(中略)
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳にする機会が増えた。
DXを例えるならば、
①カメラがフィルムからデジタル(スマホ含む)になった。
→ネガ不要、枚数気にせず撮影できる。
②撮影した画像を加工したり、インターネットやBluetoothを使って画像の送受信ができるようになった。
→現像不要、写真を手渡しする必要なし。
③その画像をSNSへ投稿し、世界中へ発信できるようになった。
→不特定多数に画像を閲覧してもらう、商売につながる、色々な可能性が広がる。
そして厳密には③を「DX」と呼ぶ。
①は「デジタイゼーション」、②は「デジタライゼーション」と呼ばれる。
しかし、②のデジタライゼーションが達成された時点で「とっくにDXは達成している」と言ってしまう人へ、DXは方法じゃないよ?と突っ込みたくなる。
DXの目的は、
「ICTの浸透により人々の生活をより良い方向に変化させること」
にある。
マンパワーで動かしている作業をデジタル化することで、人間より速く正確に処理することが可能となる。
そしてそれらのアウトプットやテクノロジー、経験や方法などから、新たな価値観やサービスを生み出すことができる。
(特定の分野で)部分的に最適化されていたシステムが社会全体にフィットしていくことこそが、DXがもたらす新しい未来の姿といえるだろう。
最後に、
「AIの台頭によって生じる、使えない人間が手にする暇な時間」
の有効利用についてこそ、人間が真剣に考えなければならない残酷な未来といえる。
(敬称略)
近い将来起こりうる、世界の変化についての問題提起の論文?らしい。
しかし、とうのむかしにDXをフル活用していた人間もいるようだ。
*
――あれは大学受験の時
私は優秀な友人を3名確保した。
物理の試験開始直後、全ての問題をくまなくチェック。
解けない問題を前腕に書き込む。
左右の腕にビッシリ書き込むと、静かに挙手。
「どうしました?(小声)」
「アレの日でお腹が・・(小声)」
「ではトイレまで一緒に行きましょう(小声)」
私は生理用品の入ったポーチを持ち、試験監督官とトイレへ向かった。
試験監督官(男性)は、
「外で待っているから早く行きなさい」
と促す。
トイレの個室に入った瞬間、ポーチから携帯電話を取り出す。
待機させている3人の中で、物理が得意な友人へリダイヤル。
それと同時にトイレの水を流す。
ーー声をかき消すためだ
用事が済んだら入念に手を洗う。
手というか、前腕をしっかり洗い流す。
証拠隠滅が完了。
待っていた試験監督官と合流し、私たちは足早に試験会場へと戻った。
数週間後、自宅に一通の封書が届いた。
そう、合格通知だ。
このように、DX構想に類似した回答検索システムを利用し、試験に合格した人間もいるらしい。
*
某国家資格試験当日ーー
検索能力の高い友人らをスタンバイさせ、試験開始。
この日も私は「アノ日」だった。
前腕に書き込みトイレへ向かう。
通話をしない今回は水を流す必要はない。
時代は進み、いまや主流はSNS。
スタンバイしている友人らのグループラインへ質問事項を送信。
瞬時に既読。
そして待つこと30秒、必要な情報をすべて入手。
トイレットペーパーを派手に空回りさせ、水を流して利用感を演出
最後に前腕をしっかりと洗う。
試験終了後、出口で解答速報をもらう。
資格系の試験は試験開始20分で退席可の場合が多い。
そのため、LECや大原といった専門予備校のアルバイトらが一斉に退席する姿は面白い。
解答速報を眺めながら、私は静かにほほ笑んだ。
*
世の中にはワル知恵の働く悪党がいる
こんなズル賢い方法でカンニングをするくらいなら、その分勉強に精を出せと言いたい。
真面目な私は大学時代、入試監督官のアルバイトをした。
仮に不正行為を発見したら、心を鬼にして摘発する。
受験生には酷だが、それが”人生”というものだから。
そして、
よりによって私の目の前でコソコソとカンニングをする若者を発見してしまった。
ーー大丈夫、人生は何度でもやり直せるよ
「命捨てる覚悟あるの?」
「・・ないです」
「だったらやるな、出てけ」
受験終了ーー
今度Excelの試験があるのだがどうカンニングしたらよい?
Excelはカンニング無理だなぁ。。
とりあえず、「誰でもできる!Excel入門」みたいな本をポチるしかないな。
(ここは真面目w)