ーーたったいま、衝撃的な出来事があった。
わたしは、ゴキブリを、踏んだ。
というか、いまも踏んづけている。
なぜオマエは踏まれたんだ?
いくらでも逃げ道はあったはずだ。
こちらは上機嫌で、エイリアンエイリアンを歌いながら家に向かって歩いていただけなのに。
記憶を戻そう。
大声で歌を歌いながら高級住宅街をガシガシ歩いていたところ、視界の先に黒い物体が見えた。
ゴミか、ゴキブリだ。
前進を続けてその黒い物体の手前まで来た。
しかし、そいつは動かなかった。
こちらもつい、歩みを止めてしまった。
じっと見つめる。
間違いなくゴキブリだ。
立ち止まっていても仕方ないので、右足を一歩踏み出した。
と同時に、そいつも動いた。
一瞬ビビッて足踏みをしてしまった。
向こうもビビったのか、また固まってしまった。
ーー大のオトナが、大のニンゲンが、25ミリ程度のゴキブリにビビるなど愚の骨頂
気を取り直して、さらに一歩踏み出した瞬間、
バリッ
オノマトペとして正しいかどうか不明だが、少なくともその瞬間、足の裏から伝わる感触は、こんな感じだった。
果たしてヤツは、死んだのだろうか。
恐ろしくて足を動かせない。
もし足を上げて、カサカサ動きだしたら、それもそれでホラーだ。
どうすることが正解なのか分からず、とりあえずゴキブリを踏んづけたまま、実況生中継をしている、というわけだ。
はやく家に帰りたい。
*
ゴキブリを踏んづけながら思い出したのは、昨日のランチでの光景。
場所はお台場、しゃれたウッドデッキのテラスで、大量のランチを堪能していたときのこと。
ウッドデッキの板と板の間に、緑色のカナブンが瀕死状態で引っかかっていた。
カナブンはピクピクしていたが、余命はさほど長くはない様子。
しかも直射日光が照りつける灼熱地獄で、体が半分、板の間に挟まっている。
自力で抜け出すにも、仲間の助けを待つにも、明るい未来はなさそうだ。
かわいそうなカナブン、と思っていたそのとき、料理を運んできたウエイター(推定パキスタン人)が、無慈悲にもカナブンを踏みつぶした。
もちろん、ウエイターからはカナブンなど目に入らなかっただろう。
ただ、私だけがその一部始終を見届けていた。
たしかその時も、
バリッ
という音がした。
あぁ、堅い甲羅(背中)を踏みつぶすと、こういう音がするんだな、などと冷酷な感想が浮かんだ。
テーブルに料理を置いたウエイターは、颯爽と去って行った。
踏みつぶされたカナブンは、ピクリともしなかった。
*
東京の中心には、ゴキブリがたくさん棲んでいる。
ゴキブリだけでなく、カナブンも生息している。
彼らのほうが人間よりはるかに長く地球上に生存している、つまり、本来ならば彼らのほうが序列は上だ。
それを、体型や重量によるアドバンテージがあるというだけで、ニンゲンが偉そうにのさばっていることは、ややもすると申し訳ないことだ。
ーー私は鎮魂の意を込めて、そんな反省をした
そして、ゴキブリが下敷きになっている右足に、全体重をグッと乗せた。
そのまま、振り返ることなく走り去った。
マンションに着くと部屋へは向かわず、ゴミ置き場へ直行した。
ビルケンシュトックのサンダルに名残惜しさはあったが、ゴキブリを圧死させた罪は重い。
ーーこれで勘弁してくれ
ゴミ置き場へサンダル(右)を蹴り捨てた。
その後、片足でケンケンしながら部屋へと向かった。
サンダルを失ったことは痛恨だが、どんなに洗っても拭えない罪、いや、感触には耐えられないだろうから、しかたない。
これからは、ゴキブリの進行方向を予測してから一歩を踏み出そう、と固く誓った。
Illustrated by 希鳳
昔ドアを閉めたら、そこにゴキブリが挟まって、ご想像のとおりになりました。
ヤツは、閉める直前にそこに滑り込んだ。
ゴキブリってなんかそういう生き物なのかな?
俊敏だし、とんでもないところに潜んでるし、まぁまぁ高層階でもはびこってるくせに、なんかドジというか間抜けな瞬間があるよね、たしかに。
なにもそんな急いで私の足の下に滑り込まなくても…って思った(本音)w
いくらでも進む方向はあったのに。。
一晩、考えたんだけど。
狙い撃ちみたいに突撃して潰される、つまり自滅。
って、なんか他人事に思えなくなってきた。
わたしはゴキブリかもしれない。。
みみ、誰??
私はよく女子をつぶしてるから、巨大なゴキブリ。
台所のゴキを素足で踏み潰し A
こちらに向かい飛翔して来るゴキを素手でキャッチし握り潰し AA
ゴキ天ぷらを食す AAA
(生は危ないから禁止)
サンダル履いているから Bだね
素手で握りつぶすとか、漫画の世界じゃんwww
なんか、手より足で踏みつぶすほうがヤダなアタシは・・