——圧倒的な金メダル、そして圧巻の三連覇。業界を騒然とさせるスター誕生だ!!
世の中はパリ五輪で盛り上がっているようだが、わたしのなかでの"オリンピック的なもの"は、残念ながら本日で終了した。"的なもの"とはなにか・・勘の鋭い者はピンときただろう。そう、カピリンピックである。
今年で9回目を迎えるカピリンピックの競技内容は、カピバラを展示する5カ所の動物園による「スイカの早食い競争」だ。この5園は"カピバラの露天風呂協定"を締結しており、冬には「長風呂対決」を実施している。そして夏の一大イベントとして、スイカの日である7月27日に「スイカの早食い競争」を実施したのである。
35度を超える炎天下で、各園を代表するカピバラ5頭が一心不乱にスイカを食すわけだが、あくまでカピバラの自発的な行動に委ねるため、過去には"満腹のため棄権"や"アヒルにスイカを奪われた"など、珍事件により順位がつかないこともあった。
だが今年は、全選手見事に完食して無事に幕を閉じたのである。
競技で使用されるスイカのサイズは500グラム。カピバラの体重は50キロ前後なので、500グラムの水分などあっという間に摂取してしまうわけだが、わずか数分の咀嚼に全国のカピバラファンが釘付けとなる、真夏の風物詩・カピリンピック。その栄えある優勝者は・・・ヘチマだった。
ヘチマ(メス、5歳/体重50キロ、体長100センチ)は、埼玉県こども動物自然公園の代表であり、なんと2022年と2023年の覇者でもある。おまけに、昨年度は1分29秒という大会新記録を引っさげての勝利(今年は1分48秒)ということもあり、三連覇を達成したカピバラ界の若き女王はその名を全国へ轟かせた。
ちなみに、二位はギンナン(伊豆シャボテン動物公園/2分55秒)、三位はギバ(那須どうぶつ王国/2分55秒)、四位はオラ(長崎バイオパーク/3分30秒)、五位はシータ(いしかわ動物園/4分47秒)という結果となった。
なお、優勝したヘチマへには金メダルと賞状、さらに副賞として4園から各地域の名産品が贈られるとのこと。これを機に、生のヘチマを拝みに東松山まで足を運ぶことをお勧めする。
補足として、埼玉県こども動物自然公園の代表としてヘチマが選ばれる前は、心音(ここね)が出場していた。だがなんと、心音も圧倒的な強さを見せつけていたのである。
彼女は2021年(2020年は未開催)と2019年を連覇しており、驚くべきことに2018年も、一位と1秒差の1分49秒という超僅差での二位だったのだ。たしかに埼玉県は全国でも有数の猛暑地域ではあるが、そのせいかどうかは不明だが、この園出身のカピバラはスイカの早食いで恐るべき実力を見せつけてくれるのであった。
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そんなカピバラたちの熱き戦いに触発されたわたしは、近所のスーパーでスイカ6分の1カットを買ってきた。カピバラが頑張っているんだ、ニンゲンも頑張らなくてどうする——!
とはいえ、スイカの重さは2.3キロあるため、カピバラたちの規定重量と比べると4倍以上の差がある・・えぇい、なにを怯んでいるか。ここでやらなきゃオンナが廃る。
こうしてわたしは、一心不乱にスイカに齧りついた。彼ら彼女らが競技に挑んだ炎天下とは異なり、エアコンの効いた快適な室内での挑戦ではあるが、顔から腕から足からスイカの汁まみれになりながらむしゃぶりつく姿は、カピリンピックのカピバラと遜色ない気合いだろう。
時間的には8分近くかかってしまったが、外皮ギリギリまで削り取っるテクニックをみせたわたしは、真っ白なスイカの皮を自慢しようと画像を友人へ送った。すると・・・
「ヘチマに負けないって、速さ?それとも綺麗さ??」
という、なんとも核心を突く返信があった。
(・・た、たしかに。タイムでは圧倒的に負けているし、皮の残骸の美しさならば負けていない・・って、あいつらは皮まで食べちゃうから、残骸すら残らないわけか!)
——スイカの早食いおよび残骸の美しさにおいて、ニンゲンはヘチマどころかカピバラには勝てないのである。
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