「斜め寝」の注意点

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そんなわけで、反り腰かつ出っ尻のわたしは睡眠時の姿勢に苦労しているわけだが、少しでも睡眠の質を上げるために工夫をしていることがある。もちろん、枕やマットレスなど寝具を色々と試してみたり、足の間にクッションを挟んでみたりと、アイテムによって快眠を維持する努力は怠っていない。

だがもう一つ、なんならこれこそが必殺技といえるほど、個人的には非常に気に入っている寝方がある。それは「ソファで寝る」——しかも、ただ単にソファで寝るだけではなく、そこへ様々なクッションを並べて凸凹の状態を作った上で横になるのだ。

 

そもそも自分の体がデコボコしているので、平らな面に横たわればその歪は自分自身に返って来る。それ故、仰向けの際には肉厚な尻により背中が浮くことで、より一層反り腰を助長するわけだ。

ならば「身体の接地面を凸凹にしてしまえばどうだろう」という発想から思いついたのが、ソファにクッションを並べる・・という方法である。

 

さらに、このクッションにも特徴がある。いわゆる柔らかくてフワフワした物ではなく、低反発や高反発のシートクッションであることが重要。そして、これらのアイテムを置くことで、まるで障害物を散りばめたかのような状況を作り出すため、普通に横たわったとしても体が真っすぐになることはないのだ。

加えて、ソファであることの重要性——つまり、「背もたれが存在すること」が非常に大きな役割を果たしている。これがベッドならば、体をあずけられるのはベッドの上面のみだが、ソファであれば座面と背面の二か所へ体を委ねることができる。

こうすることで、ベッドでは再現不可能だった「斜め寝」という寝方ができるようになるのだ。

 

この「斜め寝」こそが、わたしのお気に入りの寝方なのである。天を仰げば背中が反るため腰痛につながる。かといって、横になれば巻き肩を誘発したり首への負担が大きかったり・・よって、どちらの角度を選んだとしても快眠は得られない。

ところがどうだ、仰向けでも横向きでもない「斜め」という角度ならば、腰や首への負担が圧倒的に軽減されるではないか!

無論、斜めの状態であってもいずれ限界は訪れるが、少なくとも体重を預けられる面が二か所あることで、身体への負担が分散されるのは間違いない。おまけに、低反発クッションの障害物により適度な凸凹が生み出せることから、ここでも圧力分散効果が発揮されるというわけだ。

 

こうして、二日に一度はソファで寝ているわたしは、いつものごとく障害物を設置すると、タオルケットに包まり眠りに就いたのである。

 

 

(・・・寒い)

しばらくすると、寒さのあまり目が覚めた。その理由は、ベランダ側のドアを全開にしていたからだ。

エアコンを使わなくてもちょうどいい季節になったため、昼夜問わず窓やドアを全開にしているわたしは、就寝中に寒さを感じれば羽根布団をかぶって凌いできた。そんな羽根布団は、ベッドの上——。

 

ここからベッドまでおそよ3歩、頑張れば2歩でたどり着ける距離ではあるが、眠るつもりで横になった状態から「起き上がる」という動作を実行するには、それ相応の勇気と覚悟が必要となる。

そしてその決心をすることが・・わたしにはできなかった。わざわざ起き上がって布団を取りに行くくらいなら、もっと小さく丸まって隙間なくタオルケットに包まることで、どうにかして暖を維持しよう——そう考えたわたしは、まるでアルマジロのようにギュッと丸まると、体を揺さぶってしっかりとタオルケットを巻きつけた。

(よし、これで多少はマシになった)

 

・・とはいえ、夜が更けるにつれて気温は下がるわけで、アルマジロとなったわたしはガタガタ震えながら朝を待つのであった。

 

 

結論:低反発クッションを敷き詰めたソファで「斜め寝」をする際は、温かい服装で実施することを推奨する。

 

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