アザトヤバイイ

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Books & Apps で、

 

「僕が争いごとに巻き込まれるのは、僕の弱そうな見た目だった。」

 

という、羨望の念を抱かずにはいられないタイトルのエントリを発見した。

 

この著者は見た目が華奢で弱そうなのだろう。

それで数々の無駄な争いごとに巻き込まれ、つらい思いをしてきたのだろう。

 

私は筋トレをしたことはない。

格闘技をたしなんではいるが、それ以前に人よりフィジカルがある。

陰では「フィジカルモンスター」と嬉しくないあだ名までつけられて。

 

この強そうな見た目のせいで損することも多い。

 

損と断定してしまうと語弊もあるが、容姿が華奢ならと思うことはよくある。

 

まず、見た目のたくましさから力仕事を率先して頼まれる

女性だからやらなくていいよ、などという配慮は皆無。

ちょっと突っ込んでその辺りの質問をすると、

 

「LGBTに寛容な組織なんで、ウチは」

 

とかわされる。

たしかに大事なことだろうが、その辺にたくさんの男が転がっているにも関わらず、なぜ私に?

 

「そんな特別扱い、逆にあなたに失礼でしょう」

 

そう笑顔で言われると返す言葉が見つからない。

もはや全力で猛者どもと力仕事に勤しむしかないのだ。

 

 

あれは足を骨折したときのこと。

電車に乗った私は、ぜひとも座りたい気持ちでいっぱいだった。

 

松葉杖がないとケガをしているかどうか見た目では分からないので、わざと足を引きずり「ケガしてますアピール」をする。

が、だれも見ていない。

 

そして優先席の前に行くも、そこへ座る勇気がない。

仮にそこへ座ったとしても、次の駅でお年寄りが乗車してきたら、私は確実に立たされるだろう。

 

「足が折れてるんです!」

 

どんなに力説したところで、この見た目では誰も同情してくれない。

私がもっと細くて弱々しい見た目なら、と悔やんだところでこれが現実。

 

つまり実生活ではマッチョゆえに損をすることも多い。

 

 

同サイトの別エントリで、

 

「男は筋トレすればいいけど、「なめられない女」になるのは難易度が高すぎる」

 

というコラムが出た。

著者は見た目が華奢なお嬢さんのようだ。

 

「世のことわりとして、女子は味方をつくることで自らを守れる」

 

と著者は言う。

これはそのとおりだと思う。

 

女子はフィジカルで男子に劣る分、群れることで強大なパワーを生み出す。

小学生の頃に読んだ「スイミー」の人間版を実行するイメージだ。

 

華奢でもなければ群れることも嫌いな私は、常に一匹狼として生きてきた。

そしてパワー面で相手に劣る場合、これで対抗するしかないという方法をあみだした。

それは、

 

「ヤバい奴になる」

 

これに尽きる。

 

想像してみてほしい。

明らかにヤバい奴がフラフラしていたら、その近くへ行くだろうか?

 

その「ヤバい」は、いわゆる逝っちゃってる系のヤバさのこと。

何をされるかわからない、何をしだすかわからない、そんな人間のそばへだれが近寄るものか。

 

 

ある日の地下鉄ホームでのこと。

電車を待っていた私はいきなりアキレス腱を蹴られた。

 

振り向くと、サラリーマンぽいオッサンが携帯を見ながら立っている。

オッサンはチラっとこちらを見るも、すぐさま携帯へ目を落とし通り過ぎた。

 

裸足でサンダルを履いていた私のアキレス腱は、皮が薄っすらむけている。

 

迷わずオッサンを尾行した。

先頭車両まで歩いたところで電車が到着。

私が背後に張り付いているとも知らず、オッサンは車内へ歩を進めた。

 

この車両には私たち以外に乗客はいない。

広々とした車内で私はオッサンのすぐ横へ腰を下ろす。

携帯に夢中のオッサンは、私たちが寄り添って座っていることに気づかない。

 

次の駅で2名ほど乗ってきた。

人の気配に顔を上げるオッサン。

と同時に車内がガラガラであることにも気がついた。

 

そして、私がピタリと寄り添っていることにも。

 

ギョッとしたオッサンはすぐさま席を立ち移動した。

当然、私もその隣りへ移動した。

 

焦るオッサンは再び動く。

言うまでもないが私も追従する。

 

「・・なんなんですか」

 

たまりかねたオッサンは私に尋ねた。

 

(なんなんですか?それはこっちのセリフだ)

 

腹は立つが、オッサンは背後から蹴ったため私の顔を見ていない。

よって私が誰かわからないのだろう。

 

「さっき私の足蹴った」

 

驚いた表情でぽかんとしているオッサンだが、思い当たる節などなさそうに、

 

「すみませんでした」

 

と字面では謝罪をした。

 

ここだよ、とすりむけたアキレス腱をグイグイ見せつけるも、逃げ腰のオッサンは次の駅で降りた。

 

しかしエスカレーターを上らないことから、後から来る電車に乗りかえるつもりなのだろう。

 

 

もちろん私は「ヤバい奴」ではないし、そんなつもりもない。

しかし友人は、一般的にヤバい奴とは私のような人間を指すのだと言う。

 

そのせいか私の周りにはあまり人が寄りつかない。

もはや「女だから」とかの範疇は超えてしまっているかもしれないが。

 

 

女性のみなさん、

「あざとさ」とセットで「ヤバさ」を身につけると、筋肉よりも強力な武器になり得ることを覚えておいてほしい。

 

別の問題は発生するが、少なくとも舐められることはなくなるので。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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