料理もしないし調理器具も持っていないにもかかわらず、なぜか「焼き芋メーカー」だけは存在するという、狂人的な”焼き芋マニア”を自負しつづけて数十年。日頃からの宣伝活動が功を奏してか、とある友人からサツマイモの贈り物があった。
その名も「夕焼けの焼干し芋」。中身はというと、鹿児島県産の安納芋を使用した干し芋なのだが、なんと芋の色が商品名のごとく夕焼け色(赤みの強い黄色)——いや、まるでマンゴーを彷彿とさせるような、濃厚なオレンジ色をしているではないか!
正気なところ、焼き芋が好きであることは間違いないが、干し芋というものはあまり好きではない。そのため、これまでに一度たりとも「干し芋が好き」などと口にしたことはなく、仮に干し芋をもらうことがあっても誰かにスルーパスしていた(失礼)。
だが今回は、「URABEは焼き芋が好き→つまり『さつまいも』が好き→ならば『干し芋』も好きに違いない」という流れから届いたギフトであるため、「わたし、干し芋は好きじゃないんだよね」などと無下にあしらうことはできない。
そこで、とりあえず干し芋を受け取った報告とお礼を友人へ伝えたところ、
「トースターで温めると、3倍美味しくなるよ」
と、干し芋をさらに満喫するべくひと手間加える方法を教えてくれた。当然ながら我が家にトースターはないので、温めるならば唯一無二の調理器具であるオーブンレンジのトースト機能を使うしかないが、そのためにわざわざレンジを使うのも面倒くさい——まずはそのまま食べてみよう。
こうしてわたしは、まったく期待することなく「夕焼けの焼干し芋」を開封すると、指でつまんで口へと放り投げた。
(・・・え?! 焼き芋の味がする)
まず最初に驚いたのは「食感」だった。そもそも安納芋はねっとりとした濃厚な噛み応えが特徴的な品種だが、干し芋特有のタフで粘着力のある食感とは異なり、例えるならば「ちょっと硬めの焼き芋」というほうがしっくりくる。
さらに衝撃を受けたのは、「味がちゃんと焼き芋だった」ことである。商品名で”焼き干し芋”と名付けているくらいだから、実際に焼いてから干したのだろうか——わたしは早速、製造元である「おいもハウス」のインスタグラムを覗いてみた。
すると、
従来の焼き芋と干し芋、両方の”いいとこ取り”を実現! 他では味わえない、干し芋の中でも珍しい「焼き干し芋」。
・じっくり成熟されたお芋
・独自の焼き機でゆっくり焼き上げ
・お芋の糖度を最大限に引き出す
素材も、製法も、こだわり抜いた”特別な干し芋”をあなたに・・!
と、やはり「芋を焼いていること」が確認できたのだ。
通常、干し芋というのは蒸してから干すものだが、こちらの干し芋は読んで字のごとく「焼き芋を干している」わけか。
(・・うん、これならばいくらでも食べられる!!)
ちなみに、おいもハウスが販売している商品は「焼き干し芋」という名前なので、「夕焼けの焼き干し芋」はおそらくふるさと納税の返礼品専用の名称だと思われる。
個人的には、「夕焼け」という響きが美しく、しかも安納芋の色を見事に言い当てている点に惹かれたため、夕焼けがダメならば曙(あけぼの)や暁(あかつき)など、安納芋が放つ豊かで温かみのある色を象徴するネーミングを期待したいところ。なぜなら、この焼き干し芋は爆発的な人気となってもおかしくないほど、明らかに美味いからだ!
そんなわけで、あっという間に夕焼けの焼き干し芋を食べ尽くしてしまったわたしは、二つの後悔を残した。
まず一つは、トーストする前に芋が消えてしまったことだ。友人いわく「3倍美味い」らしいが、その3倍を検証せずに終えてしまったのだから、改めて試食しなければ真偽のほどが分からない。
そしてもう一つは、芋好きの友人に一袋あげてしまったことだ。サービス精神旺盛なわたしは、迂闊にも3袋もらったうちの1袋を手放してしまったのだ——あぁ、今さら返してほしいとは言えない。
とはいえ、トーストしたら格段に美味くなることなど、実行せずとも分かりきった事実である。常温であれほど焼き芋の風味を放っていたのだから、加熱したらなおさら焼き芋になるのは常識中の常識。だからこそ、た、試してみたかった——。
*
食欲のリミッターというものが存在しないわたしにとって、もしも改めて「夕焼けの焼き干し芋」が届いたとしても、次回もまたトーストすることなく食べ切ってしまうのだろう・・と、いつまでたっても”3倍の美味さ”を体験することなく、人生を終える気がしてならないのである。





















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