「お役所の人間」も人間に違いない

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私は社労士だが、対役所の仕事が得意な社労士だ。

 

そもそも、一般人からすると役所は「敵」のポジションになる。

職員の態度は冷たい、税金や保険料をむしり取る、ネゴ(交渉)が一切通用しない、時間が来たら電話もつながらないし窓口も閉める。

 

こんなイメージではないだろうか。

 

 

私は個人事業主ゆえ、服装を気にする必要がない。

どこへ行くときも、その日の気分で着たい服、履きたい靴(ほぼサンダル)で出かける。

 

役所で行政協力を頼まれたときのこと。

いわゆる「準公務員」の立場で、職員とともに職務に励んだ。

 

他の社労士はみな、スーツにヒールだが、私はあいにくスーツもヒールも持っていない。

 

しかし常識人である私は、役所で仕事をする前日に、ユニクロでそれっぽいワンピースを買い、新品のクロックスを履いて定時に当庁した。

 

おもしろいことに、私の格好を見ての反応は二極化された。

 

二極化とは、職員と区民の2種類の人間の反応

 

 

職員は明らかにあせっていた。

 

「そんなカッコしてたら、区民からクレームがくる」

 

と、顔に書いてあった。

 

 

その反面、相談に訪れた区民の態度は違った。

 

「公務員でもこういうタイプの人いるのね」

 

「そんなヘアスタイル(金髪で片方カリアゲ)で、いじめられない?」

 

「職員なのに給料安いのかい?」

 

なぜか私の処遇を心配してくれる区民が多かった。

とはいえこの性格のため、ときには区民と口論になることもある。

 

「アンタらみたいに年に3回もボーナスもらうお役所の人間に、オレの何がわかるってんだよ!」

 

「ボーナスなんてもらったことないよ!こっちは毎月カツカツでバイトしようか悩んでるのに!」

 

「なに?ボーナスないのか?オレですらボーナス1回あるぞ?」

 

「ボーナスなんて贅沢なもの、もらえるなら1回でも文句言うな!」

 

「そうだな、そりゃわるかった」

 

役所の人間ではないからこそ堂々と言い返せる立場なのだが、それでもこの会話をきっかけに区民の敵対心は消え、哀れみの表情に変わった。

 

ーー結果オーライだ。

 

 

役所の人間といえど人間なわけで、困ったときは情に訴えかける作戦が有効だ。

 

昨日、急遽顧問を頼まれたクライアント(友人)が、労働保険年度更新を怠っており、認定決定の予告状が届いていた。

通常だとかなり無理な案件を、無理やり電子申請した。

理由は、申請期限が明日までなので、なにがなんでも到達させておきたかったから。

 

ここで私の必殺奥の手を発動させた。

 

それは「手紙」だ。

 

電子申請の担当者宛に、丁寧に手紙を書いて添付することで、ちょっと無理な申請が通るのだ。

もちろん、理由があっての「無理」なので、はなっから無理な案件は言うまでもなく、無理。

 

これこれかくかくしかじかと、丁寧に”事の顛末”を記し、

「なにかあればわたくしめにご連絡をお願いします。

くれぐれも、返戻(※申請を無下に突っ返すこと)だけはご勘弁を・・・」

と泣き言で締めくくる作戦。

これが割と、成功するのだ。

 

考えてみれば、役所側からすると申請を受理することが仕事なので、その手前でゴチャゴチャさせたくないのが本音。

これは、私が役所にいたからこそ分かる感覚だ。

 

そして、できるだけ役所側で「保留」にはしたくない。

なるべく早く、手元からリリースしたい。

 

なので複雑な申請であっても、理由が分かれば判断もしやすく、まれに人情で舵が切られることすらある。

 

 

インターネットを介した電子申請が主流となりつつある昨今、意思の疎通が最大のハードルとなる。

なぜなら、電子申請で使用するフォーマットには、無駄なメッセージを記せるスペースなど無いから。

 

そこで活躍するのが、手紙。

 

自作の手紙をPDFに変換し、添付することで、こちらからの熱い思いを担当者へ届けることができる。

 

しかも私の個人情報満載で、

「電話でも、メールでも、留守電にメッセージを残してもらってもかまいません」

と、あらゆる手段を提供し、絶対に、機械的に返戻されないように予防線を張っておくのだ。

 

その手紙を読んだ担当者も、さすがに心打たれて無下にはしない。

あまり大きな声では言えないが、成功率100%だ。

 

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、いつの間にか「役所の人間」なんてものは消え去るかもしれない。

 

それでも、そんな日が来るまでは、人間味あふれる関係性を大切に、利用していきたいものだ。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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5件のコメント

師匠、大変勉強になりました。

去られて、数年が経ちましたが、

今も尚、教えられます。

ホーリー!
ありがとう、いなくなってからもそう言ってもらえることは、本当に嬉しいよ。
ホーリーももうずいぶん先輩だろうから、後続の指導をよろしくね!

本日OJTでした。
ししょーからの付箋の嵐そのまま見せましたw
自分もこんなだったとw

懐かしい笑
ホーリーにもらったボールペン、すごく使いやすくて気に入ってるよ、ありがとう😊

チャンピオンに使ってもらって光栄ですw

ちなみにそのボールペン今年新色で、ボディが赤と青と緑がでました。

自分は赤と青を購入。アイアンマンみたいでかっこいーんすよねw

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