ピッツァのフルコース!——第7回トリプレッタカップ、ファンタジーア部門の審査員の呟き。

Pocket

 

料理すらまともに作れないわたしが、まさか「ピッツァを焼く」などという芸当ができるはずもないのだが、殊に「ピッツァを食べること」に関しては本物を幾度となく味わってきた経緯(?)から、栄えある「トリプレッタカップ」にて審査員の役割を仰せつかった。

もちろん、本業のピッツァイオーロや評論家には到底及ばないが、美味いものを「美味い」といえる自信だけはある——と言いつつ、登場するピッツァのほとんどが美味いので、どれも自信満々に「美味い」とコメントするだけなのだが。

 

そして今回、第7回トリプレッタカップにて「ファンタジーア部門(創造性豊かなオリジナルピッツァ)」の審査をすることとなったわたしは、密かに胃袋の調子を整えつつ期待に胸を膨らませていた。

 

なぜなら、過去に任されたことのあるマルゲリータ部門は、その名のごとく「マルゲリータ(トマトソース、モッツァレラチーズ、バジル、オリーブオイル)」が続々と登場するため、後半にさしかかるとややトーンダウンせざるを得ない・・などと、選手の皆さんには口が裂けても言えないが、最後の方はフラットな満腹感が公平な審査の邪魔をしない・・とも言い切れない部分がある(いや、そもそもすべてのピッツァを食べ切らなければいいのだ。食い意地をはったわたしが、一かけらも残すことなく平らげるから、当たり前に腹が膨れるだけで)。

そして、もう一つの部門であるピッツァフリッタは、いわゆる「揚げピザ」なので食べれば食べるほど胃袋は重くなる。もちろん、ピザ生地に包まれた中身の具材や味付けは様々で、ボリューム満点の肉料理からドルチェピッツァのような甘い作品まで、飽きることのないラインナップであるのは間違いない。しかしながら、やはり揚げ物が持つポテンシャルは無視できず、最後まで勢いよく楽しむには量を控える必要があるだろう。

 

このように、部門によってそれぞれの”ハードル”があるため、最初から最後まで能天気にいろんなピッツァを楽しむ・・というのは案外難しい。

だが今回、ファンタジーア部門を任されたわたしは思わず歓喜した——やった!今回はバラエティーに富んだピッツァが堪能できる!!

 

 

ファンタジーア部門について、トリプレッタカップではいくつかの条件を与えている。

まず一つは「制限時間」の縛りだ。各々の持ち時間は7分で、その間に同じピッツァを2枚焼かなければならない。もちろん、生地を伸ばして具材を乗せてピザ窯で焼き上げて皿にのせて「できました!」とコールするまでが、7分以内でなければならない——え、意外と時間ないんじゃないの?!

 

そんな素人の質問に、ラ・トリプレッタのオーナーであり世界一のピッツァイオーロである太田賢二氏は、こう答えてくれた。

「あえてタイトな時間設定にしたんですよ。なぜなら、実際にお店でピッツァを出すことをコンセプトとしている大会なので、制限時間内で作れないというのは実務的とはいえない。さらに、創作ピッツァだからといって時間をかけてすごいものを作る・・というのを、僕は求めていない。だからこそ7分以内で2枚のピッツァを焼く・・という条件にしたんです」

なるほど——。そういえばこのトリプレッタカップは、「普段の営業に反映できるような、技術なり質なりを競う大会」という大前提があり、一般的なピッツァの大会とはそこが異なる。中でも、時間配分というのは実務において重要な部分であり、そこが守れないのであればそもそも論外ということなのだろう。

 

そしてもう一つは、「トマト・イモ類・柑橘類」のどれかを使ったピッツァであることが条件とされた。たしかに、具材がバラバラだと評価基準が難しくなるし、それこそ「具材で勝負!」となってしまうとトリプレッタカップの趣旨からもズレることに。

しかも、参加選手たちはあらかじめ順番だけは知らされているが、誰がどの具材を選んだのかは分からない——つまり、周りを出し抜こうとして選んだ具材が、まさかの大かぶり・・なんてこともあるのだ。そしてこれは、まさにその通りとなった。

 

序盤に起きた「まさかのジャガイモフィーバー」には、審査員たちも”まさかの苦笑い”をする始末。とはいえジャガイモの種類は様々で、品種でいうとインカのめざめやキタアカリ、さらには紫色の種類(名前を忘れた・・)など、今が旬の新鮮なジャガイモたちが続々と現れた。

加えて、イモの形状もスライスされていたりすりつぶされていたり、はたまた細切りのフライドポテトやポテトの灰(という表現を初めて聞いた・・)など、誰一人として同じ内容のピッツァを創作することはなかった。

 

中には、指定された3種類の具材をすべて使ったピッツァを出す者がいたり、柑橘類で「柚子」を選択し、皮や果肉のみならず「種」まで使い切った選手もいたりと、今になっても全員のピッツァを思い出せるほど各々の思いがこもった作品ばかり。

さらに、参加選手のバックボーンやキャリアも興味深かった。たとえば現役の高校生(とはいえ、中学生の頃からピッツェリアでアルバイトとして修行を積んでおり、個人的には一番好みのピッツァだった)や、現役の消防士(といっても、今年度末で引退してピザ職人として第二の人生を歩むとのこと。腕前はすでにプロ並み)など、異色のキャリア(?)の選手らが参加しているのも、この大会の面白い一面といえる。

 

そんなこんなで、15人の精鋭部隊によるファンタジーア部門が終わったところ、隣で審査をしていた常連さんが「いやぁ、フルコースを楽しませてもらったね」と、なかなか上手いことを口にした——たしかに、具材から生地から味付けから幅広く楽しませてもらった我々は、ピッツァのフルコースを堪能させてもらったわけだ。

しかしながら、まだもう少しイケそうな胃袋のわたしは、帰宅途中のカフェでアフォガードを注文し、これぞ本当の「ドルチェ(食後のデザート)」を味わうのであった。

 

 

最後に、参加された選手の皆さん・・緊張しつつも見事な作品とプレゼンばかりで素晴らしかったです。仕事もある中、今日のためにたくさんの努力と準備を重ねてきたことでしょう、本当にお疲れさまでした&美味しいピッツァをありがとうございました。

そして主催者および関係者の方々、回を重ねるごとに進化を感じる、ぬかりない事前準備とスムーズな進行には頭が下がります。また次回も楽しみにしています。

 

(あぁ・・糖尿病とかダイエットとか、その手の話題は明日以降に持ち越すとしよう・・)

 

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です