年会費33,000円

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「いつかやろう、今月こそやろう・・」と思いつつも、なんやかんやで後回しにしてしまい、挙句の果てには数年が経過してした手続きがある。

それは、使用頻度の少ないクレジットカードの退会手続きだ。

 

しょっちゅう海外へ行っていた頃は、なにを差し置いてもマイル還元に心血を注いでいたわたしだが、コロナ禍あたりから年に一回程度しか海外へ行かなくなってしまったため、"航空券が購入できるマイル"という存在への熱意が下がってしまったのだ。

 

そもそも、不安定な世界情勢や惨憺たる円安の影響で、燃油サーチャージが爆上がりしており、航空券をマイルで賄ったとしても、その他に必要な費用が10万円も発生するならば、なんかマイルにするのが勿体ない・・と思い始めたわたし。

数年前までは、それこそマイル+2万円程度で欧米を往復できたというのに、今では信じられないほど海外旅行は高嶺の花となってしまったのだ。

 

それまでのわたしは、全ての買い物や経費をユナイテッド航空のクレジットカードで支払っていた。家賃も光熱費も食事代も交通費も雑費も、すべて一枚のカードに統一することで、圧倒的なマイル付与の恩恵を受けていたのである。

しかし、マイル熱が冷めてからは楽天カードに目移りし始めた。

(年に一度の航空券よりも、普段の買い物のほうが大切だ)

 

こうしてわたしは、年に一度のマイルから、日頃のショッピングに還元できる"楽天ポイント"へと移行したのである。

それからは、コンビニでもスーパーでもせっせと楽天ポイントをためて、買い物はなるべく楽天市場を利用して、とにかく楽天ポイントを集めては使う・・を繰り返した。

 

ところが実際のところ、楽天ポイントをためる・使うことが、そこまで得だとは感じていなかった。なぜなら、ちょっとしたことに使ってしまうため、「ありがたみ」を感じられないからだ。

これまでのように海外航空券がマイルで買えるとなると、ものすごく豪華でお得なサービスを受けた気になるが、コンビニでアイスを買うのに楽天ポイントを使ったところで、さほど感謝も感動も得られない・・なんて言ったら失礼な話だが、どうせならン十万円に化けるほうがインパクトがデカいわけで。

 

そんな意地汚い考えのわたしだが、なんとなくユナイテッド航空のクレジットカードを手放す気になれず、携帯電話や光熱費、JAFの年会費、ペット保険の支払いを変更せずにそのままにしておいた。

そのため、いくらかの月々の支払いにより年間4万マイルくらいはたまるが、実際に海外へ行こうとすれば10万マイルほど足りないわけで、飛行機に乗るなど夢のまた夢。

それでも塵も積もれば山となる。「何年か放置しておけば、一度くらいは海外に行けるだろう」と高を括っていたのだが、何年経っても海外へは行けないまま、時だけが無情にも過ぎていったのである。

 

そんなある日・・というか今日、一通のハガキが届いた。ユナイテッド航空のクレジットカード会社からの通知で、「年会費およびマイル付与条件の改定、サービス変更のお知らせ」という内容だった。

 

圧着面をペリッと剥がすと、真っ先に「年会費が22,000円から33,000円に値上がりする」という文言が飛び込んできた。

これまで、ほぼ使っていないクレカに対して22,000円もの年会費を支払っていたことにも驚いたが、それがさらに1万円も値上がりするとなれば、これはもはや"なんとなく放置"という選択肢はあり得ない。

その他にも、マイル付与条件の改悪が示されており、新たなサービスと比較しても、わたしにとって年会費33,000円を支払ってまで手に入れたいものではなかった。

 

そんな"恐怖のハガキ"によって目が覚めたわたしは、これまで何年も放置していた「クレジットカード変更手続き」を、深夜にもかかわらず敢行した。

電気とガス、そしてJAFは「お客様番号」なるものが必要らしく、血眼になって検針票やJAFカードを探した。さらに、ドコモとソフトバンクの支払いを変更するために、滅多に利用しないMy docomoやMy SoftBankへログインする必要があり、当然ながら失念しているパスワードを再設定するなど、無駄に時間を費やすこととなった。

 

それでも、使用していないにもかかわらず年会費33,000円という脅威に迫られたわたしは、無我夢中に支払い方法の変更手続きを行ったのである。

 

 

この数年間、ユナイテッド航空のクレジットカードを利用したのは、機内でWi-Fiサービスを購入するためにマイルを使ったことくらいだ。

年会費22,000円を払いながら、年に一度、往復40ドルでWi-Fiサービスを利用していたわけで、なんという無駄な贅沢を繰り返してきたのだろうか——。

 

めんどくさがった結果、カネをドブに捨ててきたわたしは、今日からスタバの回数を減らそうと思うのであった。

Illustrated by 希鳳

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