(し、しまった・・・これは頸椎逝ったか!?)
心の中でそう叫んだわたしは、油断しきっていた自身の危機管理能力の低さを恥じると同時に、まさかのくつろぎモードでこのような衝撃を受けたことに驚きを隠せなかった。
それにしても、これは「さすがにやりすぎだろう?!」と嫌味を言いたくなるレベルの衝撃だった。
というか、まるでアトラクションに乗っているかのような、常に腹筋を使った状態でスクリーンを見続けなければならないという、”常時緊張型”での映画鑑賞を強いられたのである。
*
空知英秋原作の人気コミック「銀魂」の、劇場版第3作目となる「銀魂THE FINAL」を鑑賞するべく映画館を訪れたわたしは、そのシートが4DXであることを知らずに——いや、それがどのようなシートなのかを知らずに、ジンジャエールを片手にキャラメル味のポップコーンを抱えて着席した。
ちなみに「4DX」とは、映画業界で最も注目を集める”最新の体感型映画上映システム”のこと。一般的な座席とは異なり、前後のみならず左右上下に乱高下する特殊なシートにより、映画のシーンにマッチした再現が可能となるのが特徴。
さらに、嵐のシーンでは水が噴き出し風が吹き付け、雷鳴のシーンではフラッシュが光るなど、様々な臨場感を演出する特殊効果により、ただ単に「目で観るだけの映画」から「体全体で感じる映画」へと、強制的に巻き込まれるのも魅力といえる。
そんな”アトラクションさながらの特殊効果”ゆえに、当然ながら「利用制限」が課せられていた。
たとえば、身長100cm未満の者は安全上の観点から利用不可だったり、妊娠中や年配者、身体・精神的に敏感な者なども同様に利用できなかったりと、いわゆる”注意事項”のようなものが上映前に流れたはず——なぜこのような歯切れの悪い言い方になるのかというと、わたしがシートに着席したのは、本編が始まった後だったからだ。
急な仕事の電話に出てしまったわたしは、上映開始15分が経過してからシアターに入ったため、事前に告知されたであろう注意事項は一切知らない。ところが後で調べてみたところ、先述の「利用不可」の者たちの中に「首に障がいのある方」という項目があった——まさに、今のわたしじゃないか。
というわけで、まさかの頸椎ヘルニア患者であるわたしは、4DXの恐ろしさ・・いや、素晴らしさを理解する前に、その洗礼を受けたのだ。
ジンジャエールで喉を潤し、キャラメルポップコーンで気持ちを落ち着けたわたしは、ゆっくりと背もたれに体重を預けた。そしてくつろぎながら銀魂を堪能しようと思った瞬間、断続的に急ブレーキを踏まれたかのような、ものすごい衝撃に襲われた。
(!?!?!?!)
驚きすぎて逆に冷静になってしまうほど、頸椎へのダメージに警戒心をあらわにしたわたしは、思わずシートから立ち上がった——こ、この衝撃はさすがにマズかったんじゃないか?!
だが幸いにも、瞬間的に全身を使ってショックを吸収したことで、瀕死状態の首を守ることができた。そして無事を確認した直後、わたしはすぐさま頸椎カラーを巻いた。
(この2時間、なにがあっても頸椎カラーを手放してはならない。これこそが今のわたしにとっての命綱となるわけで、少しでも油断しようものなら、あっという間に殺(や)られるだろう)
*
こうして、4DXデジタルシアターがもたらす臨場感のみならず、リアル・サバイバルモードにて上映時間を乗り切ったわたしは、くつろぎやチルといった”受け身の映画鑑賞”ではなく、本気の攻めによる”体験型の映画鑑賞”を実現することに成功した。
それにしても、あそこまで迫力満点な特殊効果がなかったとしても、銀魂ならば十分楽しめたと思うのだが・・・以下、自粛。




















4DXが画面の立体かと思っていましたが、座席が動くと思っておらず、始終ヒヤヒヤしてました‼️あれから無事に過ごしておられると良いのですが…。
銀魂を4DXにする必要は全くなかったですね😭
どうぞご自愛ください…
でも、何はともあれ楽しかったよね!
次は来年かな?今度こそ4DXじゃないやつで観ようね😂