ドライアイで胃腸絶好調

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現代人にとって避けては通れない病気の一つに、ドライアイが挙げられる。原因としては、スマホやパソコンをじっと見続けるあまり、瞬きの回数が減っていることや、一年中エアコンフル稼働の生活環境であること、さらにコンタクトレンズの装用や、人によっては花粉症とドライアイとを併発するなど、日本人の2割がドライアイ症状を抱えているとされる(「参天製薬株式会社」より)。

デジタル化が進む今後は、さらなる患者の増加が懸念されるわけだ。

 

そんな現代病ともいえるドライアイ、症状は病名のごとく目の乾燥による違和感や異常。だが正確には「目」ではなく「涙」の病気。涙の量が減ったり、質が変わったりすることで、目の乾きや痛み、ゴロゴロ感などの症状を引き起こす。

Santenによると、

(前略)涙は、粘性のタンパク質でできた水・ムチン層、油層で構成されていて、さまざまな要因でこれらのバランスが崩れると涙が眼球を十分に覆うことができなくなり、ドライアイの一因となるのです。

ということだ。さらに「水・ムチン層」は、涙の大部分を組織しており、目の表面を潤し角膜への栄養を蓄える役割を果たす。特に「ムチン」は、侵入してきた異物を殺菌する作用や、涙を眼球に定着させる接着剤の働きがある。そして「油層」は、涙の最表面にある膜のような役割で、水分の蒸発を防いでいる。

 

乾燥する時期、目の痛みや不快感をもたらすドライアイ。治療方法としては点眼薬でコントロールする場合が多い。有名なものでは「ヒアレイン」や「ジクアス」がおなじみ。とくにジクアスは、涙液の主成分であるムチンや水分の分泌を促すことで、涙液(層)を正常な状態に近づけ、ドライアイを改善する作用がある。

ちなみにわたしは、全ての上着やバッグにジクアスを入れており、お守り代わりに常時持ち歩いている。

 

ジクアスが発売されたのは12年前だが、当時の感動はいまだに忘れられない。それまではヒアレインを点眼することで目の乾燥を防いでいたが、ヒアレインは目の表面に20分程度しか滞留せず、涙液量を増やす効果もない。よって、ユニットドーズ(一回ずつの使い切り)点眼剤の上部をパキッと割っては無駄にボチョボチョ流し込むと、名残り惜しみながらゴミ箱へ捨てていた。

だがジクアスには、水分とムチンの両方を増やす効果があり、2~3時間は効果が持続するため、明らかに角膜が喜ぶ感覚を味わうことができるのだ。

 

しかし、角膜や結膜に傷がついてしまうと、ジクアスでは間に合わない。ここで満を持しての登場は、最強点眼薬・ムコスタだ。ムコスタと聞いて目薬以外でピンと来る人も多いのではなかろうか。そう、胃炎や胃潰瘍の治療薬として処方されるアレだ。それもそのはず、胃腸は粘膜であり角膜や結膜も粘膜のため、彼らは仲間なのだ。

ムコスタにより、粘膜の炎症が抑えられるとともにムチン産生が促進され、涙の質が正常化した結果、角膜や結膜にできた傷を修復してくれるというわけだ。

 

 

(しまった、夜寝してしまった・・)

 

洗濯機が止まるまでの間、ついウトウトと寝てしまったわたしは、1時間半が過ぎて目が覚めた。これからの季節、洗濯物を干さずに放置しておくととんでもないことになる。生乾き臭で衣服を捨てるハメになるからだ。

しかもコンタクトを外さずに寝てしまったため、使い捨てコンタクトが水分を失い、眼球に貼りつくような、それでいてカサカサに乾燥した歪な形状に変化している。これはヘタすると角膜や結膜を傷つけた可能性がある――。

急いで洗濯物を干すと、薬箱からムコスタを取り出す。乳白色の小さな懸濁を指先でピンッとはじくと、上部をちぎって眼球へと垂らす。視界が一気に白く濁り、わずかにピリッと沁みた。

 

それから10分後、わたしはハチミツと砂糖でコーティングされたアーモンドを貪り食っていた。さらにテイクアウトしたケバブ丼と、ルーティンの焼き芋を立て続けに食い尽くした。

 

――そうだ、ムコスタは胃の粘膜も修復するんだった。おかげで胃腸が絶好調になってしまったんだ。

 

角膜よりも先に胃腸が修復されることを確認できた、2022年春である。

 

サムネイル by 希鳳

 

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