ねこホーダイ、叩かれホーダイ

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株式会社のら猫バンクは、2022年12月15日より、会員制サービス「ねこホーダイ」を開始した。

同社は、中小企業ホールディングス株式会社(東証スタンダード上場企業)の100%子会社として、2022年4月27日に設立。野良猫を減らすこと、また、猫と人とをつなぐプラットフォームの開発・提供を目的として、「ねこホーダイ」なるサービスをスタートしたのだ。

 

野良猫の平均寿命というのは、飼い猫に比べて極端に短い。アニコム損保発行の「アニコム家庭動物白書2022」によると、猫の平均寿命は14,4歳。

これは、アニコム損保のペット保険加入者の実績や、アンケート調査によりまとめられたものなので、飼い猫が基準となっている。

それに比べて野良猫は、3~5歳ということでかなり短い(参考/ねこのきもち)。原因として、屋外で暮らす野良猫は、真夏や真冬の過酷な環境に耐えなければならないことに加え、交通事故や病気の危険性、食べ物の確保、なわばり争いなど、常に危険やストレスにさらされるからだ。

 

なお、平成25年9月1日施行の改正動物愛護管理法で、動物の飼い主に対して、

「その動物が命を終えるまで適切に飼育する『終生飼育』の責任がある」

ということを、法律上明確にした(同法第七条第4項)。

 

これにより、人間側の無責任な理由による野良猫の数は減っている。

特に殺処分となる数は大幅に減少している。とはいえ、返還・譲渡数は法改正を機に急上昇しており、野良猫として路頭に迷う猫は減ったかもしれないが、様々な理由から飼育放棄をする人間が一定数いることは、紛れもない事実である(参考/環境省自然環境局発行統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況)。

 

このような現状を打破するためのビジネスモデルとして、株式会社のら猫バンクは「ねこホーダイ」を打ち出したのだろう。

 

得てして日本におけるボランティア活動というのは「清貧マター」となるため、「カネ」が絡んだ途端に、目くじら立てて敵視する傾向にある。

無論、それだけの問題ではないのだが、ここ数日「ねこホーダイ」は大炎上しているのであった。

 

「虐待サイコパス野郎への対策が、まったくできてないじゃん!」

 

憤慨するのは、愛猫2匹を我が子のようにかわいがる友人。

 

聞くところによると、一般的な里親の条件は「独身不可」「60歳以上不可」「ペット飼育可物件に居住」「同居者全員の要承諾」など、かなり厳しいものらしい。

不遇な人生を余儀なくされた野良猫たちを思えば、確実に幸せな余生を過ごしてもらいたい気持ちからも、このくらいの条件は必要不可欠。

どんな事情だろうが、無責任に動物を放棄することがないよう、入念な事前審査や面談に加え、譲渡後も定期チェックしたりレポート提出を求めたりと、長期間のサポートを保護団体が請け負うのである。

 

それなのに、だ。

 

「カケホーダイ」や「超ホーダイ」を連想させるような、「ねこホーダイ」というキャッチーなネーミングと、「月額380円」という低額サービスが仇となり、

「動物をなんだと思ってるんだ!」

「虐待の温床となるだけじゃないか!」

と、SNSを中心に集中砲火を浴びせられているのだ。

 

同社の取締役である阪田泰志(さかたやすし)氏は、保護猫譲渡と野良猫の捕獲・不妊手術(TNR)を推進する、花の木シェルターの代表でもある。

過去の活動歴からも「野良猫のプロ」であり、決して、ビジネスに特化したプロジェクトではないだろう。

 

しかし、ねこホーダイの利用者は、

「面倒な審査やトライアルもなく、高齢者や単身の方でも大丈夫」

ということで、虐待に対するリスクヘッジがまるでないのだ。

 

ましてや「月額380円」ならば、それこそ子どもでも手が出る金額であり、法定代理人の同意があれば、このサービスが利用できるとのこと。

利用規約に目を通してみても、「猫」に関する条文は第3条一つしか見当たらない。これでは猫への愛情というか、生き物への配慮に欠けると受け取られても、仕方がないように思えてしまう。

 

野良猫撲滅の先には、殺処分ゼロへと繋がる明るい未来がある。

そのためには、NPOやボランティアの力だけでは足りないわけで、ビジネスモデルとして野良猫や殺処分を減らすことができれば、持続的に最大の効果を得ることができるだろう。

 

――と、賛否両論あるわけだが、他人事のように傍観していた国民へ「ある種の警鐘を鳴らした」のは事実である。

 

Illustrated by 希鳳

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