いまのご時世「課金」が当たり前となっている。無料で楽しめる、あるいは無料で利用できるシステムはもちろん便利だが、あと一歩!というところで課金の力を使わなければ達成できないこともあるだろう。
*
わたしは今日、生まれて初めて降り立つ駅に向かった。そのため、乗換案内サービス「NAVITAIME」を使い、自宅の最寄り駅から目的地までの最短ルートを検索。そして指示されるがままに電車を乗り継ぎ、気がつけば目的地へとたどり着く算段であった。
23区内を走るJRや地下鉄は普段からよく使うため、乗り換えに便利な車両の位置まで把握している。だが東京の西側となると、急にシロート丸出しになる。
そもそもどのくらい遠いのか、言い方をかえると、どのくらい不便なのか見当がつかないため、同じ都内といえど前泊が必要なのではないかと心配になってしまうのだ。
とくに本日の下車駅である「狭間」という駅名、聞いただけでピンとくる人はいるのだろうか。果たして狭間駅がどのあたりに存在するのかなど、わたしには想像すらつかなかった。
聞いたことのない地名ゆえに前泊を考えたが、その前にNAVITAIMEでルート検索してみたところ、およそ一時間半でたどり着くことが判明。それならばわざわざ泊まることもあるまいと、自宅から目的地へ向かうことにした。
狭間駅は、京王線のなかでも高尾線という路線にあり、かの有名な高尾山の少し手前にある駅。
そして今回、はじめて知った事実がある。それは京王線の八王子駅、つまり京王八王子駅の先に高尾山口はない、ということだ。
イメージでは八王子の先に高尾があるのだが、これは中央線の話。京王線の場合は「北野」という誰かの名字のような駅を境に、京王八王子行きと高尾山口行きとに分かれる。
まぁこれはどうでもいい話なのだが。
本日わたしが不安に陥ったのは、この北野駅の先に狭間駅があるらしいのだが、到着予定時刻の1分前になっても狭間駅の名前がどこにも見当たらなかったことだ。
少し前に東急線で乗り換えを間違えて、見ず知らずの駅に降り立ってしまったトラウマから、よくわからない地域に行く際は十分に注意しようと決めていた。だがNAVITAIMEの指示通りに進み、むしろ新宿駅から狭間駅まで乗り換えなしで到着する電車に乗ったはずなのに、なぜか到着予定時刻になっても「狭間」の二文字が現れないのだ。
ちなみに、この事実に気づいた時点で停車していた駅の名前は「山田」だった。これまた誰かの名字の間違いでは?と突っ込みたくなるような駅名だが、「山田」の次は「めじろ台」となっている。
しかし山田駅の時点で到着予定時刻の1分前ということは、めじろ台駅に到着するのは予定時刻を過ぎることになる。果たして「狭間」はその先にあるのだろうか――。
先日の悪夢がよみがえる。
(わたしは、またしても遅刻するのか)
慌ててNAVITAIMEを確認すると、北野駅から狭間駅までの間は「4駅」となっている。
(・・・ということは途中駅が3つあるわけで、今いる山田が2駅目、次のめじろ台が3駅目。その次に狭間が登場すれば万々歳というわけか。だが、到着予定時刻が過ぎているのが引っかかる)
そこでわたしは、「4駅」をクリックして途中駅の名前を確認しようとした。すると、なんとNAVITAIMEはその4駅を教えてくれなかった。
そう、その先は課金システムだったのだ。
「停車駅の続きはプレミアム機能です」
発狂しそうになりながら、Googleで「京王線 路線図」と検索し画像を表示させる。そして一番左端を見ると、あった!高尾山口の手前の手前に「狭間」の二文字が!
さらに、狭間の手前はめじろ台であり、その手前は山田ということで、わたしが乗っている電車は正しかったのである。きっとどこかで遅れが発生したのだろうが、田舎へ向かう電車ゆえにそこまでせかせかしなかったのだろう。
一分一秒を争う「乗り換え」のタイミング。そこで課金が必要とあらば、思わずクリックする可能性は大いにある。今回はたまたま、路線図を素早く確認できたため事なきを得たわけだが。
やはりここ一番の重要な情報は、課金しなければならないシステムになっているのだと、改めて痛感させられた昼下がりであった。
コメントを残す