今日の東京は、多分、寒かったのではなかろうか。わたしは家の外へ一歩も出ていないので、実際に外気がどれほどだったのか、また、天気がどうだったのかは知らない。しかし室内にいてもなお、半袖短パンではくつろげないほどの気温の低下は感じていた。
そのため、エアコンをオフにして扇風機も止めてみたが、やはり手足は冷たいままなので、仕方なく長袖長ズボンを引っ張り出してきたのである。
わが家は主にコンクリートとガラスでできており、夏暑くて冬寒い仕様となっている。見た目は断トツでオシャレだが、「住めば都」の逆で、何年住んでも室温の脅威に翻弄され続けるのであった。
季節は10月ということで、間違いなく秋である。肌の露出は控え目にしなければならないことは分かっているが、昨日まで半袖短パンで扇風機を回して寝ていたわたしが、急にすべてを放棄して秋の装いに衣替えするというのが、どうも納得いかないのである。
デスクの左には、死んだフリをして夏を乗り切ったカーボンヒーターが立っている。同じくらいの背丈の扇風機と睨みあいながら、とうとう自分の時代が来たのだと、どことなく誇らしげに笑っている気もする。
半袖短パンのままならば、このカーボンヒーターのスイッチを入れる羽目になるが、今はもう十分体温を保てている。だが遅かれ早かれ、こいつの出番がやって来るのは間違いない。あぁ、忌々しい——。
そして、ほぼ同じサイズのこいつら(扇風機とカーボンヒーター)だが、じつは仲が悪い。当たり前だが、まるで機能が異なるからだ。
扇風機は夏場に使用する冷房器具であり、風量を7段階で調節できるうえに首振り機能やタイマーまでついている。冷房と組み合わせると、相乗効果により室内が快適で涼しくなるのだから、扇風機に足を向けて寝られない。・・いや、扇風機に足を向けなければ、安眠を得ることはできないのだ。夏でも羽布団のわたしは、掛け布団を横向きにして足を出し、そこへ扇風機の風を当てながら眠っているからである。
このように、扇風機はわたしのQOL向上に大いに役立っているのだ。
対するカーボンヒーターは、450Wと900Wの二段階しか切り替えはなく、首も降らなければタイマーもついていない。おまけに縦長なので、その範囲内に体を置かなければ暖かさを享受することができない。
足元にヒーターを置こうものなら、定位置から発せられる熱ため5分と同じ姿勢ではいられない。しかも、寝ている間に布団を蹴とばしてヒーターを覆ってしまったりしたら、それこそ火事などの大惨事になりかねない。
よって、ヒーターの存在に常に気を配らなければならず、わたしのQOLが上がることもないのである。
このように、サイズは似たり寄ったりだが互いの相性は悪く、わたしからの寵愛度合いも大きく偏る扇風機とカーボンヒーター。そんな彼らが、いよいよバトンタッチをする季節が近づいて来たのだ。
それにしても毎年毎年、人間はバカなのかと思うくらいに同じことを口にする。新年を迎えたら今年一年の抱負を語り、春になれば一年の三分の一が過ぎたと笑い、夏が来ればあと半年で今年も終わると嘆き、秋の肌寒さを感じる頃には「何もしないまま、冬を迎えてしまう!」と恐怖に慄くわけで。
こうも毎年同じことを思い、同じことを繰り返しては後悔するのだから、少しは学べばいいものをつくづく我々はバカなのだろう。
そんなことを思いながら、それとなく明日の天気を調べてみる。
(最高気温25度・・・)
うん、まだしばらくは扇風機のターンということでいいだろう。
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