銭湯とタトゥー~銭湯は小宇宙~

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海外から友達が来たら、必ず連れて行く、東京のオススメスポットがある。

場所は恵比寿と渋谷のちょうど真ん中くらい。

大通りを一本入ったところにひっそりとそびえ立つ、その建物は「銭湯」――。

 

ここ改良湯は、宇宙だ。でも、宇宙だとデカすぎるから、小宇宙だ。入れば分かるが、小宇宙なんだ。

 

大通りから入っていくと、突如、眼前に現れる巨大壁画。

描かれているのは「鯨」。

鯨は、七福神の一人である「恵比寿様」の化身とされている。商売繁盛で有名な恵比寿様だが、よく見ると、右手に釣り竿、左手に鯛を抱えている。自給自足か。

そんな「恵比寿」にゆかりのある「鯨」が、ドーンとお出迎えしてくれるところから、改良湯のおもてなしは始まっている(と、外国人には説明している)。

 

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銭湯が素晴らしいところは、「差別がない」ところだ。

公衆浴場(銭湯)は、公衆を入浴させる施設として、昭和23年に制定された「公衆浴場法」に則り運営されている。公衆浴場の定義として、「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」とがある。

 

一般公衆浴場とは、「地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される施設で、物価統制令(昭和21年3月勅令第118号)によって入浴料金が統制されているいわゆる「銭湯」の他、老人福祉センター等の浴場がある(出典:厚生労働省/公衆浴場法概要)」とされている。

 

つまり、保健衛生上必要な行為として、身体の清潔の保持が謳われている(と勝手に解釈する)のだ。すなわち、これは憲法第25条の生存権へとつながる。

 

憲法第25条・・・

1.すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2.国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

 

 

単刀直入に言おう。

人が人らしく生きるために必要とされる「身体の清潔の保持」のためにも、公衆浴場を利用する者を「見た目で差別してはならない」と、言いたい。

 

海外から来る友達は、かなりの高確率で「タトゥー」が入っている。カワイらしいイラストであったり、自分にルーツのある何かであったり、なかには、手術痕をカモフラージュするための「Tattoos Covering Scars」を入れている子もいる。

 

Tattoos Covering Scarsとは、侵襲的な手術後の傷跡をカバーするタトゥーのこと。

 

――乳がんで左乳房を全摘出した友人は、おっぱいが片方ないことを気にして、人前で着替えることや、温泉や銭湯に行くことができなくなった。

ある日、飲み友達、かつ、タトゥーアーティスト(日本語で言うと「彫り師」)が、

「海外だと、Tattoos Covering Scarsはふつうに流行ってるよ。あたしもやってあげたことある」

と、教えてくれた。そこで、乳房全摘した友人に、その話を伝えてみた。

 

2か月後、彼女の胸には、美しいひまわりが咲き誇っていた。

 

アイデア次第で、さまざまなカバータトゥーが入れられる。有名なところでは、傷跡の前後に、頭としっぽを入れた「魚の骨」や、傷跡をジップに見立てた「ファスナー」なんかは、ユーモアもプラスされた作品。

 

腕や足を切断してしまった人が、切断面の凹凸までも活かしたタトゥーを入れているケースもある。それは”見事”としか言えない出来栄えだった。

 

心の傷、って、他人には分かり得ないこと。その傷を、「新たな誇り」へ切り替えるためのタトゥー、というものが存在することを、タトゥー(入れ墨)大嫌い文化の日本人にも知ってもらいたい。

 

「手術痕を見られる目と、このタトゥーを見られる目と、見る人の目つきが違う。手術痕は、哀れな目で見られた。不幸な子だ、と言わんばかりの。でも、このタトゥーを見るとき、最初は驚いた表情だけど、すぐに意味を察知して、キラキラした表情になる。私だけじゃなく、見る人も幸せにしてくれる素敵なアートじゃない?」

 

誇らしげに「ひまわり」を披露してくれた友人を、私も、誇らしく思う。

 

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さてさて、話が脱線したが、改良湯について。

1年半前にリニューアルした改良湯は、ピッカピカでオシャレ。浴場内のライティングも、しゃれた雰囲気を醸し出す間接照明で、夜行くとまさに「小宇宙」の趣き。

浴室内は、昔からの常連さんもいれば、子どもやギャルもいて、皆がそれぞれの「銭湯」を楽しんでいる。

 

 

私が改良湯を強く勧める理由の一つに、「水風呂」の存在がある。

格闘技などのハードな練習後、どれだけマッサージへ行こうが、プロテインをガブ飲みしようが(関係ない)、翌日の疲労が劇的に改善されたことは、正直、なかった。

しかし、熱い風呂と水風呂の入浴を交互に繰り返す「交代浴」をした翌日は、ビックリするほど疲労の蓄積がないのだ!

 

自らこれを体感してしまってからは、都内のあらゆる銭湯へ足繁く通うようになった。

そのうち、水風呂の温度が重要であることにも気がついた。私調べだが、水風呂の温度は16度以下がベスト。18度以上だと、体の冷却効果が薄い気がする。かといって、12度とかは拷問に近いので、パス(短時間しか浸かれないと、体の芯まで冷えないので、意味もない)。

 

試合前日、水抜きで体重調整をする際も、必ず、改良湯で整える。

疲労回復+減量が実施できるので、いいことしかない。

 

日本で柔術の試合に出場するため、イタリアからやってきた女子2人を連れて、改良湯へ行ったことがある。イタリアでは、こういった銭湯は「高くて通えない」のだそう。

(テルマエロマエのイメージしかないけど、そうなんだ…)

だから、ワンコインでこんな素敵なお風呂が楽しめるなんて、日本は素晴らしい国だ!と、二人とも大喜びだった。

(お風呂から出て、上機嫌な私たちはカフェへ行き、パンケーキをホイップクリーム増し増しで注文したため、減量がまったく意味なく終わったことは、ご愛敬)

 

水風呂だけでなく、「強炭酸泉」の風呂があることも、改良湯の特徴。

シュワシュワと炭酸が湧き出ていて、これも美肌や疲労回復に効果があるそう。個人的には、42度の熱い風呂と、15度くらいの水風呂があれば、それだけでサイコーなんだけど、長く浸かるには38度くらいのぬるま湯で、炭酸泉に癒されるのも悪くないね。

 

 

とにかく。

地方から東京へ来る人、または、都内在住でまだ改良湯へ行ったことがない人、すぐさま、恵比寿or渋谷から徒歩15分くらい(バスならば下車徒歩2分)で着くから、改良湯へGo!!!(土曜定休)

 

 

***

 

最後に、私の「銭湯あるある」をご紹介。

 

「おねーさん、何か運動やってるの?」

「あ、はい(ブラジリアン柔術って言ってもわかんねーだろうな)」

「おねーさん、プロレスラーよね、あの有名な」

「いえ、違いますね」

「あらー、プライベートだもんねぇ、ごめんなさいねぇ。あとでサインもらってもいいかしら?」

「あ、プロレスラーではありませんよ」

「いいのよいいのよ、大きな声で言って悪かったわねぇ。ここね、たまに来るのよ、プロレスラー。だから、つい大声でごめんなさいねぇ」

「えっと、私はプロレスラーではないけど、サインいります?」

「前の人はどこだったかしら、なんか英語の団体だったような・・・」

 

~ずっとつづく~

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3件のコメント

純粋な銭湯に行った記憶がない
出張先の旅館やホテルの風呂
ジムの風呂
おじいさんが浮いていた健康ランドの風呂
お姉さんが…違うか?

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