「寝相がわるい」と「寝ている姿勢がヘン」は、異なる。
私は、真っすぐキレイに眠ったことはない。
どこかアシンメトリーに、どこかリスキーに、日々の睡眠ポジションを決定している。
そして、寝ている途中でゴロゴロするのではなく、入眠時にヘンな姿勢でスタートしなければ、決して眠ることができないのだ。
よって、私は寝相がわるいのではなく、寝ている姿勢がヘンなだけなのだ。
こうして、安定した(ヘンな)ポジションがキープできたら、いよいよ入眠だ。
*
寝相がわるい、に関して。
朝起きると、いや、目が覚めると膝の内側にデカいあざができていた。
しかも、フローリングで正座しながら、ベッドに顔を伏せながら、寝ていた。
無論、こんなスタイルで眠りについたわけではない。
目が覚める直前、ハッキリと記憶に残る夢を見た。
ブラジリアン柔術の試合で、外国人相手に絶好の「パスガード」のチャンスが来たため、私は外国人の上を滑りながら飛び越えたのだ。
「よし、ボウアンドアロー※で終わりだ!」
※ボウアンドアロー・・・片手で相手の襟をつかみ、逆の手で相手のパンツをつかみ、弓なりに体を反らせながらチョークを極める技の名前。一度セットアップされたら、まず逃げられない。
興奮気味に滑り込んだ私の下半身は、勢い余ってベッドから転落し、その勢いで膝を強打したもよう。
もちろん、痛くて目が覚めた。
*
睡眠におけるベストポジションがある。
しかし、ベッドコンディションとピローコンディションによって左右されるので、いつでもどこでも、とはいかない。
今のところのお気に入りは、
「胸の下にクッションを入れて両手を翼のようにひらき片足をベッドから落としての右を向きながらのうつ伏せ」
というポジション。
この寝方は「うつぶせ寝」に大別されるのだが、私にはこだわりがある。
まず私は反り腰のため、胸の下にクッションを入れない限り、うつ伏せができない。
たとえ1分でもうつ伏せていると、起き上がれなくなるほどに腰が固まる。
よって、睡眠時には胸の下にクッションが必要となる。
お気に入りは、テンピュールの「ソナタピロー」。
これを胸の下にセットすれば、快眠の世界はもうすぐそこに。
次に、体が直線的な状態を維持するのが苦手な私は、常態として体をひねる。
上からみると、走っているようなカッコだったり、カエルみたいだったり、その日のコンディションによって決める。
最近のお気に入りは、ベッドから片足を落としたポーズ。
フローリングに足の甲を着けることで、ヒンヤリ気持ちいい。
とくに暑い夜は、スネ全体をフローリングに密着させることで、より広範囲でヒンヤリが体感できる。
仕上げは、枕と顔の向きだ。
メインピローとして3種類常備しているが、ここ数日ヘビロテしている枕は、これまたテンピュールの「ミレニアムネックピロー」。
この枕に顔を乗せ、(今週は)右を向く。
同時に、両手は横へ広げて、羽ばたいているカタチに。
この羽ばたきには理由があり、「巻き肩防止」の目的がある。
横向きで寝る人は要注意だが、肩や腕の上に体重を乗せたまま寝ると、肩が前へ出がちになり、巻き肩を助長する。
ーーフィジカルモンスターになりたいならば、今すぐ、腕や肩の上で寝ることを中止セヨ
たまにドーナツ型の枕を使い、ドーナツの穴に鼻と口をつっこみ、下を向いたまま寝る。
これの欠点は、「目玉を圧迫」することだ。
私の目玉は、とくに飛び出ている。
鼻よりは出ていないが、その次に出ている。
そのため、目玉が枕に触れないように、オデコと枕の間にタオルを挟むなど、ひと手間かかる。
そのくせ徐々に息苦しくなるので、いつしか横向きへと逃げるため、結論として、この寝方は合理性に欠ける。
ちなみに、上を向いて寝るときはそれ専用の枕がある。
これでなければならない、という枕が「トゥルースリーパーセブンスピロー」。
これは、正確には2番目に最高の枕で、一番は、ただ単にバスタオルをたたんで敷くのがいい。
リアルに、これ以上はない。
結局のところ、枕は高さがあってはダメだ。
高すぎると、そのうち首が苦しくなり横を向く。
横を向くと、肩や腕に体重が乗り、巻き肩になる。
(ちなみに、横向きで寝るならば、枕は硬めで高さのあるものを選ばなければならない。
しかし、横向きで寝ること以外に、その枕は用途がないので注意が必要だ。)
寝返りのしやすさからも、あまり高さがあると上手くポジションが取れず、結局、眠りが浅くなる。
ま、どれも私調べだが。
*
睡眠は「リラックスした状態」だと思われる。
しかし、私のリラックス状態は、普通には作れない。
とくに、シーンとしていて、かつ、柔らかくてフワフワした寝床でなど、寝られるわけがない。
私が定期的にフローリングで寝る理由は、ここにある。
ただし、温度と湿度は重要だ。
温度も湿度も低くなければ、うまく寝ることができない。
カラッと快適キンキンに冷えた部屋で、硬い寝床でヘンなカタチになりながら、いつ敵(侵入者)が現れても戦える状態で眠ることこそ、私にとっては最高(最高難度と言うべきか)のリラックスで、最高の快眠を招く。
安全が確保された環境下でのフワフワのキングサイズベッドなど、罠だと思って間違いない。
眠りたいときに眠る。
私は自分の意志で眠る。
次に目を開けたとき、この世はないかもしれない。
そんな覚悟を持ちながら、目を閉じる。
これが、私の睡眠だ。
—————-キリトリ線—————-
Illustrated by 希鳳
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