我が家の水回りは呪われている。しかも「水回りに不具合」といえば、通常ならば水が出ないとか排水が詰まったとか、水に関するトラブルがほとんどだが、ウチは違う。水回り——つまり、風呂場やトイレの”備品”に不具合が生じるのである。
思い返せば入居して間もない頃、風呂場のガラスドアが外れた。外国仕様の洒落たバスルームは、透明な分厚い一枚ガラスで仕切られているのだが、そんな数十キロもある重たいガラスであるにもかかわらず、天井に設置されたレールから吊るされているだけ・・しかもたった二か所を、両面テープで挟む形で固定しているのだから、ガラスが落ちないほうがおかしい。
おまけに、海外仕様のバスルーム・・すなわちバスタブしか存在しないため、バスタブの縁の高さまでガラスが吊るされてある。何が言いたいのかというと、もしもそのガラスが外れたとすれば、バスタブの内側へと落下することになり、その際にシャワーでも浴びていようものなら——想像しただけで背筋がゾッとする。
風呂場ついでに文句を言うならば、バスタブしかない洒落たシャワールームに設置されたシャワーヘッドには、8個の穴しか存在しなかった。これもすべて「見た目のオシャレさ」を優先した結果なのだが、たった8個の穴で、思い切りシャワーを浴びることなど不可能。
すぐさまホームセンターで、日本製のシャワーヘッド(言うまでもなく、穴のたくさん空いているやつ)を購入し、おフランス製の貧弱野郎と交換してやったのである。
*
そんなわけで、今回の不具合は「トイレのリモコン」だ。ウォシュレットや便器洗浄の際に、手元のリモコンボタンにて操作を行うわけだが、数日前からリモコンに異常が見られるようになった。
(あれ?表示が消えた・・と思ったら、ついた)
なぜか、ボタンを押した瞬間にディスプレイが真っ黒になったかと思うと、再び通常の画面に戻る・・という、いわゆる接触不良のような状態が起こり始めたのだ。
念のため電池交換するも変化はなし——おかしいな、このリモコンって確か一年前に交換したばかりじゃなかったっけ。
そう、あの時もリモコンが使用できなくなったことで業者を依頼した。だがあれは、便座の付け根にできた亀裂がちょうどセンサー部分だったため、ウォシュレット本体側が赤外線を受信できなくなったことが原因で、それらの機能が使えなくなったのだ。しかしながら今回は違う。
素人のわたしが見ても、明らかにリモコン内部の接触不良であり、しかも赤外線を送信する際に不具合が生じている様子。その証拠に、「時刻設定」などのリモコン本体の表示に影響はない。ただ、洗浄やビデなどセンサーを送る必要のある場合のみ、ディスプレイがブラックアウトするのだ。
ちなみにこのトイレ、他の居住者宅とは異なる製品が設置されている。何を隠そう、我が家のトイレは「タンク付き」なのだ。マンション最上階であるにもかかわらず、増圧ポンプ未設置のため水圧が弱い我が家では、当初備え付けられていた「タンクレストイレ」だと洗浄が不完全となる場合が多かった。
そこで交渉の末、タンク付きトイレを手に入れたのである。その後は、洗浄に関してはスムーズかつ強力に流れていくため、非常に満足していたわけだが、ウォシュレットの不具合・・しかも、部品破損やセンサー不良といった、備品のトラブルによる故障に見舞われるようになった。
しかも、経年劣化と呼ぶには早すぎるスピードで壊れていくわけで——。
そういえば、新品のエアコンから冷たい空気が出ないとか、人感センサーが無駄に反応し過ぎるとか、電気系統の不具合が多いのも我が家の特徴。
(あれ?これってもしかして・・わたしが原因?!)
*
それにしても、たかがウォシュレットとはいえ、今まで使用できていたものが急に使えなくなると、予想以上に不便を感じるものである。
たまに、公共施設や飲食店のトイレでウォシュレットが故障していることがあるが、あれですら「チッ」と舌打ちしたくなるというのに、生活の拠点である自宅のウォシュレットが使用できない——しかも、本体側の事情ではなくリモコン側の問題という、なんとも歯がゆい苛立ちは看過できない。
ちなみに、電池を外してリモコンをリセットすると、稀にセンサーが反応する・・という事象を発見したわたしは、「ウォシュレットが使えない!」と騒ぐわりに、じつは密かに使用していたりするのである。
コメントを残す