멎지네요(かっこいいですね)

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今日から「ハングル語講座」の視聴を開始したわたし。きっかけは偶然が二つ重なったことによる。一つは、講師が友人の奥さんだったこと。そしてもう一つは、ナビゲーターが知人だったこと。

こんな偶然があるのだろうか!ということで、友人からテキストを贈られた結果、やらざるを得なくなったのだ。

 

さすがにテキストを渡されて何もしなかったら、今後の友情にヒビが入るかもしれない。または突然、抜き打ちテストと称してハングル語で話しかけられた時、答えられなかったら学習していないことがバレる。

いずれにせよ、ちゃんとやってますアピールはしておかなければならないし、簡単な会話くらいはできるようにならなければならない。

 

・・・とんでもないノルマを、突如課せられたというわけだ。

 

 

何を隠そうこのわたし、じつはハングル語が読める。かつて韓国人になりすましたことがあり、それを機にハングル語を独学で学んだためだ。

とはいえその当時からかなりの月日が経っているので、ギリギリ発音することはできるが、単語はほぼ忘れてしまった。テキストをパラパラめくるも、「あー、見たことある」という程度でさっぱり思い出せない。

 

ちなみに、ハングル語のいいところは確固たる規則性があることだ。日本語のように、ひらがな、カタカナ、漢字と3種類もの文字をあやつる民族は珍しい。それに比べてハングル語は、記号のようなパーツの組み合わせで文字が構成されているため、一度覚えたら確実に発音できる強みがある。

 

11年前、わたしは明洞(ミョンドン)駅で、路線図を見ながら駅名を一つずつ発音したことがある。なぜなら「読める」からだ。単語の意味は分からなくとも、正確に発音することができるわたしは、声に出せばその場所へ行くことができる。

「동대문(東大門)」

「이태원(梨泰院)」

路線図はハングル語オンリーで書かれているため、行きたい場所があってもハングル文字が読めなければたどり着けない。だがわたしは読める。そして駅名を声に出して発音すれば、韓国人に伝わるわけだ。

 

ネイティブにも褒められたこの発音力で、得意げに駅名を連呼していると、

「어디로 가고 싶어?(どこへ行きたいの?)」

と、言われたかどうかは分からないが、多分こんな感じで男性に話しかけられた。別にどこへも行きたくはない。ただハングル語の発音の練習をしていただけだ――。

悲しいかな、発音はできても単語はほとんど知らない。「美味しい!」「ありがとう」「すみませーん!(店員を呼ぶ時)」「お会計おねがいします」「領収書ください」このくらいしか引き出しがない。

よって、残念ながら話しかけてくれた男性に返事はできなかった。

 

(うかつに発音しちゃダメだな)

 

これが、韓国でハングル語を連呼した末に覚えたルールだった。

 

 

ハングル語講座の第一回目は、挨拶の回。誰もが知っているであろう、

「안녕하세요?(アンニョンハセヨ:こんにちは)」

「반갑습니다(パンガプスムニダ:お会いできてうれしいです)

この二つを覚えさせられた。だが会話の途中で、男性同士がお互いを褒め合う場面があった。

「〇〇さんはいつもかっこいいですね」

「そんなことないですよ、××さんもかっこいいですよ」

なんの茶番だ!とツッコミたくなったが、あえてわたしはこの会話を暗記した。そして数時間後、韓国人の友達に会った瞬間、暗記したセリフを真顔で正確に発音してやった。その結果、彼は頭をかきながら

「감、감사합니다(カ、カムサハムニダ)」

と照れくさそうに去っていった。

 

(よし、学習の成果が発揮された!)

 

ハングル語講座初日にして、わたしは生きたハングル語を身に着けたのであった。

 

サムネイル by 希鳳

 

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