「睡眠の秋」を満喫するべく早寝をしたはいいが・・・

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自称・ショートスリーパーのほとんどは、単なる寝不足である——と、睡眠の研究者たちは口をそろえて断言する。そのくらい、本物のショートスリーパーというのは滅多に存在しないのだそう。

かくいうわたしもショートスリーパーではないにせよ、どちらかというと睡眠時間は短い部類に入ると思われる。なんせ5時間以上横になると、腰や肩が体重に耐えられなくなり苦痛で起き上がってしまうわけで。だが、この現象にはとある理由があると自己分析している。それは、わたしの尻が異常に突出していることだ。

 

いわゆる"出っ尻"で反り腰のわたしは、仰向けという体勢が非常に難しい。そのため横向きになって寝るのだが、そうなると今度は肩が前へ出てしまう"巻き肩"を引き起こすのだ。無論、うつ伏せになっても腰が反るため一分もしないうちにギブアップとなるので、いずれにせよ八方塞がりなのである。

ちなみに、反り腰を治すには臀部と腹部の筋肉をつけること・・と言われるが、むしろわたしは臀部の筋肉のせいで反り腰を併発している気がしてならないのだが。

 

というわけで、とりあえず最低3時間の睡眠が確保できれば、翌日の体調は万全かつ気分爽快なので、比較的短い睡眠で疲労回復や脳・身体の整理整頓が完了するわたしは、やはり草食動物の血を引いているのだろう。草食動物といっても、うさぎやロバではなくゴリラのほうだが・・。

 

そして季節は完全に秋を迎えた。暑くもなく寒くもなく、服装もオシャレをするのに適したシーズンとなり、巷では「食欲の秋」とか「睡眠の秋」などともてはやされている。たしかに、色とりどりのフルーツや種類豊富なキノコが店頭に並び、見ているだけでも満たされるのはこの時期ならでは。おまけに、気温が低くなったことで就寝の際もスッと眠りにつけるようになり、まさに秋は食欲と睡眠欲を満たすのにうってつけの季節といえる。

そんなことを考えながら、珍しくわたしは早々にベッドへ横たわった。早々といってもすでに日付は変わっているが、"お化けが出る"と噂される丑三つ時を布団の中で迎えられるというのは、個人的には滅多にない出来事なのだ。

(いやぁ・・こんな早い時間に寝られるとは、なんとも嬉しいじゃないか!)

 

快適な気温と湿度、そして照明の消えた薄暗い室内で就寝体勢に就いたわたしは、なぜかウキウキしていた。翌日に何かイベントがあるわけではないが、遠足前夜の小学生のように、早々と布団に入ったはいいがいつまで経っても寝つけない状態なのである。

(・・シーンとし過ぎているのかもしれない)

あまりに無音だと、神経が研ぎ澄まされて逆に眠れなくなるもの。よって、適度なノイズが睡眠への近道だと踏んだわたしは、"作業用BGM"のYouTubeをランダム再生させてみた。とくに興味のない内容であれば、学校の授業さながらすぐに眠れるだろう——。

 

(・・なぜ、ヒトコワばかり流れるんだ)

時間的にも霊的な現象が起きてもおかしくない頃合いな上に、なぜか流れてくる音声はホラー系の話ばかり。とくにヒトコワ(人間の怖さについて語るジャンル)など、身近に起こりうる内容であるため、より恐怖心を煽るのである。

(もう少し明るい話題というか、どうでもいい話題はないものか・・)

ちょうど選挙に関する動画が目についたので、まったく興味のない選挙について聞いてみることにした。どうやら自民・公明は過半数割れで、立憲民主が大幅に議席数を伸ばした模様。

 

・・・っていうか、裏金問題に後押しされた今回の選挙で、こうなることは目に見えていたわけで、単なる「椅子の取り合い」でしかない今の政治に、どうしたら興味が持てるのか逆に教えてもらいたい。本質よりもスキャンダラスなトピックに飛びつくマスコミの低レベルさも相まって、どこをどう見ても茶番でしかないこのイベントに、いったいいくらの税金をつぎ込んだのだろうか。

例えが悪いが他に適切な表現が思いつかないのであえて言わせてもらうと、腐った果物を並べられて「さぁ、ここから好きなものを選びなさい」といわれても困るのだ。消費者が目を奪われるような見事な果物が陳列されていたら、宣伝などせずとも大人気となるだろう。だが、どこをどう見ても変わり映えしない"質の悪い商品"を提示された上で、半強制的に選ばされる・・という制度自体に問題はないのだろうか。

 

 

そんなことを考えているうちに、外ではカラスが鳴き始めた。あぁ、朝だ——。

 

Illustrated by 希鳳

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