私は社労士だが、恥ずかしながらマイナンバーカードを取得していない。
自身のマイナンバー(番号)は覚えているので、申請の際に入力すれば問題ない。
身分証明書としては、運転免許証や銃砲所持許可証などで足りている。
というわけで、マイナンバーカードをわざわざ取得する必要性を感じていなかったのだ。
それがどうやら様子が変わりそうなので、ソワソワしている。
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月間社労士12月号によると、
「令和3年3月から、マイナンバーカードが健康保険証として利用できる」
とのこと。
つまり、健康保険証というカードが不要となる。
これまでの社労士の仕事として、顧問先から送られてくる退職者の健康保険証(カード)を協会けんぽへ送り返す、という仲介業務がとにかく面倒だった。
そして最大のウォールマリア(障壁)は、健康保険の取得手続きから保険証が到着するまでの、タイムラグ。
私は電子申請しか行わないため、取得日になった瞬間、0時00分を待ち構えてクリックする。
それでも、日本年金機構がデータを処理し、協会けんぽへデータを回し、協会けんぽが健康保険証を発行・郵送し、事業主の手元に届くまでに4〜5日程度かかる。
ましてや取得日が土日祝日や連休の場合、処理は休み明けとなるので、さらに数日かかる。
連休ではないにせよ月末月初は申請が重なるため、処理する側のマンパワーも必要。
(年度初めなど悲惨なことになる)
このリスクが排除されるということは、社労士にとっても被保険者本人にとっても、喜ばしいこと以外のなにものでもない。
ただし、マイナンバーカードがそのまま健康保険証となるわけではない。
あらかじめ、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための登録が必要で、その上で医療機関等に設置されたカードリーダーでマイナンバーカードを読み取り、「オンライン資格確認」というシステムを利用するようだ。
実際には医療機関や薬局にカードリーダーを設置する必要があり、その準備が整い次第のスタートとなるため、来年3月に全医療機関というのはさすがに無理だろう。
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この「オンライン資格確認」というシステム導入で便利になるのは、高額療養費制度を利用する際、自動的に限度額までの支払いで済むこと。
これまでは、医療費を全額支払った後に協会けんぽへ払い戻しの請求をする、という非常に無駄でめんどくさくて負担のかかる方法だった。
現物給付として「限度額認定証」の利用もあるが、こちらも事前に申請・交付を受ける必要があり、手間でしかなかった。
ところがマイナンバーカードの登場により、手続きなしで自動的に高額療養費の限度額までの支払いで済むのだから、ラクだし負担も減る。
そして何より「無駄死に」のリスクが減る。
先日、薬剤師の友人との会話で、
「コロナで運ばれてきた患者の禁忌や既往歴がわからないから、薬出せないんだよね」
という話題になった。
重症化した状態で搬送されると会話もできず、ましてやそうなるケースは高齢者が多いため、独居や認知が進んでいる場合に確認のしようがない。
手がかりとなる情報がない、というのは実に恐ろしい。
たとえば糖尿病や心臓病で日々服薬が必要な患者だったとしても、それを知ることができずにコロナではない理由(持病の悪化)で命を落とす可能性を否定できない。
しかしマイナンバーカードを健康保険証として使用することで、患者の薬剤情報が記録され、医師等に情報提供が可能となる(本人の同意が必要)。
つまり意識不明の重体で運び込まれたとしても、マイナンバーカードさえ持っていれば、情報不足によるつまらぬ無駄死には避けられるのだ。
(これはすぐさまマイナンバーカードを取得せねば・・)
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大きな流れに逆らうことはできない。
もはやマイナンバーカード頼りとなる日も近い。
だが、現在未取得の人はもう少し待つべきだ。
もう少しすると、もっと簡単にマイナンバーカードの申請ができるようになる。
大きな流れとはそういうものなのだ。
国民の2割しか取得していないマイナンバーカードを国民全体へ普及させるには、申請を簡単にする必要がある。
つまり、そのうちもっと手軽に申請できるようになる。
この予想はかなり自信がある、根拠はないが。
(以上、個人的見解でした。)
Illustrated by 希鳳
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