込むたびにピリッと何かが破れる痛みが走り、シャワーを浴びれば鋭い刺激が傷口を襲い、まるでテーブルの角に小指をぶつけたかのように、地味ではあるがめちゃくちゃ痛いのだ。

 

ではなぜ「指の裏が第一関節の線で裂けるのか」というと、"素足でマットを蹴っているから"である。

 

健康維持および体重管理の目的で取り組んでいる"ブラジリアン柔術"は、道衣を着用し素足で行う競技。そのため、全身を支えるべく足の指に力をこめて、必死にマットを蹴りながら動いた結果、重たい体と強靭な蹴り力に耐えきれず、わたしの中指・薬指・人差し指の裏の皮膚が裂けるのだ。

それにしても、あの「ピリッ」という感触は、何度味わっても慣れるものではない。「あ・・またやったか」と、後悔に近い無念を受け入れつつ痛みを堪えて動き続けるわけで、大怪我には強いが小怪我にめっぽう弱いわたしはただただ涙目になるのであった。

(あぁ、さらに裂けた・・・)

皮膚の異変を冷静に感じ取る自分にも呆れるが、なぜこんなにも頻繁に足の裏が裂けるのだろうか。柔術の練習でよくある怪我の中に、果たしてこれは入っているのだろうか——。

 

皮膚が裂けるといえば、冬場の乾燥で唇と手の甲から出血するのも毎年のルーティンとなっている。これは高校の頃から続くある種"冬の風物詩"だが、何をどうしたって皮膚は裂けるのだから、忍耐力の訓練だと割り切るしかない。

それにしてもあの裂ける瞬間の感触というやつは、小怪我のくせにハッキリと伝わってくるからいやらしい。正確には"さほど痛みは感じないが、皮膚が破れて肉が見えている状況が、視認せずとも確認できる"という感触だが、痛みよりも先に状況が目に浮かぶのがやるせない。

加えて、裂傷自体の痛みはそれほどでもないが、水分が付着した際に激痛が走るため、数々の怪我の中でもイチニを争うくらいに御免を蒙りたい現象なのである。

 

そんなわけで、今日も見事にパックリと開いた第一関節の皮膚を開け閉め(?)しながら、シャワーの痛みに耐えるべく"心の準備"をするわたし。本来ならば、汗と雑菌だらけのマットを蹴り続けた足の裏を、いち早く石鹸で洗浄するべきなのだが、あの地味に鋭い痛みは耐え難い——どちらかというと、肋軟骨が折れるほうがマシである。

この場合、ベストな方法は傷に触れずにそっとしておくことだが、さすがに汗まみれの状態で放置するのは不潔であるため、どうにかして傷口を塞ぐ必要がある——たとえば、アロンアルファとか。

 

アロンアルファの主成分であるα-シアノアクリレートは、医療用アロンアルフア(スキンプロテクト)にも使われているため、一見「傷口にも安全」だと思われがちだが、これは間違いである。医療用アロンアルフアのシアノアクリレートは純度が高いため、一般用のアロンアルフアとは似て非なるものなのだ。

代替品として液体絆創膏が挙げられるが、主成分はピロキシリンという粘稠(ねんちゅう)性の液体。だったら、一般用のアロンアルフアよりはこちらを選ぶべきだろう。

とはいえ、一番の問題は"瞬間的ではあるが、ものすごく沁みる"という点だ。傷口に塗れば沁みる・・ということは分かっているが、どうもその覚悟ができない。一過性の疼痛だと言い聞かせても、その一瞬を乗り切る勇気がどうしても持てないのだ。

 

・・こうしてモタモタするうちに、体は冷え切り帰宅は遅くなり、いいことなど何もないのである。あぁ、足の裏さえ裂けなければこんな思いをせずに済むのに——。

 

llustrated by おおとりのぞみ

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