擦り剥いた傷が日常生活においては一番ダメージがある

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右足の甲を擦りむいた。

昨日、タタミの道場でスパーリングをしたときに、足の甲を下にしてカッコよく滑り込んだら、まぁるく擦り剥けた。

 

これがまた、地味に痛い。

 

大袈裟にしてるわけではないが、シャワーのときなど、ものすごく滲(し)みる。

 

さっきもシャワールームで、

「ギャァァァァ!!!」

と、叫んでしまった。

 

たかが擦り傷、にもかかわらず、地味に私の足を引っ張る。

 

 

足の甲にできた直径25ミリの擦り傷。

こんなもの、人生において1ミリも影響しないわけで。

 

しかし、私の日常生活に地味に影響が出ている。

 

たとえば自宅にいるとき、室内だがクロックスを履いている。

そのクロックスが、擦り傷に当たる。

 

キズパワーパッドを貼っているので直に当たるわけではないが、トイレに行こうにも右足を上げるとクロックスが当たるので、結果的に足を引きずるしかない。

 

クロックスの位置をずらして、擦り傷に触れないポジションを探すが、クロックスの素材が固いため、どうやっても擦り傷に当たる。

 

最終的に右足だけ裸足ということで落ち着いた。

(最初からそれでよかったはず)

 

 

風呂やシャワーは地獄だ。

とにかく右足の甲をかばって、サッと烏の行水。

 

外出時、当然の如くサンダルが傷に当たるので右足を引きずるしかない。

しかし、引きずるうちに「最速で進める足の引きずり方」をあみ出した

 

足を上げる動作のときに傷に当たって痛いのだ。

足を上げるから、サンダルと足の甲がぶつかるのだ。

 

つまり、足をスライドさせる動きならば、痛みを最小限にとどめることができる

 

そして私は実践してみた。

イメージは、料亭の美人女将が、竹の柄杓(ひしゃく)で上品に打ち水をする姿。

私の右足が柄杓で、サーッと水を撒くように弧を描きながら、つま先を前方へ送り出す。

 

(おぉ、痛くない!)

 

この作戦が奏功し、結構な速さ且つなめらかに地面を滑るように歩き出した。

 

歩き方がおかしいかどうかは自分自身では確認できない。

しかし、当然おかしいのだろう。

 

溜池山王駅の通路で、私の周囲3メートルは常に空いていた。

 

 

調子に乗った私は、体を斜に構えることでよりスピーディーに進める体勢をあみ出した

 

痛くないほうの足(左足)を前にしても、さほど距離は稼げない。

痛いほうの足(右足)に遠心力を付けて、思い切り前方へスライドさせることで、距離を稼ぐことができる。

 

つまり、体の右側面を前にして左足で地面を蹴りながら、右足で打ち水の動作をする

 

そうすると、普通に歩くよりも速く進めることが分かった。

 

 

擦り傷をかばった状態、かつ、スピーディーに歩ける方法をあみ出したわけだが、怪我や失敗から得られるものはいつだって大きい。

 

ろっ骨を折ったときは、くしゃみの止め方を開発した。

尾骨を骨折したときは、横座りしながらお尻を浮かせる方法を開発した。

足関節の靭帯を切ったときは、地面を擦ってもソールが減らない靴を開発した。

 

いつだって、失敗(ケガ)と発見は表裏一体だ。

 

 

そしてたった今、新事実を発見した。

 

キズパワーパッドの周囲に、魚の目パッドを貼ることで高さが確保される。

そうすることで、サンダルが傷に触れることなく快適に過ごせる。

 

これでもう、歩き方を工夫する必要もなくなってしまった。

 

 

たかが擦り傷だが、本当に、地味に痛いのだ。

どうせなら大ケガのほうがマシだ。

見るからに痛そうならば、痛がっても受け入れられる。

しかしこんなちっぽけな擦り傷じゃ、誰も心配してくれないどころか、ウザがられるだけなのだ。

 

だけど、それでも何度でも言う。

 

地味に痛い。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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