移住したい田舎ランキング常連・長野の、惨憺たる交通事情

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長野市といえば、善光寺や戸隠神社、川中島古戦場など歴史情緒あふれる史跡が有名。

さらに、冬季オリンピックが開催されたり、桃や葡萄、りんご、栗など青果物が上質であったり、蕎麦やおやきなど"長野ならでは"の名産品が高評価であったりと、まるで日本を代表するかのような、素晴らしい地方中核都市として認識されている。

 

そんな自然豊かで文武両道に力を入れる長野市が、いま、大変なことになっていた。

 

 

「今日から、日曜日のバスがなくなるのよ」

真顔の母が衝撃の事実を告げた。なんと長電バス株式会社は、2023年1月21日より当面の間、長野市内を中心とした路線バスの日曜運休を決めたのだ。

 

日曜日を運休とする理由は、「長年苦しんできた運転士不足が改善しないため」とのこと。しかも「貸切バスや高速バスの運転士を生活交通路線に充当させ、路線バスの不足分を埋めているのが現状」なのだそう。・・そんなことが綴られているプレスリリースを、読んでいるだけでも泣けてくる。

そして「冬山シーズンやインバウンド輸送の繁忙期を迎え、さらには積雪・凍結による運行時分の遅延も予想される中、運転士の労働時間がこれまで以上にひっ迫するおそれがある」というわけで、苦渋の選択として日曜日の運休を決定したのだ。

今後は、一定の運転士が充足されれば運行を再開するが、逆にこれ以上の運転士不足が生じた場合には、さらなる対応が必要となる・・と、先行き不安な一文で締めくくられていた。

 

長電バスは、通勤通学に影響が少ない日曜日を選んでの運休を決めたのだが、中には日曜出勤の飲食店スタッフもいるだろう。さらに、学生ならば日曜日の部活へは自転車で向かえばいいが、わが家のように自家用車を所持していない老人は、日曜日の外出を控えるしかない。

もちろん、タクシーという移動手段もあるのだが、ウインターシーズンは予約するにも数時間待ちは当たり前であり、日曜日の予定を立てるにも自力では不可能となってしまうのだ。

 

とはいえ天下の長野駅は、日本人と同じ数・・いや、もしかするとそれを上回るほどの外国人で賑わっている。家族連れやカップルさらには団体客など、数十人規模の外国人観光客が、まるでニンゲンでも入っているんじゃないか?と思うほどの大きなバッグとともに、白銀の冬山へ移動するべく高速バスを待っているのだ。

彼らが乗車するのは、市内に住む住民たちが使用する生活交通路線ではなく、山や観光地がルートとなるバスだ。そして、最低でも一週間は滞在するであろう雰囲気の欧米人らが、ウインタースポーツを満喫するべくキラキラの笑顔でバスを待っているのである。

 

(あんなに利用客がいるなら、SuicaやPASMOも使えるようにすればいいのに・・)

 

ちなみに長野市内を走るバスに乗車する最、一般的な交通系ICカードは利用できない。その代わり、KURURUという長野・須坂市内および高山村内で使えるオリジナルのICカードを購入するのだ。

そんなカードを持っているわけもないわたしは、キャッシュレスでバスに乗ろうとしたことがある。念のため、新幹線の改札で"長電バスか長野電鉄を利用するのに、Suicaかクレジットカードが使えるかどうか"を尋ねたところ、

「現金か、KURURUしか使えません」

と、申し訳なさそうに謝られた記憶が蘇る。しかも夜遅い時間だったため窓口業務は終了しており、KURURUというカードを作ろうにも手段が断たれていたのだ。

「クレジットカードか電子マネーならありますが、それでは公共交通機関には乗れない・・ということですか?」

嫌味半分で確認をすると、「その通りです」というセリフを最後に会話が終わった。

 

——こうして「現金無一文」のわたしは、どうしたって電車にもバスにも乗れないため、渋々タクシーを使って実家へと戻ったのである。

 

 

・・というわけで、なんとも残念な"長野市の公共交通機関事情"を裏付けするように、バス運転士不足による日曜運休が決定した長電バス。

自家用車はおろか、運転免許も持っていない視覚障害者の両親は、今日から毎週、日曜日はおとなしく自宅待機・・という生活を強いられるのであった。

 

これが、「田舎暮らしの本」で移住したい都道府県ランキング15年以上連続首位を占める、長野県の県庁所在地・長野市の実情なのである。

 

サムネイル by 希鳳

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