アメリカというビッグでアクティブな国に紛れ込んだ、小さな日本人

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というわけで、わたしは今ラスベガスにいるわけだが、すこぶる調子がいい原因は"完全なる活動時間の一致"によるものだろう。日本にいるときは、それこそ朝の8時に寝て昼に起きる・・という、社会不適合者の生活リズムで暮らしていたが、こちらに来てからは正にそのスケジュールがドンピシャでハマるのだから、これはもう快適としかいいようがない。

 

そして、いわゆる夜型のわたしは深夜がもっとも活動的となるが、日本時間の深夜はこちらでいうところの午前中にあたるわけで、午前を制する者は一日を制する・・が実行できるのだ。

今朝など、友人お手製のトロッとオムレツとシャキシャキトウモロコシ、サクサクのチョコブラウニーにホロホロチキンのスープカレーをいただくなど、こんな贅沢な朝食は味わったことがないくらいに、大満足の朝を満喫した。

 

さらに素晴らしいのは、天気である。見上げる空はいつだって青空、雲一つない鮮やかなブルーは、日本では感じることのできない"強さ"を放っている。ただ単に"美しい青"ではなく、それに加えて圧倒的な威圧感があるような——。もちろん、気温も40度とそれなりに暑いが、それよりなによりカラッカラに乾いた空気と灼熱の太陽が、ヒトを強くさせるのだろう。

そう、ここで暮らしていると、ヒトは強く逞しくなるのだ。

 

 

朝食の後は、午前のワークアウトの時間である。こちらの人々は仕事をしていないのだろうか・・と疑うほどに、ジムの朝クラスが大勢の人で賑わっているのに驚いた。中にはUFCファイターもいるなど、ガチの格闘家に混じってど素人のわたしも必死に汗を流させてもらった。

 

ちなみに「あぁ、さすがはアメリカ」と思ったのは、こちらのファイターは妻や彼女といったパートナーが、とてもしっかりしている・・ということだった。それこそ"女性が働いてオトコの夢を支えてあげる"という、夢のような関係性が成立するのだから。

無論、そのサポートに甘えて結果を残せずにいれば、いくら若くてカッコよくても捨てられてしまうわけで、夢を叶えたいならば本気で取り組むのは言うまでもない。オンナにしたって、将来のないオトコに貢ぎ続けるほどの余裕はないため、互いに決死の覚悟でそれぞれの役割を果たす姿は、なんともリアルでアメリカらしいな・・と感心してしまった。

 

ちなみに、こちらの女性は"カラダで稼ぐこと"ができるため、「プロファイター志望の卵を支えられる」という、日本とは異質の職業タイプがあることを見逃してはならない。いわゆるストリップ・ダンサーがそれにあたる職業だが、日本人が考えるような湿っぽいストリップではなく、鍛え上げられたダイナマイトボディーと卓越したダンス技術にセクシーな表現力を兼ね備えており、それはまさに"プロ"に値する。

さらに"チップ文化の国"であるアメリカは、観客からのチップで収入が左右されるため、ダンサーたちは自身のスキルアップに余念がない。もちろん、中には淫靡さに全振りする場所もあるだろうが、それでも大方のナイトクラブは実力主義で成り立つ世界なのである。

それゆえに、セクシーさの象徴となる豊満なバストに関しては、人工的にボリュームアップを施すのは当たり前。わたしのようなシロート・ジャパニーズからすれば、どれも天然モノのたわわなおっぱいに見えるが、こちらに住む友人に言わせると「全然違うよ」というくらい、当たり前に豊胸手術が行われるのもお国柄なのだ。

 

(あいにく、巨大な二つの果実は持っていないが、こちらにいると自分のムキムキさが気にならないな・・・)

 

 

——というわけで、様々な角度から鑑みてアメリカでの暮らしのほうが自分に合っている気がするが、とりあえずはこの空気に身を任せて楽しませてもらおう・・と思うのであった。

 

Illustrated by 希鳳

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