ナンバープレートを見て暗算をしてはならない

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久しぶりに登場の、代打トスンパである。

40代以上の昭和のオッサンには懐かしい話かも知れないが、この世代にとって、小学生の頃の習い事の定番といえば算盤(そろばん)だった。

自営業のオッサンや定年後のオッチャンなどが、今で言う副業として平日の夜や日曜日、地域の自治会館などで子どもたちを集め僅かばかりの月謝で教えてくれるスタイルである。

 

トスンパも小学校1年生から学び、卒業するまでに2級を取ったのだが、得意科目は暗算だった。

三つ子の魂100までとはよく言ったもので私は今も大概のことは一瞬で暗算をしてしまう。

というよりも、算盤を習っていた子どもあるあるで、見かける数字を無意味に計算し続けてしまう癖が、何歳になっても本当に抜けない。

 

信じがたいかもしれないが、以下のような画像を見て感想を求められた時、皆さんなら何と回答するだろう

引用:経済産業省 ニュースリリース

https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220616001/20220616001.html

「そういえば、万博か」

「大阪からこんなところまで何しにきたんだ?」

「ミャクミャクさまキモい」

おそらく、そんなところではないだろうか。

 

しかし幼少期に算盤を習った人の多くに聞けば、95%くらいの高頻度でこう返されるはずだ。

「-5!!」

そう、無意味に暗算をしてしまうのである。

もうこれは「制限時間内に数多くの計算を解くことを強制された幼少期の弊害」ともいうべきものだ。

目に入った数式らしきものは、その場で脳が勝手に計算を始めてしまうのである。

もはや止めたくても止められない、病気の一種である。

 

さらに3級以上を取って、伝票算も強制された幼少期を過ごした経験がある人なら、買い物カゴに入れる商品を無意識に伝票算してしまっている事もあるのではないだろうか。

私はいつもそんな感じで、スーパーで買い物をする時も10円単位まではだいたい事前にわかってしまう。

キャッシュレス決済の時代、もはや便利だともなんとも思わない特殊能力なのだが、脳は計算することをやめてくれない。

 

しかしこの能力。これがあるおかげで私は過去に2度ほど、面白い経験をしたことがあるのだ。

少しご紹介したい。

 

1回目は、大阪で友人と初見の居酒屋に入ったときのこと。

何でもかんでも無意識に計算してしまう私は、居酒屋で飲んでいる時もだいたい、頭の中で伝票算が働いている。

そのため、飲み終わった時の感覚でおおよそ、その日のお会計がわかっている。

注文をする時に、目に入る数字を強制的に計算してしまう脳の構造になっているので、どうしようもない。

 

「23,320円ですぅ~~」

”店長”の名札をつけた若い兄ちゃんが手書きの紙片をテーブルに置き、ニヤついている。

「あれ?思ったより飲み食いしてしもたな~」

などと言いながら、ツレは財布を出そうとしている。

しかし明らかに、会計がおかしい。

私の無意識の伝票算では、おそらく16,300円くらいのはずだった。

 

「店長、なにか会計がおかしいよ?突き出しが一人1,000円としてもたぶん5,000円はなにかズレてる」

店長はみるみる顔色が変わり、焦り始める。

しどろもどろの事を言うばかりで、何一つ納得できることを言わない。

 

「忙しい時にごめんね。この計算をした伝票持ってきて。多分ズレてるから」

すると店長は一度、バックヤードに戻ったものの、すぐに出てきて、

「すんません、伝票出せないんですよ。お店の守秘義務があってw」

「・・・」

「忙しいんで、申し訳ないっすけどお会計してもらっていいっすか?」

これ以上は無駄だと思い、私はツレと割り勘で会計を済ませると店を後にした。

 

しかし実は、このような”プチボッタクリ”の店は、大阪の繁華街に意外と多い。

大阪では20年ほど仕事をしているが、数千円程度の会計の上乗せはもはや慣れっこだ。

酔っ払い相手なので、その程度の上乗せなら気が付かれないと思う経営者もごく少数ながらいるのだろう。

もっともその後、この店はグーグルのコメント欄に

「明らかに何かを上乗せしている」

「いつも会計がおかしい」

などと書かれ低評価を喰らい、程なくして別の店に変わってしまっていた。

正直な商売をしない店主など、長続きするわけがないというものである。

 

そして2つ目のおもしろい経験である。

海鮮居酒屋チェーン店に入ったある日のこと、注文した商品が全然届かない。

最初に頼んだビールすら届かず、後から入ってきたグループのビールや料理がどんどん提供され、ツレと私は座ったまま、乾杯すらできない状況が30分ほど続いた。

さすがに「何もこないよ?オーダー通ってますか?」と聞いたところ、どうやらなれないアルバイトが注文伝票のテーブル番号を書き間違えて、頼んだものは全て違うテーブルに行ってしまっていたということらしい。

気を取り直しビールを頂くと、その後も頼んでいないホッケの塩焼きや海鮮丼が出てきて

「いや、これ頼んでないですよ・・・?伝票管理は大丈夫ですか?」

という会話が続く。

 

やむを得ず、ややこしい料理はやめてお寿司を中心に腹を膨らませ最低限の食事を済ませた。

そして次の店に行こうとレジに行ったところ、

「本日は本当にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」

と、店長の名札をつけた偉い人が丁寧に謝罪にきてくれて、そして示した紙片にはこう書かれていた。

 

”4,268円”

 

「いやいやいやwwwwwwwwwwwwwww店長、これおかしいってwwwww」

「・・・とオッシャイますと?」

「だって私一人でも、ビールとハイボール5杯飲んでるよwwwwツレも同じくらい飲んでるのに、ありえないってwwww」

「しょ・・・少々お待ちください!!」

「多分、飲み食い合計で18,300円くらいじゃないかな。それくらいの伝票を探してみて下さいwww」

 

しばらくして店長が戻ってきたが、バックヤードではテーブル番号がデタラメになってしまった伝票が入り乱れており、もはや何が正しいのかわからない状況だという。

「そんなことですので、申し訳ございません・・・恐らくこれらの伝票の中で、どれかを召し上がったことは間違いない無い気がするんです。申告していただけないでしょうか?」

「マジっすかwwwどれだろうwwww」

 

そしてその場で、5枚くらいの伝票を前に「これは食べてない」「これは食べた」というやり取りを10分くらい続けていたのだが、当たり前のようにレジ前には会計待ちができてしまう。

店長は焦りだし、店の中もだんだんと殺気立ってきた。

 

「・・・申し訳ございません!もう4,268円でいいのでお支払いいただけないでしょうか?」

「・・・本当にいいんですか?」

「はい、もう追跡不可能ですのでいいです」

「カードで支払いますけど、絶対に後からややこしいお金を乗せないでくださいね?」

「はい、お約束します」

 

そしてその時、決済したカードの請求明細が確定したのが先月末だったのだが、本当に4,268円だった。

本当にこれで良かったんだろうか・・・。

 

お酒を飲んでいるときにまで、つまらない計算脳を働かせてしまったために発生した悲劇である。

いや、ちょっと違うなこれ。

なんか書きたいことと違うオチになってしまったが、まあそんなことで。

 

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アイキャッチ画像引用:

厚生労働省「居酒屋(カウンター式焼き鳥)の燃え残りの炭を火消壷に移す作業で気分が悪くなった」

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/hiyari/hiy_0313.html

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