医龍 -Team Anti Aging-

Pocket

 

最近、新たな友達ができた。

彼の名は「龍」。

職業が医者のため、フジテレビもビックリの「医龍」だ。

 

アラセブ(アラウンド・セブンティー)の龍は、若い。

肌艶も良いのだが、考えが柔軟で発想に勢いがある。

それでいて謙虚な彼は、年齢差など感じさせない人懐っこさも兼ね備える。

 

アンチエイジング医療を専門とする龍との会話で、

「美容整形って、」

と私が発言したとき、彼はピシャリと否定した。

「美容整形ではありません、アンチエイジングです」

その違いが素人の私にはピンとこなかったが、彼と会話を交わすうちにその本質に近づけた気がする。

 

 

龍との出会いは、彼が柔術を始めたことによる。

アラセブで格闘技経験もなく柔術を始めるとは、世間一般では変わり者といったところだろう。

 

だがここには、彼の専門分野である「アンチエイジング」へのヒントがある。

 

日々ランニングを欠かさない龍は、身体の衰えを感じさせない。

彼自身も、走ることさえ続けていれば体力は保てると考えていた。

 

しかし柔術の動きに触れることで、今まで予想しなかった「動きの中での筋力の重要性」を感じたのだ。

 

たとえば、マットにあぐらをかいた状態から手をつかわずに立ち上がる動作。

スパーリングで無意識に行われるであろう動作だが、柔術未経験の人にとっては難しい。

 

それが年齢からくる衰えなのか、はたまた単に経験したことのない動きだからなのか、理由は個々によるだろう。

 

この、できそうでできない「未経験の動き」を習得すべく、龍の柔術ライフがスタートした。

 

 

彼との会話のなかで、

「何年も不食(ブレサリアン)を続けているのに、元気な人がいる」

という、一歩間違うとセンシティブな内容で盛り上がった。

 

ブレサリアンについて科学的根拠はよく分からないが、どうやら「腸内細菌」が関係しているようだ。

食事をとらないことで健康な腸内微生物叢(腸内フローラ)を誘導し、宿主に対する健康増進効果を仲介している可能性がある、ということらしい。

 

もちろん、「だからどう」ということではない。

 

ただ、私自身が感じていたことで、

「私の体内で何かが勝手に作られている気がする」

ということを思い出したのだ。

 

たとえば怪我の治りが異常に早いこと。

あとは、減量のためとは言え絶食に近い食事制限を続けても、体力や筋力、スピードなどパフォーマンスに全く影響がないこと。

 

これらについて、私の特異体質ということで片付けるより、腸内細菌の影響と考えるほうが合点がいく。

 

そもそも、外から取り込む「栄養」など近現代になってからの習慣だ。

古代へ遡れば、今ほど豊富な食糧があるはずもない。

食事の種類も1種類か、せいぜい2種類だろう。

 

それでも彼らは元気に動いて走って生きていたわけで。

 

生命を維持するのに必要な栄養素が何十種類もあるーー

このことについても疑問に思う。

 

本当にそんなに必要なのか?

そのせいでカロリーオーバーし、結果的に不健康になってやしないか?

 

比較対象として草食動物について考える。

なぜ馬や牛、象は草だけ食べてあれほどパワーが出せるのか。

 

それは、

草からでもアミノ酸を合成できる「腸内細菌」がいるから。

 

つまり動物の種類によっては、まばゆいばかりの栄養素など不要で、限定的な食糧のみでも生きていけるのだ。

 

最終的には、「そういう生き方ができる微生物」を宿しているかどうかが、大きなカギとなる気がする。

 

 

「美容整形とアンチエイジング」をごっちゃにして叱られた私。

自分なりの答えとして、美容整形は美しくなるための治療、アンチエイジングは若々しくあるための治療、という区別をしてみる。

 

そして龍が考えるアンチエイジングとは、人間が持つポテンシャルを最大限に生かすことではないかと思う。

 

表面上の若さを保つことは、現在の医療技術をもってすれば容易に可能。

しかし自らの力で「抗加齢」に取り組むことで、人間として自然な形で健康長寿が実現できる、ということを龍は示したいのではなかろうか。

 

柔術がその一端を担えるのだとしたら、スポーツ競技として、また護身術として、そしてアンチエイジングとして多方面への貢献が期待できる。

将来的には柔術により健康長寿が実現され、医療費の削減にまでつながる壮大なストーリーだ。

 

ーーアラセブの白帯に対して容赦なく腕十字を極めながら、そんな大それた妄想をする

 

 

Illustrated by 希鳳

 

Pocket