視界の端で静かに落ちた黄土色のしずくは、偶然か必然か。
こんな小さな穴、狙わなければヒットしない。いや、狙ったところでドンピシャに貫くことなど、相当の手練れでなければ無理だろう。 ・・そんなことは分かっている。だがなぜか、こういう時に限って人間は不思議な能力を発...
こんな小さな穴、狙わなければヒットしない。いや、狙ったところでドンピシャに貫くことなど、相当の手練れでなければ無理だろう。 ・・そんなことは分かっている。だがなぜか、こういう時に限って人間は不思議な能力を発...
「ビースト、ピットイン!!」 猛獣使いの命令がわたしの脳みそを震わせた。——すぐさま、自分の巣へ戻らねば!!! 実際にかけられた言葉は「リターン・トゥ・ローデッド・ビースト!」だったが、巧者に...
病は気から・・と言うが、わたしにとっての病は「気」ではなく「口」から始まる。 一般的には、嫌なことがあると気持ちが暗くなり、そこから元気がなくなり免疫機能が低下して病気になる——というのが、よ...
正直な話、わたしは書類作成が苦手だ。むしろ、書類作成が得意な人間というのが存在するのだろうか・・と疑いたくなるほど、"書類"という言葉自体に嫌悪感を抱いている。 こうして、自分の脳に浮かんだ言葉を文字に落と...
(どうせ私のリュックは、あっちへ弾かれるに決まってる・・) 毎回、確実に中身を調べられる私のリュックは、X線手荷物検査装置を潜り抜けた後に、まっすぐ進めば奇跡の解放、左へ流されれば中身を確認・・という岐路に...
いわゆる普通の人間だって、時として「どうしても覚えられないこと」の一つや二つはあるだろう。そしてこの凡庸なわたしにも、どうしても覚えられないことがある、しかも二つだ。 こればかりは、何度聞いてもどれほど覚え...
大きな怪我には意外と強いが、小さな怪我にはめっぽう弱いわたしは今、ズキズキと痛む小さな傷(?)に悩まされている。 というか、傷ではなく親指のツメの際から生えている「小爪」の痛みに、大のオトナが翻弄されている...
「あ、あのぁ・・・ファスナーが閉められません」 カーテンの奥から、わたしは済まなさそうに声をかけた。 なんせ、ピアノ発表会用のドレスを試着しに来たはいいが、一人でファスナーが閉められない・・と...
わが家の素晴らしいところは、最寄り駅まで近いことと天井が高くて解放感があることだ。その他に褒められる部分はない・・というのも、特筆すべき事項かもしれないが。 そしてわたしは今、夜中に一人でフローリングをゴシ...
結局、なぜ人さし指のツメに亀裂が入ったのかを考えてみたところ、"十年ぶりくらいに施したネイルのせいだ"という結論に至った。 * 日頃から"モテるオンナ"となることを渇望するわたし...
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