日本人とは、まことに生真面目な民族である。
ここ数年間、マスク着用を強制された影響により、今さら「屋外ではマスクを外してください」などと小さくアナウンスされたところで、誰一人として従う者はいない。
そりゃそうだ。あれほど毎日「本日の新規感染者数は何万人を超えました」などと報じられれば、マスクを外したくても外せない。
いや、マスクを外させないための、サブリミナル効果としか思えないからだ。
30度を超える炎天下の都内を、私は一人素顔を晒して歩いていた。
真夏らしく蝉がけたたましく鳴いている。ジリジリと照り付ける太陽、額や首から吹き出す汗。ここまでは誰もが同じ状況だろう。
だが明らかに違うのは、顔面に装着しているマスクの種類だ。
ほとんどの人間が、顔を覆い尽くすほどの大きな白いマスクを着けている。前髪は汗で張りつき、首筋から流れ落ちる汗でTシャツの襟が変色している。
そんな中、灼熱の太陽と白いマスクは異様すぎる組み合わせでしかない。
――正気なのか?
このだだっ広い空の下で、誰と会話を交わすでもなく黙々と歩き続ける人間たちは、なぜ、汗だくになりながらもマスク着用を固持し続けるのだろうか。
まぁ、傾奇者の意見などに耳を傾ける必要もないので、無視してもらえれば結構である。
そんな私は、口を覆うマスクではなく、目を紫外線から守るマスク=サングラスを着用している。
言うまでもないが、これだけの強い日差しを受けて、むき出しの臓器である「目」に悪影響を及ぼさないわけがないからだ。
日本人よ、いい加減に目を覚ませ。
繰り返しになるが、目は人体で唯一の「むき出しの臓器」である。そんな、外部からの刺激に対して脆弱であるにもかかわらず、社会生活を送る上でもっとも重要な臓器=目を守らずに、不織布のマスクでいったい何を守ろうとしているのだ?
気象庁によると、日本(観測地点はつくば市)における紫外線量が、年々増加していることが明らかになっている。1990年の観測開始以降、右肩上がりのグラフが成立してしまっているのが事実。
そして目が日焼けをすると、肌も日焼けをするのだ。
角膜には、紫外線を吸収する機能がある。そのため、角膜を通じて吸収された紫外線により、脳がメラニン色素を作る指令を出すことで、肌の色が濃くなるという仕組み。
無論、「雪目」のように角膜自体が炎症をおこしたり、ゆくゆくは白内障を引き起こしたりするため、肌の日焼けの心配よりも、目を守る目的でサングラスの着用を促したい。
さらに、サングラスの種類にも注意が必要だということを覚えておいてもらいたい。
一般的なイメージとしては、目が透けて見えないほどの真っ黒いレンズや、ミラーレンズのような濃い色のサングラスが、紫外線カットには持ってこいだと思われがち。
しかし、紫外線透過率というのはレンズの色の濃淡では決まらない。真っ黒なレンズでもザルのように紫外線を通したりするため、紫外線カット率がどのくらいなのかを確認する必要がある。
そして同程度の紫外線カット率であれば、なるべく薄い色のレンズを選ぶことをお勧めする。
その理由は、瞳孔の開き具合によっては、せっかくのサングラスも意味がなくなってしまうからだ。
瞳孔は、暗い場所で大きく開き、明るい場所では小さくすぼまる。つまり、色の濃いレンズを着用していると、瞳孔を開かせることになるため、サングラスの隙間から差し込む紫外線を、大量に取り込んでしまうのだ。
ゴーグルタイプのサングラスならばそういった心配も少ないが、一般的な形状のサングラスに関しては、紫外線カット率の高いレンズで、かつ、色の薄いものを選んでもらいたい。
*
ビジュアル重視の現代社会において、非常に重要な役割を果たす「目」という小さな臓器。この先も、目を通じて得る情報や体験は増える一方だろう。
そして一生涯、己の目で光を見続けるためにも、ぜひともサングラスの着用を推奨したい。
高齢者だとか基礎疾患の有無などにかかわらず、すべての人間の「目」に確実に影響を及ぼすのが、毎日降り注ぐ紫外線であることを忘れないでもらいたい。
コメントを残す