決して、欲求不満とかセクハラとかではない。
仕事の一環として取材を敢行しただけだ。
しかしこの2日間、私に声を掛けられ真面目な顔で、
「ラブグッズ使ったことある?」
とすごまれた男性諸君、怖い思いをさせて申し訳なかった。
*
正直、こっちだって好き好んでそんなことを聞いているわけではない。
だが記事を書く以上、取材をしなければ進まない。
そこで初日は女子、2日目は男子を中心に、ラブグッズについて質問させてもらったわけだ。
「ラ、ラブグッズってなんですか?」
十中八九この返しだ。
そう、このネーミングじゃわかりにくすぎる。
そこで補足する。
「アダルトグッズっていうの?ほら、あるじゃん」
すると、
「あぁ、ありますね」
となる。
たとえば「ラブグッズ」とやらを英語で言うと、
「Sex toys」
と表現される。
まさに読んで字のごとく、わかりやすい。
だが、これじゃあまりに破廉恥だろうということで、「アダルトグッズ」と名付けてみたが、アダルトグッズもダイレクトすぎるだろうということで、「ラブグッズ」という、エロさを感じさせないファジーな名称がつけられたと予想。
まぁどうでもいい。
そして調査の結果、一つの矛盾とぶち当たった。
それは、明らかに割合が一致しないということ。
女性陣はほぼ100%、ラブグッズの使用を告白してくれた。
もちろん、一人ではなく二人で・・・というのがほとんどだが。
それに比べ、男性陣で使用経験のある人は「ゼロ」だった。
これはどういうことだろう。
男性陣がウソをついているということか。
もしくは私になど正直に話すまいということか。
いや、彼らがウソをついたとは思えないし、恥ずかしくて隠したようにも見えない。
なぜなら、私と彼らはそういう(私に隠し事をする)間柄ではないので。
スパーリングの前、私はターゲットの耳元で呟く。
「あのさ、変なこと聞くけど、ラブグッズ使ったことある?」
一瞬、固まるターゲット。
「え、いや、それはあれですか?あのアダルトグッズというか」
声を潜めながら、会話を続ける。
「そうそう、それ。過去でもいいから使ったことない?」
真剣そのものの表情で、ターゲットに詰め寄る。
「すみません、ぼ、僕はないです」
顔は土色、生気を失うターゲット。
ピーーッ(タイマーの音)
そしてスパーリングが始まる。
*
そういえば、商社マンがなかなかウィットに富んだ意見をくれた。
「ステイホームだから、そういうグッズの需要も伸びてるんじゃない?」
なるほど、そうかもしれない。
性産業は衰退しないどころか紀元前からビジネスとして存在していた(らしい)ことからも、「蓋をして隠す」のではなく、もっと大っぴらに健全に接してあげてもいいのではないかと思う。
紀元前5世紀、歴史の父と呼ばれるヘロドトスの著書「歴史」の中で、神殿売春の話が出てくることから、人類最古の職業などと揶揄される性産業(売春婦)。
売春婦という職業について、必要だから存在するというのが紛れもない事実。
そして性的なことに対して、
「恥ずかしい」
「はしたない」
「不潔」
というような、マイナスイメージしか浮かばないマインドコントロールは、今どきナンセンスであり、むしろ恥ずかしい。
もう少し性に対してオープンな世の中になってくれると、私の取材活動も堂々とやれるのだがーー
などと思ったりもするが、実際のところ「クローズド」だからこそ性の魅力や好奇心がかき立てられるのだろう。
見えないもの、触れられないものにこそ、人間は興味をそそられる生き物だから。
Illustrated by 希鳳
なんとなくだけど、女性は二人の時に使うものをイメージして、男性は一人の時に使うものをイメージしたのではないでしょうか?男性でテンガを使う人は少数派だと思うのです。
たしかにその通りでした笑。
ただ意外にも、聴取した女性の半分は「自分用」の使用経験も告白してくれました笑。