おそロシア🇷🇺

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日本で暮らしていれば、日本のルールで物事が進んで当然と思うはず。

しかしたまにその常識が通じないときがある。

 

それは大使館で起きた。

 

 

べラルーシ訪問のためのビザ申請をしに大使館へ行った。

まず、ベラルーシ大使館を見つけるのに苦労した。

 

グーグルマップで所在地を見ると自宅から徒歩5分。

かなりのご近所さんゆえ、部屋着のまま大使館へ向かった。

 

ところがグーグルマップの指す場所に大使館は見当たらない。

閑静な超高級住宅街のど真ん中、上下スウェットに便所サンダルの私は完全に不審者だ。

黒塗りベンツが何台も停まる細い道を、ウロウロと20分ほど徘徊した。

 

ーーこのままでは大使館が閉まってしまう

 

焦った私は、とりあえず地図が示す場所にあるマンションのチャイムを鳴らした。

 

「Прывет」

 

何語か分からないが、これは間違いなくベラルーシ大使館だと確信した。

なんと、普通のマンションの一階に大使館があった。

 

詳細は割愛するが、ベラルーシ大使館の人は優しかったし、いろいろと緩かった。

おかげでスムーズにビザが発行された。

 

事件はその次の大使館で起きた。

 

 

出国まであと2日。

ギリギリのところで私は重大な事実を知った。

 

べラルーシへ向かう途中の乗り継ぎがロシアの場合、ロシアのビザが必要らしい。

 

しかも同じターミナル内で移動がなかったとしてもビザが必要らしい。

 

さすがにモスクワで追い返されても困るので、すぐさまロシア大使館へ向かった。

 

 

ロシア大使館は立派だった。

いかにも大使館という建物にロシアの国旗がはためている。

 

中へ入ると15人くらいの人だかり。

窓口は3つあり、それぞれ均等に並んでいる。

 

私の順番が来た。

 

「トランジットのビザがほしい」

 

「インターネットで書類をプリントアウトして記入してくれ」

 

「ここで書類をもらうことはできないの?」

 

「できない」

 

私が怪訝そうな顔をした瞬間、窓口のシャッターが閉められた。

突然の出来事に私は驚いた。

いきなり目の前で、顔色も変えずガシャンと扉を閉められたのだ。

 

放心状態の私の後ろから、列に並ぶ人々の舌打ちやため息が聞こえる。

 

 

ーー私の態度が悪いせいで窓口が閉められたのか?

 

 

そう、私は初めてロシアの洗礼を受けた。

 

とはいえ感慨に浸っている暇はない。

なんせ出国まであと2日、とにかく時間がない。

近くのコンビニで申請書類を出力し、完璧に記入を済ませた状態で、再びロシア大使館を訪れた。

 

先ほどクローズした(させた)窓口は相変わらず閉まっている。

残り2つの窓口に長蛇の列ができており、その最後尾におとなしく並んだ。

 

私の順番が来た。

窓口へ書類を差し出す。

 

「これは書類が違う」

 

「そんなはずはない、さっき隣りの窓口でこれだと言われた」

 

「私は隣りの窓口の人間ではない、私の言うことに従えないなら帰ってくれ」

 

言い終わると同時にシャッターが下りた。

私は、3つの窓口のうち2つの窓口を閉めてしまったのだ。

 

背後に並ぶ人々は口々に禁止用語を連発し、ラスト1つの窓口へゾロゾロと移動した。

ロシア大使館において完全なる四面楚歌、やむなく最後尾についた。

 

私の対応の何がいけなかったのだろう。

ロシア人の怒りを買うような言動や表情をしたのだろうか。

 

悶々としながらも順番が来た。

おそるおそる申請書類を差し出す。

 

「ホテルのバウチャーは?」

 

「トランジットなのでロシアには宿泊しません」

 

「宿泊しなくてもホテルのバウチャーが必要。お金を支払った確認も必要。それができなければビザは発行できない」

 

そ、そんなバカな話があるか?

トランジットビザの発行に宿泊施設の払い込み領収書が必要だなんて。

 

しかしここで事を荒立ててはならない、穏便にいこう。

 

「ホテルの領収書が宿泊後でないと発行されない場合はどうすればいいですか?」

 

「知らない」

 

案の定、シャッターは下りた。

ものすごい勢いで閉められた。

 

途方に暮れて振り向くと、後ろに並んでいた人々が肩をすくめ眉をひそめ

 

「OMG」

 

と冷たい視線を浴びせてきた。

そりゃそうだ、申し訳ない。

 

ロシア大使館の窓口3つを、一人で全部閉めた日本人は私くらいだろう。

2日後に出国だが、一体どうすればいいのだ。

 

 

ロシアに住む友人に電話で相談をした。

すると、

 

「民間のロシアビザ発行センターみたいなのがあるから、すぐに連絡して手続きしてもらいな」

 

まさしく神の声。

 

すぐさまネット検索すると、今いる場所から10分圏内にロシアビザセンターがある。

私はダッシュで向かった。

 

マンションの一室で看板すら出ていないロシアビザセンター。

チャイムを鳴らして中へ入る。

 

ここで断られたらすべてが終わる。

そう覚悟を決めていたところ、意外な話を聞くことができた。

 

「いじわるされたね、まぁよくあることだよ」

 

やっぱり。

私は外国人ウケがいいときと悪いときの差が激しい。

ロシア人はダメだったというわけか。

 

ビザセンターの人によると、

 

・宿泊先の払い込み領収書なんて普通は入手できない(クレカ払いが即日決済されない)

・民間人ではコネがないからホテル側への根回しができない

・トランジットビザは、トラブルに巻き込まれると帰国できなくなるから観光ビザを推奨

・日本出国が明後日とギリギリすぎるので、手続きの費用は格安でいい(間に合わない可能性もある)

 

このような内容で話が進んだ。

 

冬のモスクワは気候の悪化で5時間ほど上空で待機することもあるそう。

そうなると乗り継ぎが間に合わずモスクワに取り残される。

さすがに72時間(トランジットビザの滞在期限)もいないだろうが、その間ちょっとだけ観光を、となると観光ビザのほうが安全だ。

 

むしろ、不法滞在で罰を受けることのほうがおそロシア。

 

日本出国の数時間前にパスポートをピックアップするというギリギリの約束をし、もし何かあった場合はロシアへもべラルーシへも行けないことを承諾し、その日は別れた。

 

あとは運を天に任せて。

 

 

結果的にロシアのビザは発行された。

ロシアビザセンターはロシア観光協会と繋がりがあるため、実際に宿泊費の払い込みをせずとも手続きができるらしい。

 

ロシアのビザ申請は昨年から方法が変わったようだが、もし再びロシアを訪れることがあれば、次回も間違いなく代行業者経由で申請すると決めている。

 

なぜなら私は、恐ろしくロシア受けが悪いから。

 

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2件のコメント

少し前に機内でマスクをしないと揉めていた件、

ロシア機内であれをやったら確実に身柄拘束され数千万円の損害賠償を支払うまで
出国できないであろうとの話も納得できる。

緊急時、赤い星の帽子が役に立つかもしれない。

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