「金の話」はだいたい面白いものなのか?

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「金の話はだいたい面白い」

 

友人のこの言葉で、そうなのかなと思い返してみた。

金儲けをしたことがない私は、「金の話」と言われてもピンと来ない。

 

そのワードから思い浮かんだこれまでの「金の話」は、こんな感じだ。

 

 

銭湯編

 

銭湯でロッカーに100円玉を入れる仕組みのところがある。

100円玉を入れることでカギが閉められ、再びカギを回すと100円玉が戻ってくる。

一時的に100円損するが、帰りにはちゃんと戻ってくる「100円玉担保型」のロッカーだ。

 

私はまず、ロッカーにピタリとくっつき、真横から目を光らせる。

もし100円玉が残っていると、そこだけ違和感があるのですぐに分かる。

 

この「銭湯ロッカー100円玉回収率」はすさまじい。

金額云々関係なく、回収率100%だ。

私は銭湯で、100円をゲットできなかったことはない。

 

なぜ忘れるのだろう。

たかが100円と思っているからだろうか。

これが500円玉なら、絶対に忘れないだろう。

 

とりあえず、私は100円玉ロッカーに対面するとまず、100円玉を探すことから始める。

そして自らの財布を開くことなく、ロッカーを利用することができる。

 

 

自動販売機編

 

誰もが一度は、自動販売機のおつりの部分に手を突っ込み、おつりの有無を確認したことがあるだろう。

私も毎回、そうしている。

しかし最近では、ICカードによる自動販売機での購入が増えてきたため、おつりの必要性がなくなってきた。

 

 

過去に私は、自動販売機で飲み物を購入する際、投入しようとした小銭を誤って落としたことがある。

落としたのは10円玉。

たかが10円だが、その10円がなければ飲み物を買うことができなかった。

 

なぜなら「釣り切れ」のランプが点灯しており、小銭の所持金は140円しかない。

140円の飲み物を買うのに、貴重な10円玉を落としたというわけだ。

 

最悪なことに10円玉が落ちた先は、排水溝の金属製の格子蓋(グレーチング)だった。

つまり10円玉は金属格子蓋を通過し、排水溝に落下した。

 

私はすぐさま排水溝をのぞき込んだ。

 

日没後ゆえ見にくいが、いくつか光るものが見える。

銀色に光る小さな丸、これは100円玉か50円玉だろう。

結構な数の銀色の丸が確認できる。

 

私は周囲を見渡し、こちらを見ている人間がいないことを確認すると、グレーチングを持ち上げた。

これが結構な重さで、素手で持ち上げるよりバールか何かを使うべきだった。

しかし時間がないので、全力でグレーチングを引き上げた。

 

5キロほどあろうスチール製のグレーチングをどかし、10円玉の救出に取りかかろうとした。

そこで驚いたのは、なんとグレーチングの下に細かい網目のダストキャッチが設置されていたのだ。

ダストキャッチにはたくさんの小銭が引っかかっていた。

大物では500円玉が3枚も引っかかっている。

 

総額いくらになったのかは覚えていないが、すべての小銭を回収しグレーチングを元通りにはめた。

そして多分私の物であろう10円玉を自動販売機へ入れ、無事に飲み物を購入することができた。

 

 

あの自動販売機の管理者なのか土地所有者なのか不明だが、ダストキャッチを付けているあたり、あざとい。

定期的にグレーチングを外し、小銭を回収しているのだろう。

今回は残念ながら収穫なしだが。

 

 

コンビニ編

 

最近もっぱら、電子マネー(おサイフケータイ)で買い物をするため、コンビニへ行くときは手ぶら。

 

そしていつも通り買い物をしていると、店員から

「切手やレターパックは現金なんですよ」

と言われた。

 

理由を聞くと、切手やハガキ、印紙などは非課税のため、電子マネーは利用できないとのこと。

 

現金など持ってきていないが?

というと、気が利く店員は

「あ、じゃあ僕が代わりに払っときますよ」

と、自らの財布から現金を出してレジへ入れた。

 

 

こういう信頼関係も美しいものだと感心した。

 

 

 

以上が、私の思い浮かべる「金の話」だ。

どれも小銭レベルの内容で恥ずかしい。

 

友人のいう面白い金の話は、ウン千万、ウン億の金を動かす話のことだろう。

現実的に私がそのような高額な案件にかかわることはないため、身の丈からいっても小銭レベルがちょうどいい。

 

 

もし、小銭を落として困ったときは、一報をお待ちしている。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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