京王線と小田急線

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日本一の繁華街、新宿。

その新宿を起点に、2本の私鉄が西へと伸びている。

 

そう、京王線と小田急線だ。

 

どちらの路線にもなじみの薄いわたしだが、京王線沿線に住む友人がこう言った。

「小田急線は海へ出るけど、京王線は山にしか行かないってディスられたことある」

なるほど、事実としてはその通りだ。

 

小田急線の終点はいくつかあるが、そのうちの一つにかの有名な「江ノ島」がある。

江ノ島といえばオシャレで開放的、夏を象徴する地名。そして夏といえばサザン、サザンと言えば江ノ島ーー。

とはいえ、もう一つの終点は「箱根」だから、思いっきり山だと思うが。

 

小田急線の途中には「代々木上原」「下北沢」「成城学園前」など、そうそうたる地名が控えている。

これだけを見るとすでに「勝負あり」といった感が否めない。

 

だがもう少し先へ進むと「相模大野」「厚木」「小田原」と続く。

決してこの地域が田舎だと言っているわけではない。とはいえ江ノ島や箱根に比べると知名度的にも劣り、どことなく「地方」のニオイがする。

 

では京王線はどうなのか。

たしかに終点は「高尾山口」というだけあり、老若男女に人気の高尾山の登山口がある。

もう少し都会へ戻ったところで「京王八王子」「府中」ということで、西東京の主要都市はあれど、江ノ島や箱根には敵わない。

さらにもう少し都心へ近づくと「調布」「明大前」といった、わりと知名度のある土地が現れてくる。

 

いやいや、本当の勝負はここからだ。実は京王線には協力な「兄弟分」がいる。

 

そう、井の頭線だ。

 

井の頭線は渋谷と吉祥寺を繋ぐ路線で、明大前でメインの京王線と交わる。

井の頭線の破壊力は絶大。

若者の街「渋谷」を起点に「下北沢」「浜田山」「井の頭公園」そして「吉祥寺」というラインナップ。

 

「浜田山って、よく知らないな」

そういう人もいるだろう。

浜田山は芸能人御用達の高級住宅街だ。キムタクや宇多田ヒカルの目撃情報など、多数報告されている。

緑豊かで治安も良好、子育てするなら杉並区。その杉並区の代表が浜田山といえる。

 

下北沢は言わずもがな、古着、カフェ、サブカルの聖地。ひと味違うオシャレさんは皆、下北沢を経験している。

そして吉祥寺は説明するまでもない。カフェやヘアサロンだけでなく、「三鷹の森ジブリ美術館」「井の頭公園」といった観光名所も兼ね備え、東京の中でも一目置かれた存在。

 

この「井の頭線効果」によって、京王線はどことなく「オシャレな路線」に認定されているのだ。

 

そしてこれを「面白くない」と思うのが、前出の小田急線ユーザー。

 

下北に成城学園というネームバリューを抱えるも、どこか「田舎くさい路線」といったイメージを払拭できない。

小田急線沿線に住む友人はこう主張する。

 

「小田急線はね、JRや京王線が止まっても走ってるから、さすがだよ!」

 

なんの話かと言えば、大雨や雪で他の路線が止まっても、小田急線は走っているということだ。

さらに雪が積もった翌朝、通常ならば運休するところを、始発から元気に走るのが小田急線らしい。

 

(箱根みたいな雪が積もる山奥を走るんだから、そこでの経験を生かしているのでは・・・)

 

小田急線信者のつぶやきは続く。

「公務員してた頃、『遅延してくれたらいいのに』って何度思ったことか(笑)」

公共交通機関の遅延ならば遅刻も認められるが、小田急線は何があっても走るため、堂々と遅刻すらできなかったのだそう。

そこまで堅実な路線、小田急線。

 

なお、このような「小田急線自慢」を京王線ユーザーは完全にスルーする。

「だからなに?」

と言わんばかりに相手にしない。この辺りもどこか「都会人のプライド」のようなものが滲む。

 

そんなどうでもいい小競り合いを尻目に、わたしは思った。

「小田急線は小田原競輪場しかない。だが京王線にはたくさんの公営競技がある」

そうなのだ。京王線はギャンブル路線でもある。

 

競馬の最高峰である「日本ダービー」は東京競馬場で開催され、京王線の府中競馬場正門前駅を利用する。

京王閣競輪場は京王多摩川駅、ボートレース多摩川は多磨霊園駅から無料バス。

 

ーーなんとなく、京王線に軍配が上がった瞬間だった。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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